最終回で平均視聴率が関東で42.2%、関西で45.5%、瞬間最高視聴率は関東で46。7%、関西では50.4%を記録した『半沢直樹』(TBS系)。平均視聴率ランキングでは、堂々の今世紀No.1ドラマとなった。
クライマックスは、半沢(堺雅人・39才)が、大和田暁常務(香川照之・47才)への「100倍返し」を見事にやってのけたシーン。ついに大和田に土下座させた半沢は、その数日後、期待に胸を膨らませ、中野渡謙頭取(北大路欣也・70才)のもとへ行く。
しかし中野渡頭取は半沢の活躍を称えながらも、出向辞令を読み上げる。半沢は驚きの表情になり、最後は怒りに満ちた目元のアップで終わった──。
悪行がさらされた大和田常務ではなく、正義を貫いた半沢が出向することになった結末に、「どうして?」「意味がわからない…」など、モヤモヤしたような声が巻き起こっている。しかし、原作に書いてある“理由”は以下のとおりだ。
行内融和が第一の頭取は、大和田を排するよりも善処したことで彼の派閥を味方につけたかった。
取締役会で注意したにもかかわらず、大和田に土下座を強要するなど、半沢のやり方に対する批判が行内で高まり、その声は無視できないほど大きくなってしまった。そういった批判をかわすために、半沢には一度営業第二部のラインを外れてほしいとなったのだ。
そもそも東京編の原作となっている池井戸潤氏の『オレたち花のバブル組』(文春文庫)では、中野渡頭取と半沢が親しく対話するシーンはない。それほど頭取と銀行員の間には大きなヒエラルキーの差があるのだ。
原作では人事部長と内藤寛部長が半沢を呼び出し、状況が伝えられる。そして、あくまで「単なる異動」であり、「処分ではない」と半沢は言われており、その点もドラマとは少々異なる。