■第2話 五郎とゴロー■ 台詞を遠隔呼応させるなど、ショットの切り替えテクニックが素晴らしい。テンポもすこぶる良い。地味な作品だが制作論の観点からいうと全28話中1、2を争う出来かも。全体通して意外にも、ゴロー昏睡時に遠い山並みも同時に映ったラストシーンが最高だったりします。それよりなにより大ザルという、子ども的に最もわかりやすいクリーチャーの一方、「恋しいのは、ネオンの海を泳ぐ人魚のほうだろ」(土屋嘉男!)などという子どもには意味不明の台詞との超アンバランス。難解な一目瞭然といった、変則怪獣映画としてのウルトラQ色を最も濃厚に出してくれた一作と言えるか。しかし「オシ」なんて言葉、すっかり死語になったなあと改めて。差別語狩りってのも一定の成果を出してるってことですね。
■第8話 甘い蜜の恐怖■ 私らが大学院生時代くらいまではこの『甘い蜜の恐怖』は放送順第10話とされておりましてね。最近の資料で第8話と修正された模様ですな。確かでしょうな。こういうの、長年のウルトラQフリークとしてはツライものがあります。すっかり馴染んで暗記して骨肉化してた順序を変えろってんだから。新宿の次は代々木ではなく、実は新宿、原宿、渋谷、代々木、恵比寿というのが正しい順番です、なんていきなり宣告されたら山手線マニアはうろたえちゃうでしょ? 的なことはともかくこのお話もやたら地味な扱いを受けとりますが、東宝怪獣映画のオーラをまとっている点では(『空の大怪獣ラドン』の自衛隊猛攻シーン流用してるってだけじゃなく)かなり正統派ですよ。しかしなあ。ミサイルばかすか撃ち込むとこなんか過剰防衛もいいところだしなあ。福岡壊滅させたラドンやっつけるならわかるけどせいぜい牛や馬を喰っただけの大モグラ退治するのに、火山地層にぶっつけて大地震起こして熔岩流出させるなんて本末転倒というか、どう見ても大モグラより被害甚大なんですよね。家々がどんどん地中へ陥没してっちゃってるし(熔岩の映像は『日本誕生』も流用してる?)。てわけできわめてバランス感覚を欠いたこの作品(だから「アンバランスゾーンはあなたの心の中に」じゃないけど)、黒部進のウルトラQ全ゲスト中最も拙い演技も相まってこの作品の評価を下げているのかもしれん。ミステリータッチの出だしなんか良かったのにねえ。
■第22話 変身■ ウルトラQ:ホラー系参照
■第25話 悪魔ッ子■ ウルトラQ:ホラー系参照
■第26話 燃えろ栄光■ 終わり近くなってこんな変化球で「あれ?」と驚かすあたりがまたウルトラQのニクイところ。長いだけで露出度ゼロのダンスであるとか楽屋でのジョー×ビル大山のやりとりだとか、怪獣少年的にはほとんど興味を引かれない退屈な場面が延々と続くのだが、おとな的には大変興味深かったりする。スポ根なんだか青春ドラマなんだかサイコミステリーなんだか、ベタな口笛BGMも嬉しいし、ピーターがやっと巨大化したと思いきやジョーに誘導されて数十歩あるいてドラム缶蹴飛ばしただけという、このストイックな作りがいいんですなあ。そういえばこの作品、破れたポスターにジョーの笑顔に、終わり方のあいまいさが評価高いようだが、私も同感です。
■第28(?)話 あけてくれ!■ 超俗代表・友野健二と通俗代表・沢村。対照的な主人公2人のパラレルな展開が名ドラマを生んだ。それにもちろんレギュラー陣はしっかり絡む。万城目淳と江戸川由利子の関係がやたら気になる本作の出だしであるが、「きょうは帰らないわよ」ってきわどいアプローチかと思いきや「締切のないところ、借金取りのいないところ」云々と社会批判的な会話へなぜかズレてっちゃったのは――まだふたりが本格向きあうのに照れてる段階ってことですね。それにしても空飛ぶロマンスカーとは、電車好きでもあった私のウルトラ原体験でして。慄然です。ただそこよりも今見ると、会社で上司が「これでも飲んで帰りたまえ」と沢村に渡したアンプルのほうが気になってしまう。どこの何というドリンク剤だろう。やはり武田製薬? 当然もうとっくに売ってないだろうけど、あの時代だからメチルテストステロン入りだろう。高度経済成長を支えたホルモン剤。あのシーンで上司の背後に見えてる俗っぽい町並みが徐々に好きになりつつあったり。ああぁ60年代!
■第8話 甘い蜜の恐怖■ 私らが大学院生時代くらいまではこの『甘い蜜の恐怖』は放送順第10話とされておりましてね。最近の資料で第8話と修正された模様ですな。確かでしょうな。こういうの、長年のウルトラQフリークとしてはツライものがあります。すっかり馴染んで暗記して骨肉化してた順序を変えろってんだから。新宿の次は代々木ではなく、実は新宿、原宿、渋谷、代々木、恵比寿というのが正しい順番です、なんていきなり宣告されたら山手線マニアはうろたえちゃうでしょ? 的なことはともかくこのお話もやたら地味な扱いを受けとりますが、東宝怪獣映画のオーラをまとっている点では(『空の大怪獣ラドン』の自衛隊猛攻シーン流用してるってだけじゃなく)かなり正統派ですよ。しかしなあ。ミサイルばかすか撃ち込むとこなんか過剰防衛もいいところだしなあ。福岡壊滅させたラドンやっつけるならわかるけどせいぜい牛や馬を喰っただけの大モグラ退治するのに、火山地層にぶっつけて大地震起こして熔岩流出させるなんて本末転倒というか、どう見ても大モグラより被害甚大なんですよね。家々がどんどん地中へ陥没してっちゃってるし(熔岩の映像は『日本誕生』も流用してる?)。てわけできわめてバランス感覚を欠いたこの作品(だから「アンバランスゾーンはあなたの心の中に」じゃないけど)、黒部進のウルトラQ全ゲスト中最も拙い演技も相まってこの作品の評価を下げているのかもしれん。ミステリータッチの出だしなんか良かったのにねえ。
■第22話 変身■ ウルトラQ:ホラー系参照
■第25話 悪魔ッ子■ ウルトラQ:ホラー系参照
■第26話 燃えろ栄光■ 終わり近くなってこんな変化球で「あれ?」と驚かすあたりがまたウルトラQのニクイところ。長いだけで露出度ゼロのダンスであるとか楽屋でのジョー×ビル大山のやりとりだとか、怪獣少年的にはほとんど興味を引かれない退屈な場面が延々と続くのだが、おとな的には大変興味深かったりする。スポ根なんだか青春ドラマなんだかサイコミステリーなんだか、ベタな口笛BGMも嬉しいし、ピーターがやっと巨大化したと思いきやジョーに誘導されて数十歩あるいてドラム缶蹴飛ばしただけという、このストイックな作りがいいんですなあ。そういえばこの作品、破れたポスターにジョーの笑顔に、終わり方のあいまいさが評価高いようだが、私も同感です。
■第28(?)話 あけてくれ!■ 超俗代表・友野健二と通俗代表・沢村。対照的な主人公2人のパラレルな展開が名ドラマを生んだ。それにもちろんレギュラー陣はしっかり絡む。万城目淳と江戸川由利子の関係がやたら気になる本作の出だしであるが、「きょうは帰らないわよ」ってきわどいアプローチかと思いきや「締切のないところ、借金取りのいないところ」云々と社会批判的な会話へなぜかズレてっちゃったのは――まだふたりが本格向きあうのに照れてる段階ってことですね。それにしても空飛ぶロマンスカーとは、電車好きでもあった私のウルトラ原体験でして。慄然です。ただそこよりも今見ると、会社で上司が「これでも飲んで帰りたまえ」と沢村に渡したアンプルのほうが気になってしまう。どこの何というドリンク剤だろう。やはり武田製薬? 当然もうとっくに売ってないだろうけど、あの時代だからメチルテストステロン入りだろう。高度経済成長を支えたホルモン剤。あのシーンで上司の背後に見えてる俗っぽい町並みが徐々に好きになりつつあったり。ああぁ60年代!