町覆うブルーシート 再建諦め出て行く住民も 鋸南・岩井袋 【台風15号1カ月】
住宅122戸のほとんどで屋根瓦が飛ぶなどの被害を受けた鋸南町岩井袋地区。
被災から1カ月たった今も屋根にはブルーシートが張られ、修理はいまだに始まっていない。
住宅の再建を諦めて地区を出て行った高齢者もいるといい、住民たちは「過疎が進む」と危機感を募らせている。
地区はこれまでに海へ向かって開けている南西方向から強風が吹くと住宅に被害を受けることがあった。
だが、区長代理の久保田純史郎さん(67)は「こんな甚大な被害を受けたのは初めて」と振り返る。
かつて漁業で栄えた地区。
高齢化が進んだ今も住民たちの連帯意識は強く、被災後、協力して屋根や瓦が飛ばされた家にブルーシートを張り応急措置を施した。
屋根の修理は被害を受けた家屋が多すぎて2年待ちの状態。
再建を断念して転居を考える高齢者もいるという。
久保田さんは「空き家だらけのゴーストタウンになる」と表情を曇らせる。
六原義子さん(82)は自宅の屋根が飛ばされ、壁に穴が開いた。
住める状態ではなく修復も不可能。
地区内の知人宅に身を寄せている。
漁師だった夫は先立ち、子供はない。
年金は少額で自宅の新築や家を借りることは難しい。
「これからどこに住もうか。
行き場所がない」と途方に暮れる。
山梨県内にいる弟と妹が一緒に住もうと誘ってくれているが「長年暮らした場所。
愛着があり離れたくない」と声を落とす。
自宅を解体するにも「老後の蓄えがなくなってしまう」と不安な表情を見せた。
漁師の三橋美子さん(63)は、ボランティアグループの依頼を受けて彼岸の時期に独居高齢者22人におはぎを届けて回った。
このうち3人が転居していたといい、「これからもっと人口が流出する」と地区が衰退していくと訴えた。
☆
もう歳をとり医療費他もかかり家屋の復旧など年金暮らしでは無理...直ぐ寒風、みぞれの季節となり家屋内もボロボロだろう。
国から支援があるのか判らないが、これも殆ど解体費用に消える。
また買い手が、あっても土地など場所柄、二束三文で厳しい現実...兄弟、親戚などいれば早く面倒みてもらう他ない、もう待ったなし。
風の被害、床上、下浸水も床板外してヘドロのかき出し、お年寄りなど無理な作業だ。
床下全部のかき出しなど到底できず畳の部屋程度となるのか...テレビでは判らないが腐敗臭の臭い、ばい菌、健康被害も相当なものだろう。
ボランティアも限界あり自治体、国の支援を期待するしかない。