郷土教育全国協議会(郷土全協)

“土着の思想と行動を!”をキャッチフレーズにした「郷土教育」の今を伝えます。

天皇報道の洪水の中でー2

2019年05月07日 | 日記

 安倍政権は、憲法を改正して自衛隊を軍隊にし、地球上のどこにでも派遣して米国と共に闘うことができるようにすることをもくろんでいますが、同時に「天皇の元首化」も改憲の重要な動機の一つになっています。

 

 現在の権力の構造は、よく言われるように米国>安倍政権>天皇という順序になっていると私も思います。

明仁天皇の「生前退位は特例法案ではなく恒久化法案でお願いしたい」という発言があったにもかかわらず、右派の有識者を使ってこの発言を無視することにし、「大嘗祭には国税ではなく宮廷費から支出を」という秋篠宮の要請も全く無視することができるのは、天皇の上に今の権力があるからに他ならないと思います。

その安倍政権が絶対に逆らえないのは米国です。

 

 このような権力構造を踏まえたうえで見ると、先の天皇が即位した時に「国民とともに日本国憲法を守る」と発言し、それ以来このメッセージをのべていったことの意味はやはり大きかったと思います。

「天皇元首化」の野望を持ち続ける安倍政権との間で起きた確執は、一直線に「元首化・戦前回帰」へと進むことを一定程度止める役割を果たしていたと思います。

 

 「改憲・戦前回帰」の奔流を止めるためには私たちの努力ももちろん必要ですが、いわゆる支配の側の矛盾も見ていく必要があると考えます。

今までは天皇が安倍政権の言いなりになっていなかったことも、歯止めになっていたと思いますが、新しい天皇に代わりどうなるのか不安があります。

新天皇は皇太子の時代の誕生日の会見で父親と違い「現行憲法に従う(だったか?)」という表現をしていますが、これでは憲法が改正されれば「改正憲法」に従うことになり「日本国憲法を守る」という発言とはやはりちがいます。

「守る」という表現は「99条の遵守義務をのべたに過ぎない」という言い方もできると思いますが、今の自治体の首長はこの表現はなかなかしませんね。

 

 昨日(5/1)の新天皇の即位の発言では「守る」という能動的な表現ではなく「憲法にのっとり」に変わっていました。

この表現は受動的なイメージがあり、これでは何かあれば安倍政権に飲み込まれるのではないか?と一抹の不安を覚えます。

 

 我々の力だけで改憲を止められればそれに越したことはありませんが、天皇も権力装置の一つなので安倍政権と一体になられたら、もっと困ったことになるのではないでしょうか?

それこそ完全な戦前に戻ってしまうでしょう。

その意味で、天皇の姿勢・発言は結果として権力体制の中にくさびを打ち込み、分断を生み出している(ささやかかもしれませんが、あるとないでは大違い)という重要な役割をはたしていたと思います。

新天皇には安倍政権と距離を置いて、結果として「元首化」に抵抗を続けていただきたいと願います。

 

-S.Y-


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