阿部ブログ

日々思うこと

箱崎が日本銀行創業の地

2013年04月21日 | 日記
日本銀行は、明治15年(1882年)東京府下日本橋区箱崎町3丁目1番地と新堀町21番地にまたがる地おいて創業。日本銀行の本店は、当時の永代橋のたもとにあった旧北海道開拓使物産売捌所を使用していたが、現在は、日本IBMが入居する三井倉庫箱崎ビルが聳えている。



日本銀行創業の地の碑にある建物を設計したのは、鹿鳴館の設計で有名なジョサイア・コンドルによるもので、残念ながら関東大震災で焼失している。


設計図は、日銀の金融研究所のアーカイブで観ることが出来る。またこのリンクには、当時の錦絵が掲載されており、当時の雰囲気を伝えている。
日本銀行創業の地の碑は、豊海橋を渡った先にある。背景のビルは前述の三井倉庫箱崎ビル。


「日本銀行創業の地」の碑文。

 明治十五年十月十日日本銀行はこの地で開業した
 明治二十九年四月日本橋本石町の現在地に移転した
 創業百周年を記念してこの碑を建てる
      昭和五十七年十月
         日本銀行総裁  前川春雄

帝都を飾るツイン・ゲイト「永代橋」と船員教育発祥の地の碑

2013年04月20日 | 日記
関東大震災復興の象徴としての「永代橋」。
永代とは、江戸幕府5代将軍徳川綱吉の50歳を祝し、徳川幕府が末永く代々続くように名付けられたと言われている。元々は深川の渡しがあった地に永代橋は建設されているが、「西に富士、北に筑波、東に上総、南に箱根」と言われる程、景勝、見晴らしの良い場所だったようだが、残念ながら今は面影もない~



それと永代橋の辺にある「船員教育発祥の地」の碑。


碑文は以下の通り。

内務郷 大久保利通は, 明治政府の自立的な海運改革を進めるにあたり, 船員教育の急務を提唱し, 三菱会社長 岩崎弥太郎に命じて, 明治8年11月この地に商船学校を開設させた。当初の教育は, その頃隅田川口であり, 海上交通の要衝でもあった永代橋下流水域に, 成妙丸を係留して校舎とし 全員を船内に起居させて行われたが, これが近代的船員教育の嚆矢となった。
爾来百年, ここに端を発した船員教育の成果は, 我が国近代化の礎となった 海運の発展に大きく貢献してきたが, その歴史的使命は幾変遷をへた今日, 江東区越中島にある現東京商船大学に継承せられている。

昭和51年11月

東京都中央区教育委員会
(題字 東京商船大学長 小山正一書)

日本ユニシス本社ビルのロゴが「赤」に復帰

2013年04月19日 | 日記
2011年1月4日のブログで「日本ユニシスのロゴが『赤』から『黒』に変わった~」と書いたが、今度は『黒』から『赤』に変わった。と言うか本来のコーポレートカラーに戻ったのだ。



これは筆頭株主が、三井物産から大日本印刷に変わった事が影響しているのか?

日本ユニシスの株式の27.8%を所有していた三井物産は、大日本印刷に18.9%を113億7000万円で売却した。これで日本ユニシスの筆頭株主が三井物産から大日本印刷に替わった。日本ユニシスにとって筆頭株主が大日本印刷に替わった事は、とても良かったと思う。様々なシナジー効果が期待できるし、相互にビジネス拡大が可能な取り合わせだ。

和尚さんカジュアル ~オショカジが静かなブーム~

2013年04月19日 | 日記
お寺は意外と多い。何でもコンビニより多く7万7000のお寺が全国にあるようで、和尚さんも70万人というから、これは無視できない。
この和尚さんをターゲットにした “和尚カジュアル” 略して “オショカジ” が静かなブームだ。
火付け役は「bon」で、作務衣上下揃い2万7300円、ボンチョ1万6800円と決して安くはないが、魅力的な品揃えではある。

江戸切子若手15人展

2013年04月17日 | 日記
日本オラクルでの13時30分からの打ち合わせの前に、伊藤忠商事の社会貢献活動の一環としてアートを通じた国内外の芸術や文化の振興を目的に設立された「伊藤忠青山アートスクエア」を訪れた。場所は、伊藤忠商事本社ビル隣の商業施設シーアイプラザB1F。

アートスクエアでは、3月16日(土)から「江戸切子若手15人展~日本の伝統工芸を継承する職人たち~」を開催している。東京の伝統工芸品である江戸切子の作品を初めて鑑賞したが、その美しさと繊細さ、それと「これどうやって作るの?」と言う驚きで胸一杯だった。いや感動した。

この展覧会に出展しているのは江東区を中心とした若手職人15人。
堀口徹、石塚春樹、大場和十志、小林昂平、佐藤光浩、澤口智樹、篠崎英明、高野秀、但野英芳、鍋谷聰、鍋谷淳一、根本達也、細小路圭、三田村義広、山田のゆり

特に気に入った作品は、但野英芳氏の「流金」。クリスタルガラスで320m、高さ50mで二匹の金魚が清水の中を泳いでいる様は、日本人の美意識に訴えかけるものがある。この切り子で夏、冷や奴でも食べて見たいものだ。この作品は、平成23年度開催の第24回江戸切子新作展の入賞作品で東京都知事賞を受賞している。

それと鍋谷聰氏の「Ocean~母なる海~」もダイナミックな作品で良い。江戸切子のイメージをある種逸脱した躍動感ある作品。この作品も第22回江戸切子新作展で経済産業省・関東経済産業局長賞を受賞している。

もっとも驚いた作品は、三代 秀石 堀口徹氏の「Sanagi」。ソーダガラス製でサナギと題されてはいるが、大地に巣くう巨大マグマを連想させる重厚感溢れる作品でとても力強い。

さて、江戸切子若手15人展は、残念ながら4月21日(日)で終了してしまうが、今週末は青山で江戸切子鑑賞とはおつなものではないか。

江戸切子のホームページで彼らの作品を見ることが出来る。

「陸前高田被災地語り部」くぎこ屋の釘子さんが越谷レイクタウンで語りました

2013年04月14日 | 日記
今晩は、越谷レイクタウンで開催されている防災ウィークリーのイベントで上京されている「陸前高田被災地語り部 くぎこ屋」の釘子さんと、山口さんと3人で、南越谷の居酒屋「末広」で時間を共にした。震災から2年が経つが、涙ながらに公では決して語ることの出来ないお話をお聞きして、胸が篤くなった。これからも釘子さんと連携しながら被災地復興に貢献出来ればと考えている。

しかし、越谷のレイクタウンは巨大だなーっ。武蔵野線の駅として「越谷レイクタウン駅」があるのだから立派なものだ。これほど広大だとは思いもせず、釘子さんが語り部している現場まで人混みの中、15分も歩く羽目になった。往復30分、いや疲れた。

釘子さん曰く、レイクタウンだけでイオン社員3000名が勤務しているとの事。パートさんも含めると、ココでどの位の人達が働いているのか?迷子も多いと言うが、かくゆう俺も迷子になりそう~
今回のイベントは、イオンのグループ環境・社会貢献部の東日本復興支援会議の佐藤さんの企画。佐藤さんの本拠地は宮城県仙台。明日は大阪へ移動と、日本せましと復興に向けた活動を続けられており、イオンと佐藤さんの活躍には期待大だ。

写真は、前述の南越谷近傍の居酒屋「末広」で撮影したものと現地での語りの場面の過去デジカメ。
釘子さんは、明日も15時まで、越谷レイクタウンの水の広場で「語り部」しておられます。70枚の写真も展示されていますので、もし明日お時間があれば、釘子さんの語りをお聞きするのも良いと思います。でもレイクタウンは巨大ですよ~












生活保護の5割を占める医療扶助費の問題

2013年04月13日 | 日記
故小室直樹博士によれば、憲法には「生きている憲法」と「死んでいる憲法」があると言う。それならば日本国憲法は「死んでいる憲法」だ。

所謂9条だけで無く、基本的人権を定めた11条「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる」とあるが、これは死文だ。何故なら電気料金を滞納したと言って電気を切る、ガス料金を滞納したからと言ってガス供給を断つ、自治体も水道料金を滞納したと言って水道を止める。電気、ガス、水道を止められて何が基本的人権だ?

死んだ憲法は無い方がまし。世界には憲法の無い国は沢山ある。今後の国内改革をやり易くする為にも憲法は廃棄するべきだ。

さて、基本的人権を保証する制度として生活保護があるが、報道されているように問題はある。困った人を補助支援する生活保護は重要な制度だと思うが、問題があれば改善は適宜行う事が欠かせない。

前振りが長くなったが、生活保護の受給者の中には、医療費全額公費負担を好い事に、病院をいくつも“はしご”して本来は不要な筈の薬を大量に受け取り、それを売って現金化すると言う言語道断の行為が行われていると言う事を聞いた。勿論、ジェネリック医薬品を希望する受給者は7%程度の極めて低調だ。理由は高く売れないからだ。

もともとジェネリック医薬品を使っていた人が、生活保護を受けるようになってから先発医薬品に切り替える例を多いらしい。どうも生活保護受給者のネットワークがあり、医療費タダを利用してサイド・ビジネスするようになるのだろう。それに病院や医師も受給者に対してジェネリックを進めないし、診療報酬を考えると来院してくれる受給者は、ある種金づるだ。典型的なWin-Winの関係。

これでは増え続ける医療費を抑制する事など不可能だ。もし生活保護受給者が先発医薬品を希望した場合には、医療費3割負担を適用するべきだ。また「病院のはしご」を防止する為のシステムも欠かせない。そこで注目されるのが「位置認証システム」。

位置認証とは、GPSや準天頂衛星からの位置情報を利用して、レセプト情報と受信者の場所情報コード(3次元位置情報)により診療行為が行われた場所を確定し、これを地域医療情報データベースに集約する事で、病院のはしごごの有無を確認する事。この位置認証の情報は、疾病受療率、人口推計、患者の移動距離、医療機関ごとの患者シェアなど、地域医療の実態を明らかにし、医療の地域偏在の状況や医師の診療科偏在などが可視化される。

この位置認証システムは、自治医科大学が実証実験中で、システムの核心は「宇宙基本計画」にも記載されているIMESと呼ばれる屋内測位技術(IMES:Indoor MEssaging System)だ。今年からコンソーシアムが立ち上がって衛星測位技術の普及促進と海外での展開も企図して活動を本格化させる。

最後に生活保護の問題は、大阪市長も指摘しており、医療費だけでなく住宅扶助費についても言及している。この問題の根本的な解決は政治によるところ大だが、さて改革できるか?

第21回 靖国神社「奉納夜桜能」を鑑賞

2013年04月09日 | 日記
4月4日(木)、東京最古といわれる靖国神社の能楽堂にて第21回靖国神社「奉納夜桜能」が催された。 
夜桜能は、19時の火入れ式から始まった。靖国神社からの清めの火を受けて4名が能舞台両側の薪に火入れを行った。火入れの4人の内、一人は社会学者の宮台真司氏。天皇主義者を自称する彼は、2010年から靖国神社の夜桜能にて火入れ式を努めている。

演目の最初は、世阿弥作の舞囃子「八島」。世阿弥作とされる作品は意外と少ないのだそうだ。最初の能鑑賞で「八島」はラッキーだ。

続く演目は、狂言「入間川」。シテは、人間国宝の野村萬、アドは野村万蔵と野村太一郎。野村家は、和泉流狂言の名家として300年の歴史と伝統を誇る。野村家の狂言を「萬狂言」と言うが、これは2000年に当時の当主である八世万蔵が命名したもの。

シメは、能「天鼓 弄鼓之楽」。シテは梅若玄祥。物語の舞台は日本ではなく古代中国の後漢の時代の話。王伯・王母という夫婦に男の子を授かったが、この子は、王母が、天から鼓が降って胎内に宿るという夢を見て授かったと言う設定。その後、本当に、妙なる音色をたてる鼓が天から降ってくる。ここから物語が始まる。因みに「天鼓」は、七夕の牽牛星の別称。

春の嵐の後、葉桜が目立つ桜花の中、幽玄なる夜桜能は、初めての鑑賞ながら新鮮な体験だった。

脳機能の解析研究 「Brain Activity Map Project(脳行動マップ・プロジェクト)」 が始動する

2013年04月02日 | 日記
ヒト・ゲノム解析に次ぐ、ビッグプロジェクトがEUと米国で、相次いで始動する。

EUは、人間の脳の機能と仕組みを、可能なかぎり忠実にシミュレートする「Human Brain Project(HBP)」を始動させる。このプロジェクトには、今後3年半で5,400万ユーロ。10年間継続するこのプロジェクトへの投資は、総額約12億ユーロに達する。最終的には、2020年までに人間の脳をユーロ内のスーパーコンピューター・クラスターでシュミレートする。

「Human Brain Project」には、ユーロ圏の87の研究機関が参加する。EUは、「Human Brain Project」と同時に「Graphene」と言うプロジェクトも始動させる。このプロジェクトにも10億ユーロの資金を投入する。

EUと同じく米国も同様の人間脳プロジェクトを始動させる。

2月12日の一般教書演説においても言及された、脳機能の解析研究「Brain Activity Map Project (脳行動マップ・プロジェクト)」に次年度予算が計上される。予算額は3億ドルと推定されており、当該プロジェクトは10年計画であることから、総額は30億ドルを超えると思われる。

「Brain Activity Map Project」は、EUとは少々異なり統合失調症や自閉症など精神系にも関わる研究も対象で、この他アルツハイマー病やパーキンソン病などの病理解明も目標となっている。この「Brain Activity Map Project」は、ヒトゲノムプロジェクトに投入された38億ドルを大きく上回ると推測する向きもある。

なお、「脳行動マップ」プロジェクトは、科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy:OSTP)主導の下、国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)、国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Projects Agency:DARPA)、米国科学財団(NationalScience Foundation:NSF)などの連邦省庁及び、ハワード・ヒューズ医療研究所(Howard Hughes Medical Institute、メリーランド州チェビーチェイス)やアレン脳科学研究所(Allen Brain Science Foundation、ワシントン州シアトル)が参加する。

2014年度、産総研と IPAが統合される~システム統合は産総研包括フレームワークで~

2013年04月01日 | 日記

来年度、いよいよ産業技術総合研究所(産総研:AIST)と情報処理振興機構(IPA)が統合される。経済産業省隷下の独立行政法人改革の第2段。

産総研は、環境・エネルギー、ライフサイエンス、情報通信・エレクトロニクス、ナノテクノロジー・材料・製造、計測・計量標準、地質という幅広い分野を網羅的に研究する日本最大の研究機関で、職員数は総勢3,000人を超える陣容だ。その内2,300名以上が研究者と言う人材の層も厚い組織。

一方IPAについては、「経済産業省所管独立行政法人の改革について」(2010年4月19日)において、抜本的な機構改革が謳われており、産総研との統合により、研究分野が重なるソフトウェア開発事業の統廃合、それと情報処理技術者試験業務が民間に移管される。

結局、IPAは産総研に吸収される事になるが、不必要な事業を廃止して、身軽になりつつ、産総研の研究機開発者とのシナジーが活かせる具体的施策が必要だ。

それと組織の統合と共に、システム統合も行われるが、これは「産総研包括フレームワーク」によって実装される事となる。産総研包括フレームワークの良い解説書が丸善から出版されている。是非一読あれ。
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トルコのクルド人問題が解決に向けて前進 ~クルディスタン独立構想はどうなる?~

2013年03月25日 | 日記
トルコのマルマラ海イムラル島にある刑務所には、武装組織クルド労働者党(PKK)の創設者アブドゥッラー・オジャラン氏が収監されている。トルコ政府は3回に渡ってオジャラン氏と交渉し、クルド人の新年を祝う祝日「ネヴルーズ」である3月21日に停戦する事で合意に達した。停戦締結は、トルコ情報機関(MIT)のトップであるハーカン・フェダン長官とオジャラン氏との間で行われた。

しかしながらMIT長官との停戦締結は意味深だ。オジャラン氏は以前から情報機関のエージェントであるとの噂が絶えず、義父であるアリ・ユルドゥルム氏は、情報機関との連絡係りだったと証言しているのは、当のオジャランである。当然ながら当人についても様々な憶測を呼ぶことになる。

イムラル・プロセスの対象は、HPG(PKKの軍事組織・人民防衛軍)とKCK(クルディスタン社会連合)も含まれ、PKK幹部の一人であるムラト・カラユラン氏は、ドイツ・ボンでのネヴルーズ集会で説で、「3月21日をもって停戦を宣言する。トルコ国会と政府が新憲法の司法第4案に関する委員会をつくり、法的な準備が整えば、ドイツ国内から撤退する」と表明している。

今回のクルド問題解決に向けたプロセスの背景には、アメリカ、ドイツ、イスラエルの影響が濃い。
駐アンカラ米国大使は、新憲法の司法案についても積極的な発言を行っており、国内に80万人のトルコ人を抱える駐アンカラ独大使もクルド問題の速やかなる解決への期待を述べている。またイスラエルもシリア内戦や対イランを視野に入れつつ、ガザでのトルコ人射殺事件の解決に向けて動いており、既に軍事面では融和が進んでいる。トルコ軍が調達するAWACSだ。機体はボーイング社製だが、内部の早期警戒管制システムの一部はイスラエル軍が開発&改良してきたシステムであり、ガザ事件以降、特許を理由にシステム提供を拒んできたが、今回、正式に供与する事になった。

PKKの在シリア部隊は、政府軍と戦闘を継続しているが、トルコ国内でのクルド問題が平和裡に終息する可能性が出てきており、今後のクルディスタン独立運動の動向に注目だ。

シリアでの化学兵器使用問題

2013年03月23日 | 日記

シリアで化学兵器が使用されたと報道されている。19日、石鹸で有名なアレッポに対し、弾頭に化学兵器を装填したスカッドミサイルが撃ち込まれ、30名が死亡したと報道されている。シリア政府は否定しているが、イスラエル情報機関は、政府軍による化学兵器による攻撃が行われたと言明している。しかし、弾頭には「エージェント15」と呼ばれる非殺傷剤が装填されていたに過ぎないとの情報もあるが真偽は不明。

化学兵器の使用に対し、国連事務総長は重大な懸念を表明し、直ちに化学兵器調査団を派遣することを決めたが、以前から化学兵器の使用は、アサド政権の「ルビコン」となるとの見解を示していた米国大統領府の対応が気になる所だ。既に米国上下両院の情報委員会において最新情報の共有と対応が協議されており、上下両院の情報委員会議長は、共にシリアで化学兵器が使用された可能性は高いとの認識を示している。また上院の軍事委員会において、米海軍将官であるNATO司令官がシリア情勢について、中東周辺諸国の同意が得られればNATO軍としてシリアに軍事介入する事が可能との意見を示している。つまりは、シリア政府軍が、もし化学兵器を使用したとすれば、その結果はアサド政権にとっての最終局面を招く愚かな行為と言う事だ。

過去ブログでも『シリア情勢とドイツ連邦情報局の活動など』として書いているが、もし政府軍の化学兵器使用は、軍事的に不利な状況に陥っている事を示唆しているのだろう。

イギリス政府は、シリアの化学兵器使用について、速やかに反応している。イギリスは、反政府軍に対し、ガスマスクと防護服などの化学防護資材と化学防護車両などを供与する発表している。因みに供与するガスマスクと防護服は、湾岸戦争時のもので、最新式では無いものの、シリアが保有するサリンなど化学兵器に対しては有効であり、イギリスにとっては、余剰物資の処分と反政府軍へのおおっぴらに支援を行えると言う一石二鳥の対応である。

フランス政府も、リビアの軍事資産が流出した結果、旧植民地マリで争乱が発生した事態の再発を警戒して、シリアからの武器流出について、フランス版エシュロンや情報機関を動員して、重点的に監視を行うとしている。今回のシリアの化学兵器もリビアからの流出したとの指摘もあり、警戒するのには合理的な理由がある。

既にイギリスは、特殊部隊SAS第23連隊の要員がアレッポで採取した土壌を入手しており、国防省隷下の研究所にて分析中というが、結果が非殺傷剤が検出されても、米英仏の対応を観るに「化学兵器が使用された確固たる証拠を掴んだ」との報道がなされるのだろう。

まあ、何れにせよドイツ連邦情報局長の見解は正しいのだろう。

台湾、サイバー部隊の創設へ

2013年03月22日 | 日記
韓国へのサイバー攻撃が注目されており、その影響は甚大だが、台湾に対する中国のサイバー攻撃も深刻だ。
このような状況の中、台湾総統直轄の情報機関・国家安全局の蔡得勝(Tsai Teh-sheng)局長が、中国などからのサイバー攻撃から台湾を防衛する部隊の創設を、台湾立法院外交国防委員会の「国家情報工作と国家安全局の業務」についての非公開答弁の場で明言した。

既に国家安全局と台湾行政院は、情報安全オフィスを発足させており、国家安全局が、馬英九総統自らが主催する台湾国家安全会議の事務局を努めており、同局は台湾におけるサイバー攻撃対策の主体でる。今回のサイバー部隊の創設は、防衛のみならず攻撃能力を有する事となるだろう。

台湾行政院政務委員で情報通信政策を担当する張善政も、中国からのサイバー攻撃を日常的に受けているとの認識を示し、情報安全オフィスは平時から各省庁に対し、ファイアーウォールのセキュリティ強化、コンピュータ使用規制などの対策を施しており、サイバー攻撃に備えていると説明している。

蔡局長によれば、昨年の中国からのサイバー攻撃は延べ334万回に達したと述べ、攻撃のターゲットが政治・軍事のみながらず、民間企業にまで及んでいるとしており、企業にもサイバー攻撃への警戒を呼び掛けている。

特に電力システムや金融システム、航空管制システムや台湾高速鉄路のなどの交通システムなどへのサイバー攻撃による社会インフラの破壊もありうるとの認識を示しており、台湾におけるサイバー攻撃の実態が深刻であることを証明するものだ。

日本においても発送電分離など、最重要な社会インフラである電力システムの分割が議論されているが、サイバー攻撃に対する脆弱性を増すことが当然ながら予想され、個人的には発送電分離には反対である。
失敗に終わったオバマのグリーンニューディールをトリガーとして持てはやされているスマートグリッドなどは慎重な対応と検討が必要だ。

独立行政法人情報通信研究機構(NICT)

2013年03月19日 | 日記

独立行政法人情報通信研究機構訪問

(1)インシデント分析センター (ネットワークセキュリティ研究所 5号館3階)
・デモルームにおいてリアルタイムでのサイバー攻撃の状況を見ながらNICTが開発したnicter (Network Incident analysis Center for Tactical Emergency Response)の概要説明を受けた。
Nicterは、インターネットで発生する様々なセキュリティ上の脅威を迅速に把握し、有効な対策を導出するための複合システムで、ネットワー ク攻撃の観測やマルウェアの収集などによって得られた情報を分析し、その原因を究明するシステムで視覚的にサイバー攻撃の模様を確認する事ができ、素人でも分かり易いデザイン性を持つシステムである。

・nicter は、マクロ解析 、ミクロ解析 、マクロ=ミクロ相関分析の 3つのシステムから構成され、得られた分析結果を視覚的にリアルタイム表示するインシデントハンドリングシステムからから構成されている。
・マクロ解析フェーズ
 ネットワークモニタリングフェーズではインターネット上で発生する様々なイベント(トラフィックデータや、ファイアウォールのログなど、ネットワーク上で起こった事象の記録)を定常的に収集する。このマクロ解析フェーズでは、ここで得られたデータから振る舞い分析、変化点分析といったアルゴリズムを用いて、実時間でのインシデントの自動検出を行う。

・可視化処理部
 サイバー攻撃を分析する担当者に対し直感的なインシデントの検知を可視化するもので、ネットワークトラフィックを3次元的に表示する。可視化処理部では、サイバー攻撃の前段階で行われるスキャンの挙動が分かりやい形状で表現されるため、適切なタイミングでインシデントの判定や各種の詳細分析を開始する事が出来る。

・ミクロ解析フェーズ
 ミクロ解析フェーズではマルウェア検体収集フェーズによって得られたウィルスやワームの検体に対して、逆アセンブルによるコード解析や仮想環境内での挙動分析を行い、行動パターンを抽出する。これらの分析情報をデータベースに蓄積しつつ、同時にマルウェアへの耐性を持つワクチンの生成も行う。

・現在、中央官庁や情報通信技術関連の業界団体などによって、いくつかのネットワーク監視プロジェクトが立ち上がっており、NICTもこれらプロジェクトの支援を行っている。しかし、これまでの研究プロジェクトではインシデントを検知することはできても、その発生原因まで追跡することは困難であり、より詳細なイベント分析手法が必要とされていたが、nicterの開発により広域ネットワークでのイベント分析結果とマルウェアのミクロ解析、それとインシデントの発生原因を特定する技術が確立する事となった。NICTで開発された技術は、警察など官庁のみならず、民間企業などにも情報や技術供与を行っており、日本におけるサイバーセキュリティ分野において中核的役割を担っている。

(2)日本標準時(電磁波計測研究所2号館3階)
・NICTの時空標準研究室は、「日本標準時をつくる」、「比較する」、「供給する」と言う三大業務を担当している。

・日本標準時は、周波数安定度が優れているセシウム133を用いた原子時計18台と、4台の水素メーザーを用いて、原子時計相互の時刻差を毎秒計測し、この時刻差データをもとに、原子時計の時刻を1時間に1回、周波数制御することによって、協定世界時であるUTC (Coordinated Universal Time) を生成している。この生成された日本標準時は、グリニッジ標準時から9時間(東経135度分の時差)を進めた時刻となっている。
 
・この一連の日本標準時生成過程は、コンピュータによる制御によって、すべて自動的に行われます。また、現用・予備用の複数系統で時刻の生成を行っており、機器の故障などで日本標準時が途切れることはない。

・NICTは、協定世界時(UTC)と日本標準時との差が±10ナノ秒(1ナノ秒は10億分の1秒)以内を目標として調整し管理している。その調整は、GPS衛星を用いた時刻比較方式と静止衛星を用いた時刻比較方式を併用しており、高精度な国際時刻比較を行っている。

・日本標準時を供給する業務は、国内2箇所にある長波帯標準電波施設から行っている。1箇所は、福島県の「おおたかどや山標準電波送信所」(福島県・田村市都路町/双葉郡川内村)で、日本発の標準電波送信所で、1999年6月に標準電波(40kHz)の送信を開始。東京電力福島第一原発事故の際には、室長自ら防護服にみを固めて送信所の運営維持を現地にておこなっている。2箇所目の施設は、佐賀県の「はがね山標準電波送信所」(佐賀県佐賀市富士町/福岡県糸島市)で、2001年10月に標準電波(60kHz)の送信を開始している。

・2箇所の長波標準電波送信所は、小金井の電磁波計測研究所が震災などで機能を失った場合のバックアップシステムでもあり、送信所には独自にセシウム原子時計が装備されている。

・現在の原子時計による時間は、地球の運行に基づく天文時間(世界時(UT)に準拠するように調整された人工的な時間であり、これを前述の通り協定世界時(UTC)と言うが、地球の自転速度は、潮汐摩擦などの影響によって変化するため、世界時と協定世界時(UTC)との間には差が生じる。この時差を補正する為に協定世界時(UTC)に1秒を挿入、若しくは削除する事により世界時UTとの差が0.9秒以上にならないように世界同時に調整している。これを「うるう秒」と言い、直近では昨年2012年7月1日午前9時に、3年6か月振りとなる 「うるう秒挿入」 が実施された。これは 「うるう秒」制度が1972年に始まってから25回目である。

(3)合成開口レーダー技術(電磁波計測研究所6号館1階)
・NICTは、航空機搭載型の合成開口レーダ(以下、Pi-SAR2)を開発し、火山噴火や、先の震災などの情報収集に役立たっている。航空機は名古屋にあり、必要に応じて2基のPi-SAR2を搭載して、被災地などへ移動し観測している。予算があれば航空機を増やしたい所だが、そうもいかず必要な時にチャーターして運用している。

・合成開口レーダは、航空機の進行方向に対して斜め下方に電波を照射し、地表面をあたかも航空写真のような画像として観測することができる。光学写真と違い、3cmのレーダ波は、雲や火山の噴煙を透過するので、高高度で観測しても分解能(観測の細かさ)を維持できる。Pi-SAR2は通常6,000mから 12,000mの高さで観測し、分解能は30cmである。最大の特徴は一度に5km-10kmの幅のエリアを観測できる事。

・最近の観測事例としては、平成23年2月22日に噴火した新燃岳の火口を観測した事と、3.11の震災の際には、仙台空港などの観測を実施している。合成開口レーダは、情報収集衛星にも搭載される予定であるが、分解能は非公開である。

・合成開口レーダーは次世代情報偵察衛星に搭載される予定で、勿論分解能は30センチの10分の1以下となるだろう。しかしながら分解能は推測です(笑)

イスタンブール西部開発と第三空港プロジェクト

2013年03月19日 | 日記
相変わらず、トルコにおいてはシリア国境地帯で軍事的緊張が高まりこそすれ、脅威が減少することはない状況が続いているが、イスタンブールの西部地区の新規都市開発プロジェクトが始動している。このイスタンブール西部開発の延長線上には黒海経済圏の盟主としての地位を確実にする国家意志を感ずるのは、気のせいではないだろう。

ご存じの通りイスタンブール(5,343平方km)は、ボスポラス海峡を挟んで欧州半島とアジア大陸に跨って位置する歴史ある文化・観光都市で、イスタンブールだけでトルコの全GDPの22%と政府税収の約40%を生み出すトルコ経済の中心である。特に近年、イスタンブールへの観光客が激増している。イスタンブール県文化観光局の統計によれば2012年1~8月間にイスタンブール を訪れた観光客の数は、昨年の同じ期間に比べて17.8%増加の614万8千人に上った。 因みに昨年の同期間の観光客数は521万7千人。

経済発展著しいトルコの中心としであるイスタンブールでは、人口が2000年代以降急速に増加しており、1980年の615万人から2011年には13,48万人に倍増している状況であり、都市機能はこの人口増大に整備が追いついていない。特にイスタンブールの乗用車台数は200万台の大台を超え、高速道路などの交通インフラ整備は、後手後手で慢性的な交通渋滞、深刻な排気ガスによる環境問題などが年々深刻化している。

このようなイスタンブール西部で新都市建設プロジェクトが始動した。新都市は、イスタンブールのテルコス湖近郊に建設予定の第三空港とその周辺地域であるイェニキョイ=アクプナルから、南部のバシャクシェヒルを含むキュチュクチェキメ湖にまで至る。この新都市開発地域である約4万ヘクタールの新都市建設予定地域における無許可建築物が一掃される協定が、環境・都市計画省、交通海事通信省、集合住宅局(TOKİ)、土地・住宅・不動産投資共働会社(Emlak Konut GYO)の間で調印され無許可、無人建築物など都市建設に邪魔な建築物が一掃される事となり、開発の下準備は完了した。

現状で明らかになっているのは、黒海沿岸の北部地域に建設される第三空港(約9000ヘクタール)とその周辺地域約2万5000ヘクタールの用地に、公共空間を含む住宅群、スポーツセンターを含む教育施設と産業技術研究開発センター等が計画されている。また別に4400ヘクタールの用地がプロジェクト予備地域として指定されている。

このイスタンブール西部開発プロジェクトで重要なのが、第3空港プロジェクトである。黒海の近くにあるアルナヴトキョイ=ギョクテュルク=チャタルジャの道路が合流する交差地、約3500ヘクタールの土地に建設される。この空港は現状の計画通りに行くと、合計6つの滑走路を持つ世界で最大規模の空港の一つになるだろうと言われている。
(※:建設予定地のイェニキョイ(アルナヴゥトキョイ郡)と、アクプナルキョイ(エユップ郡)は、イスタンブール周辺の貯水の約22% を占めるテルコス湖に近い位置にある)

第三空港プロジェクトは段階的に進められ第一期工事は2017年に完了する予定で、最終的に150万人の旅客収容力をもつ巨大空港となる。第一期工事の入札日は、今年(2013年)の5月3日で、入札にはトルコ国内の企業グループなどが札を入れるべく様々な動きがみられる。因みに第三空港の建設は、イスタンブール第三橋と同期を取り同時期の完成を目指している。

今年のトルコの航空旅客数は1億4400万人で、旅客も通過を含めて1500万を超えると予想されており、前述の通りイスタンブールへの観光客の増大を踏まえて、歴史ある都市として国際競争下にあるイスタンブールにとって、第三空港の位置づけは非常に重要である。

第三空港の建設に伴い地域の開発も進む。空港や航空会社関連など雇用の拡大とイェニキョイ=アクプナルキョイ周辺の人口は増加するだろう。この人口増加に対応する為、新しい住宅地、商業施設やホテルが建設されるだろう。また空港とイスタンブール市街地への移動の為、高速道路の建設と広軌鉄道の敷設が必要となる。

イスタンブール北部都市開発プロジェクトは、環境・都市計画省が主体で実施され、上記の協定に調印した各組織・団体は、開発地域にて、それぞれに割りあてられた開発業務を実行するが、既に土地・住宅・不動産投資共働会社が不動産の入札を行っている。「第二回イスタンブル・カルタル土地売却による利益分配に関する入札」では合計41社のうち18社が応札に応じている。
何れにせよイスタンブールの西部開発プロジェクトは始動したばかりで日本企業にもまだチャンスはありそうだ。