阿部ブログ

日々思うこと

海洋政策研究財団が北極をテーマとするフォーラムを開催~北極のポテンシャルに注目~

2013年07月11日 | 雑感
海洋政策研究財団は、7月24日に「北極をめぐる課題と我が国の取組」と題して海洋フォーラムを開催する。講師は、北極担当大使の西林万寿夫氏。

過去ブログでも書いたように、西林氏は、今年5月15日、日本がオブザーバー資格を得た北極評議会(Arctic Council:AC)の閣僚会合に北極担当大使として参加しており、今後の北極圏における日本の取り組みについて講演されるのだろう。

日本は、北極評議会のオブザーバー資格についての申請を2009年7月に提出。2012年11月6日の北極評議会オブザーバー及びアド・ホック・オブザーバー会合に、当時の吉良州司外務副大臣が出席し、アド・ホック・オブザーバーからオブザーバー資格を得て活動したいとの決意表明を行い、年明け2013年3月20日に、西林氏が北極評議会・高級北極実務者(Senior Arctic Officials:SAO)会合に出席。評議会加盟国メンバーに日本のオブザーバーへの昇格について協力要請を行った。
そして5月の第8回北極評議会・閣僚会合で晴れてオブザーバーとして承認されるに至った経緯がある。しかし、今回オブザーバー資格を得たのは、中国、インド、イタリア、韓国、シンガポールの6カ国。これでオブザーバーは合計12カ国となった。因みに既にオブザーバーなのは、フランス、ドイツ、ポーランド、スペイン、オランダ、英国。

北極評議会の加盟国は、当然の事ながら北極圏に接する国で構成されており、カナダ、グリーンランドを含むデンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、ロシア、スウェーデン、米国の8カ国。これに北極圏の先住民族が参画している。
(1)イヌイット極域評議会(ICC:The Inuit Circumpolar Council)
(2)ロシア北方民族協会(RAIPON:The Russian Association of Indigenous Peoples of the North)
(3)サーミ評議会(The Saami Council)
(4)アリュート国際協会(AIA:Aleut International Association)
(5)北極圏アサバスカ評議会(AAC:Arctic Athabaskan Council)
(6)グイッチン国際評議会(GCI:Gwich'in Council International)

北極が注目されるのは、勿論、北極海航路もあるが、やはり一番は、その莫大な鉱物資源であり、石炭・石油・天然ガスなどのエネルギー資源の存在だ。グリーンランドでは今、農業ブームが起きている聞くから、北極圏の変化は、2週間以上早い梅雨明けでめげそうな我々の想像を超えているのだろう。
何せ、北極圏には世界のパラジウムの40%、プラチナの15%、ニッケルの10%、タングステンの9%が埋蔵されていると言われている。それと世界の漁獲量の10%、森林資源も8%と、これまた膨大。この資源に魅せられて中国がグリーンランドやアイスランドなどに食指を伸ばしている。我々はこれを看過するのか?

韓国の次期戦闘機選定が一時中断 ~アベノミクスによるウォン安が影響~

2013年07月11日 | 雑感
過去ブログ「韓国の対抗部隊「甲」は日本・自衛隊 ~次期戦闘機KF-Xが山場~」でも書いた通り、韓国の次期戦闘KF-Xの調達が山場だが、総予算73億ドルに収まる提案が提示されず、やむなく選定作業を一時中断する決定が下されている。

韓国軍は、次期戦闘機60機を5年間(2017年から2021年)で調達する計画だが、これは建国以来、最大の兵器調達。このKF-X計画は3段階のフェーズに分けて進められるプロジェクトで、第1フェーズの「Technology Development」は、2012年12月に終了。この最初のフェーズでは、調査団を米国とスペインに派遣して候補機の評価分析を実施している。この際、最も実機に近似する機体に試乗できたのは、トランシェ3と同等のフェーズ1エンハンスメント・ソフトウェアを実装したタイフーンだけで、15回の飛行評価の機会を得ている。しかし、空軍垂涎のF-35は、シミュレータのみで、評価らしい評価ができないまま調査団は帰国している。第2フェーズは、試作機製造を含む「Engineering and Manufacturing」。最終段階の第3フェーズ「Joint Production and Joint Marketing」がゴール。

実は、今回のKF-Xは、韓国単独のプロジェクトではなく、共同調達者としてインドネシアが費用の20%を負担するスキームのプロジェクトなのだ。韓国国内に設置されている共同開発センターには、インドネシアの軍人/軍属が37人派遣されているが、今回の選定作業の一時中断にインドネシア国防省も苛立ちを見せている。

しかし、韓国はつくづく運の悪い国だ。アベノミクスによる円安に連動して、ウォン安となっているからだ。韓国銀行が6月10日に発表した輸出入物価指数によると6月の輸入物価指数は104.73で前月比2.2%上昇したと発表している。原因は、6月のウォン・ドル相場が2.2%のウォン安・ドル高になったこと。第1回の入札は、6月18日に公示され28日までに合計30回の札入れが行われたが不調に終わった。7月2日に再開され25回の札入れが行われたが、これまた不調。これは、ロッキード、ボーイング、EADS3社の提示価格が73億ドルを超えており、様々な条件を変えても韓国側の調達条件を満たす事が出来ない状況を解決できないでいる。

これで韓国の次期戦闘機選定は、秋以降にずれ込む事となる。しかし、日本発異次元の金融緩和によるウォン安と言う経済トレンドは、変わる事はないだろう。韓国軍の本命はロッキードF35。しかし開発途上のこのステルス機を韓国が調達するには、結局、機数を減らす事が最善の判断となるだろうが、軍は納得するか? 今年度内に機種の選定を行わないと、韓国経済の変調により計画そのものが無期延期となる可能性があるが~

このような状況はインドも同じ。つまりインド・ルピーの対ドル相場が下落しており、調達案件について、相対的に海外企業が有利な状況。インド国内の防衛企業が、政府に対し保護策を講じるよう陳情する事態となっている。シェール革命と製造業回帰により米国経済が大きく復調すると、米ドル建てでの武器調達は、最新の防衛システムを構築しようとする国々においては頭の痛い問題だ。