阿部ブログ

日々思うこと

トランプ政権の科学技術予算案〜NIHの予算大幅削減とARPA-E廃止〜

2017年05月04日 | 雑感

3月に出たトランプ政権の2018年予算案をチェックしていると、予想通りエネルギー省予算案は大幅削減。以外だったのは国立衛星研究所(NIH)の予算が20%程削減されている点だ。驚いた。

エネルギー省(DOE)の国家核安全保障局(NNSA)の予算は約11%引き上げられる。片やDARPAを模倣したエネルギー高等研究計画局(ARPA-E)は廃止される。また、同省の再生可能エネルギー、エネルギー効率、化石燃料、原子力、電力網関連の研究開発も累計で45%削減。オバマ政権当初のグリーンニューディールとやらでスマートグリッドなどが注目されたが、当初からバカバカしい政策だと思っていたが、削減されて当然だ。

国立衛生研究所(NIH)は、259億ドルに削減される。また、巨大組織で様々な研究所がぶら下がっているNIHは、大幅再編の危機に瀕している。この再編で、フォガーティ国際センターなど幾つかの組織はの廃止される予定で「疾病管理・予防センター」なども改革対象。

米航空宇宙局(NASA)は影響が少ない。1%程度の削減なので誤差の範囲内。オバマ政権の小惑星サンプル・リターン・ミッション(ARM)は中止で、RESTORE-L(燃料補給人工衛星)ミッションは大幅見直しの対象。NASAの航空機研究は2.5%の削減。NASANASA教育局は廃止。

海洋大気局(NOAA)は、2億5,000万ドルの削減で、Polar Follow Onイニシアティブは中止で、今後は民間におまかせ。気象研究・予測イノベーション法による地球観測シミュレーションとかや次世代気象専門のスパコンとモデリング・シュミレーションは機能強化される。また海洋・大気研究局に新規2,000万ドルの技術移転イニシアティブが創設される。最大の影響は、気候変動プログラムの大規模な見直しか中止で、気象衛星システムの運用コスト等の削減で数億ドル浮かせる予定。

何れにせよ、削減対象のプロジェクトに所属する研究者には気の毒なことだ。

F-35のソフトウェアBlock Ⅲ Fの開発遅延

2017年05月04日 | 雑感

Joint Strike Fighter F-35 Lightning IIのソフトウェア開発に米会計監査院(The U.S. Government Accountability Office:GAO)が懸念を表するレポートを発表。
F-35 JOINT STRIKE FIGHTER:DOD Needs to Complete Developmental Testing Before Making Significant New Investments
(GAO-17-351: Published: Apr 24, 2017. Publicly Released: Apr 24, 2017.)

F-35の一応の完成版であるBlock Ⅲ Fは、現在開発中で2019年初頭の完成を目指しているが難航&遅延しており問題視されている。GAOはソフトウェアの遅延によるコスト増加額は2000億円程度と試算している。Block Ⅲ Fの完成を待たずして「Block Ⅳ A」と「Block Ⅳ B」の開発がスタート。それぞれ2021年と2023年に実戦運用が目標が、Block Ⅲ Fの完成を見届けてからの開発着手を提言している。
F-35のソフトウェアの新規開発するソースコードは2700万ラインを超えると言われており、バグ取りにカナダD−Wave社の量子コンピュータを使用しているとも言われる。このコンピュータは量子アニーリング方式で、動くアルゴリズムは限られるが、最適化計算やF-35 のようなバグ取りに利用可能。F-35の開発手法が従来通りのウォーターフォール方式だと納品後の不具合等での手戻りがでるだろうから開発手法の見直しが必要。
さて、自動車の専門家に聞くと、今の自動車のソフトウェアは1億ライン規模とのこと。これは組み込み系ソフトを全て加えたものだろう。F-35 の組み込みソフトを含むソフトウェアの規模はどの位になるのだろうか?