Ⅲ 哲学堂と「ハンガリーの庭」
哲学堂は思ったよりも広かった。
何にもない公園だと思っていたら、そうではなかった。
円了、とても不思議な人物だと思った。
スケッチ画家はそんな哲学堂を残した円了の魅力を何となしに描いたのだろう。
この哲学堂に来て、驚いた。
以前、この画家が描いたガンジーの銅像のスケッチがある。
ああ、ガンジーの銅像は哲学堂にあったのかと驚いた。
身近な素材が自分の住まう街で思い立ったらみることができるというのはしあわせなことだ。
ガンジーの像はどこに建っているのだろうとしばらく探した。
「ハンガリーの庭」に迷い込んでしまったと言っていいだろうか。
「ハンガリーの庭」に着いた。
ブダペスト市のゲレルトの丘に建立されているものと同じ銅像群であるという作品をみた。
なんとも、これらの聖人たちの組み合わせは、日本を超越しているように感じる。
晩年日本に帰化して益子町で創作活動をした彫刻家ワグナー・ナンドール氏の作品だという。
どこまでがゲレルトに建立されたものと同じなのかはわからないが、その聖人の名を上げてみる。
アブラハム、エクナトン、キリスト、釈迦、老子がひとかたまりの円陣になって池の前に立っている。
それから離れてハムラビ、聖徳太子、ユスティニアヌスがひとかたまり。
ダルマ、フランシスコ、ガンジーの銅像がひとかたまりで建っている。
哲学堂の聖人たちをみて、日本の組み合わせの聖人たちと違っているので、どこにいま私がいるのか所在がわからなくなりそうだった。
ーY.Kー