阿部ブログ

日々思うこと

サリンなど神経剤の特性と診断・治療の現況

2013年09月30日 | 雑感
サリンなど神経剤の特性と診断・治療の現況について、下記の内容で話を。
前半部分だけ内容を一部省略して、下記↓

■冒頭
ベラドンナという植物があります。これ(写真を見せる)
イタリア語で「美しい淑女」を意味して ルネッサンス期にベネチアで目を大きく美しく見せるため 婦人たちが植物の葉の汁を点眼していました。
ベラドンナの葉や根には アトロピンが含まれていて 瞳孔を拡大する散瞳作用があり ナチスドイツはアトロピンを神経ガスの解毒剤として使えることを既に発見していました。
現在 米軍やロシア等で採用されシリアで使用された神経ガスに暴露された場合に使用する自動注射器は、アトロピンとパムの2本から構成される。(イスラエルの実際のブツを見せるし、映し出す)アトロピンは アセチルコリンをブロックして 過剰な信号伝達を抑えます。パムは、アセチルコリンエステラーゼから神経ガスを引きはがし、酵素を再活性化させます。神経ガスは、アセチルコリンエステラーゼに結合して時間が経つと、エイジングという現象によりパムが効かなくなります。特にソマンは約2分でエイジングが起こってしまい パムがほとんど効きません。

■はじめに
神経剤は、主として抹消神経シナプスにおける信号伝達に影響を及ぼすことにより障害を起こす有機リン化合物。開発はドイツ第三帝国だが、ヒトラーの指示により非人道的として大戦期使用せず。戦後、米英ソから技術が流出し、イランーイラク戦争、イラクによるクルド人弾圧において使用された。
平成6年6月27日、長野県松本市において発生した松本サリン事件、及び平成7年3月20日、東京の地下鉄霞ヶ関駅において発生した東京地下鉄サリン事件は、非軍事組織によって神経剤が生産され、民間人に対して使用された史上初めてのケース。
地下鉄サリン事件は、つまり化学兵器をテロリズムに使用することへの抵抗感を打ち破る出来事で、シリアにおける化学兵器使用問題は、この延長線上にある。この講演では、シリアで使用されたサリンを含む神経剤の特性を示し、それらによる中毒時の診断・治療法などの現況について説明する。

■神経剤の種類と特性
毒ガスは、第一次世界大戦において開発・使用されたが、神経剤の開発は1930年代にはじまる。
ドイツの化学工業企業トラスト・IGファルベン社のGerhard Schraderらは新規農薬の開発に注力し、様々な有機リン化合物を合成し、その過程で1936年にタブン、1938年にサリン、終戦間際の1944年にソマンを開発した。
これらは、最初にドイツで開発されたため、German gasの頭文字をとってG剤とよばれ、開発順にGA、GB、GDというコードネームがつけられている。
このG剤の他、1950年代にDDTに代わる農薬開発に取り組んでいた英ICIの植物保護研究所 Ranajit Ghoshなどの研究者は、硫黄を含む新規有機リン化合物の有用性に着目。揮発性は低いが、極めて毒性の強を持つ有機リン化合物は、毒(Venom)の頭文字をとってVXと名付けれ、この後、多種のV剤が欧米ソで開発され実戦配備された。

※観客の反応をみて以下を参考に:
神経剤は、他の有機リン系殺虫剤と同様に、アセチルコリンエステラーゼをリン酸化して不活性化し、ニコチンおよびムスカリン受容体、並びに中枢神経系(CNS)のその他の受容体においてアセチルコリンを蓄積させる。化学兵器に使用される神経剤には、タブン(GA:tabun)、サリン(GB:sarin)、ソマン(GD:soman)、シクロサリン(GF:cyclosarin)、及び戦後開発されたVXがある。室温では、VX以外は全て揮発性。VXはモーターオイルによく似た粘性を持ち、周囲が高温状態のときのみ揮発する。神経剤の蒸気は空気よりも高密度で、低い層に蓄積する傾向がある。神経剤はすべて脂肪親和性および親水性で、衣類、皮膚および粘膜に急速に浸透する。

神経剤と農薬は、紙一重なのだが本質的には同じ種類の劇物である。農薬の場合、神経剤のメチル基CH3、エチル基C2H5などのアルキル基がリン原子に直接結合したものは極めて少ない。これが神経剤と農薬の大きな相違点。
大部分のG剤は、アルカリ溶液によって容易に加水分解される。

サリンのときの反応式は、CH3P(O)FOCH(CH3)2(サリン)+H2O(水)→CH3P(O)OCH(CH3)2OH(メチルホスホン酸モノイソプロピル)+HF(フッ化水素)
※サリンと水の反応は、アルカリがさらに触媒として加わると反応が早まる。

以下の反応は極めて緩慢に進行。長時間を要する。
CH3P(O)OCH(CH3)2OH(メチルホスホン酸モノイソプロピル)+H2O→CH3P(O)(OH)2(メチルホスホン酸)+(CH3)2CHOH((イソプロピルアルコール)

サリンは25℃においてpH4.0-6.5では半分になるのに175時間、pH7.0では54時間、pH8.0では5.4時間、pH9.0では0.54時間。
一般的なイメージとしては、神経剤は気体として使用されると思われがち。「神経ガス」とよばれているから誤解を招くが、サリンなど純粋な神経剤は、常温においては無色の液体。「神経ガス」という呼称は適当ではない。

■神経剤中毒の診断・治療の現況

(今回は最初に結論を言う)
神経剤はアセチルコリンエステラーゼを不活性化してコリン作用を亢進し、生命を脅かす呼吸器および神経系の損傷を引き起こす。
アトロピン、及びプラリドキシムで治療すれば患者の生命を救うことができる。

神経接合部(シナプス)、神経筋接合部などにおいては、主にアセチルコリンが信号伝達物質となって命令を伝えている。命令の伝達が終わるとアセチルコリンは速やかにアセチルコリンエステラーゼ(AchE)によって分解され、次の信号伝達に備える。神経剤は、このAchEと不可逆的に結合し、アセチルコリン過剰状態を作り出す事により、筋肉の痙攣・引き攣り・虚脱・麻痺や縮瞳・気管分泌物の増加・鼻汁・流涙・尿失禁・腹痛・嘔吐などの多様な症状が出る。さらに、アセチルコリンは中枢神経にもあるので不安・興奮・不眠・悪夢などの症状が現れる。これらは有機リン系化合物中毒一般にみられる症状であるが、神経剤では縮瞳がきわめて顕著に現れる。これはシリアでも確認されている。

身体に付着した神経剤が付着している場合、当該物質を分析することにより原因物質が特定され、診断につながる。しかし、通常は神経剤中毒に特異的な診断法は存在せず、化学兵器の使用(神経剤を浴びたなど)に関する状況情報など付加情報が不可欠。
もし現地にガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)があれば、(一般的な病院、つまり臨床現場には装備されていないと思った方が常識的ですが)鼻汁や血液中に、メチルホスホン酸モノイソプロピルが検出されると、サリン使用の重要な傍証となる。患者は、縮瞳、分泌亢進、筋肉の痙攣・虚脱などの症状と、血中コリンエステラーゼ値の低下が見られ、有機リン系化合物中毒を推定する根拠となり治療の方針が固まる。

神経剤中毒の治療法は、アトロピンの静脈注射と2-PAMなどのピリジニウムオキシム(オキシム剤)の投与を行う。これ以外の治療法は無い。
アトロピンは、縮瞳・分泌亢進・嘔吐などの症状を緩和する。このアトロピン投与が本命の治療。オキシム剤は、アセチルコリンに結合した神経剤の分子を切り離して再賦活させる治療法。オキシム剤治療で重要な点は、神経剤がアセチルコリンに結合して一定時間がたつと、エイジングとよばれる不可逆変化が起こり、もはやオキシム剤は効かなくなると言う事。サリンの1/2エイジング時間は約5時間なので、浴びてから5時間以内に2-PAMを投与する事。これ重要です。

※付加情報:
パム(PAM)
プラリドキシムヨウ化メチル(プラリドキシムヨウかメチル、pralidoxime iodide)は、有機リン剤中毒の特異的な解毒剤。一般的な通称はパム(PAM)、若しくはオキシム剤。化学的にはピリジニウム環にオキシム部位が置換した構造を持つ。本来想定していた用途は、有機リン系の農薬中毒対処。PAMは、大日本住友製薬(前:住友製薬)が1955年より医療用医薬品「パム静注500mg」として製造発売。もともと同社の前々身で母体でもある住友化学は有機リン農薬を製造しており、同農薬による中毒に対処できる薬剤として細々と製造され、農業地帯の病院を中心に常備されてきた。
(※:ミツバチ問題でネオニコチノイドの質問がある可能性あり。観客に専門家/活動家がいる。質問歓迎)

神経剤中毒の予防としては、臭化ピリドスチグミン(ピリドスチグミンブロマイド)の投与は無意味。これは湾岸戦争は、米軍が第一線部隊将兵に投与したが、サリンやVXには有効ではない。特に臭化ピリドスチグミンは、作用時間が約8時間と短かく、1日3回の定時内服が必要で、仮に神経剤中毒を十分に予防するには大量の臭化ピリドスチグミンを体内に取り入れる事になるが、これは兵士の消化器を不調するなど副作用がある。これは、英軍でも投与され、イギリスの特殊部隊第22SAS連隊のアンディ・マクナブが『ブラボー・つー・ゼロ』にも書いており、メスチノン(ロシュ社の臭化ピリドスチグミン剤の商品)を強制的に飲まされ戦闘意欲を著しく減退させたことを書いている。
臭化ピリドスチグミンなど湾岸戦争時に兵士に投与された薬剤と劣化ウランが「湾岸戦争症候群」を生じさせたと言われる背景がこのあたりにあるが・・・(この部分は省略)

※観客の反応を見て付加的に説明:
(1)アトロピン:
アトロピンは、アセチルコリンのムスカリン様受容体の競合的阻害薬。
神経剤により生じる分泌過多、気管支収縮および消化器系作用を回復させる。アトロピンの成人常用量は、軽度の呼吸困難に2mg、重症の呼吸困難に6mgを筋注する。治療終了は、過剰分泌物の正常化および呼吸困難の改善。心拍数および瞳孔の大きさはアトロピン治療の臨床的指標としては不十分。頻脈は低酸素血症、ストレス、または重症のニコチン様作用に基づく場合があり、縮瞳は数週間持続することがあるから注意。アトロピンは、5-10分毎に2mgを反復投与することができる。神経剤に被爆した患者は、まれに最初の24時間で20mgを超えるアトロピンを必要とすることがある。これはシリアでも同様の報告がなされている。 

(付加情報)
アセチルコリン受容器には二つのタイプがある。骨格筋にみられるニコチン酸と、平滑筋、腺、中枢神経系で見いだされるムスカリン。
アトロピンはムスカリン受容器をふさぐ。このためアトロピンとオキシムはお互いを補完し、2つの解毒剤は同じく共同作用効果を持つ。
 
(2)塩酸プラリドキシム:
塩酸プラリドキシム(Protopam Chloride)は、オキシム系アセチルコリンエステラーゼ再活性化薬。
神経剤に結合することにより神経剤アセチルコリンエステラーゼとの結合部位から切り離し、脆弱となった筋肉を回復させる。塩酸プラリドキシムは、アトロピンと同時に投与する。プラリドキシムは、アトロピンの薬効で神経剤とアセチルコリンエステラーゼの結合が長時間継続する前に投与したときのみ有効で、早期の投与が必須。神経剤の半量が熟成するまでの時間は、ソマンで約2分、サリンで5時間、タブンで13時間、VXで48時間。この時間は患者の生死に関わる。プラリドキシムの常用量は1-2g静注または筋注。静注投与は、高血圧を避けるため、20-30分以上かけて行う。患者の容態を見て1時間毎に反復投与、または500mg/時間で連続静注する。 

(3)ジアゼパム
鎮痙薬ジアゼパム(Valium他;セルシン、ホリゾン)10mgを初期に筋注すると、重症の神経剤中毒患者における、永続的なCNS損傷を防ぐことがある。しかし神経剤の被爆・暴露状況による。
 
(4)トロピカミド
トロピカミド(tropicamide)は、局所適用の毛様体筋麻痺による縮瞳改善薬。虹彩括約筋および毛様体のコリン作用亢進を阻害し、神経剤による眼痛を改善する。成人用量は0.5%溶液1回1-2滴で、患者の容態をみて反復投与する。
 
■自動注射器
アトロピン2mg、プラリドキシム600mg、ジアゼパム10mg、およびモルヒネ10mgを(各々個別に)含有するバネ式筋注用自動注射器が、軍隊・準軍事組織においては常備配備されている。イスラエルにおいては、支給されれるガスマスク一式には、アトロピン注射器(薬剤込み)が一緒に配られている。
Meridian Medical Technologies, Columbia, MD (www.meridianmeds.com/civdef.html)から入手。(URLは大丈夫?確認)
 
スウェーデンの自動注射器の場合、HI-6(500mg)とアトロピン(2mg)が配合された薬剤が仕込まれている。HI-6は、損傷の原因すなわち、神経ガスによって抑制されたアセチルコリンエステラーゼに直接反応するオキシム。HI-6は、酵素を活動可能な状態に回復させる再活性剤の役割を果たす。またオキシムは、脳内への浸透能力が低いため末梢神経系で主に効果を発揮する。

(一部削除)

種々の神経ガスは多かれ少なかれオキシムで扱うことが容易な中毒を起こす。つまりサリンとVXは治療するのには最も容易で、オキシムが使われたならば、これらの神経ガス中毒の生存確立を高める。オビドキシムはタブン中毒に対して最も効果的だが、HI-6も有効。ソマンは最も治療の難しい中毒を起こし、HI-6でのみ治療できる。これは覚えておきましょう。
ソマン中毒は、抑制された酵素によって所謂「老化過程」を亢進し、酵素はオキシムによって復活できなくなる。HI-6がその再活性化能力以外に、それ以上の積極的な解毒剤効果を持っている可能性がある。これは患者の被爆・暴露状況によると思われる。

もし状態が10分以内に改善しない場合、患者に追加の自動注射を行うが、最初に追加のアトロピンと対痙攣薬であるジアゼパムを注射する。
神経ガスによるひどい中毒の場合、大量のアトロピン(グラム単位)が必要となる。活動可能なアセチルコリンエステラーゼのレベルは、次第に肉体自身の生産によって復元されるが、この過程は少なくとも2週間を必要とする。この期間と、おそらくはその後も、犠牲者は睡眠障害、記憶喪失、集中欠如、不安のような精神障害と、筋肉の弱まりに対する治療が必要となるだろう。ヒトラーの場合もそうだが、ガス兵器や神経剤など化学兵器に暴露した結果の精神的問題は、低い濃度に長く晒された場合に深刻かも知れない。これは経験から言える事です。

■シリアの状況(一部のみ記載)
化学兵器が使用された地域は2ヶ所。東グータと西グータ。東グータ地域はザマルカ地区とアインテルマ地区、西グータ地域はマードミーヤ地区。使われた兵器の残骸を調査したところ、これらの兵器は政府側しか所持していないことが判明。
東グータには330ミリロケット弾、西グータでは旧ソ連製140ミリロケット弾。これらロケット弾の弾頭は先が筒状になっており、化学兵器(サリン、VXガス)が装填できる。
ダマスカス市内の病院で働く医療従事者へのヒアリングによると、痙攣や垂涎、縮瞳、視力低下、呼吸困難などの症状で多数の患者がきているとの発言を得ている。シリアでは、アトロピン、エピネフリン、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾンなどの薬剤が不足している。


■神経ガスの検出物
通常ある化合物を合成するにはいろいろな方法があるが、製法によっては前駆体(物質を合成するとき、その物質より前の段階にある物質)や
中間体(原料物質から最終物質に到るまでの各段階ごとの生成物。中間生成物ともいう)が異なっているので、それら前駆体物質が検出されれば、その化合物がどの製法でつくられたかを推測することができる。

土壌や水からサリンの分解物を検出する方法。
この分析方法を最初に確立したのは、イギリス・ポートンダウンにある化学戦防衛研究所。1988年、イラク政府がクルド人攻撃のときにサリンを使ったという場所から、1992年に土壌のサンプルを採取し、質量分析によってサリンの分解物を検出し、サリンの使用を実証した。検出したのは、メチルホスホン酸イソプロピルとメチルホスホン酸。(後述の地下鉄サリン事件に関わる)

被害者の血液や尿から検出される物質から。
サリンは体内のアセチルコリンエステラーゼ(AChE)と結合し、血液中のAChEの濃度を低下させる。しかし、AChEの濃度を測定しただけでは、どんな神経ガスや有機リン殺虫剤を使ったか判断できない。そこで被害者の尿や血液から、これらの物質の分解物を検出することによって、中毒の原因物質を判定する方法をとる。AChEとサリンの複合体は、水とゆっくり反応して少しずつ分解され、メチルホスホン酸イソプロピルが検出される。水と反応して、もっと長い時間がたてばイソプロピルアルコールも検出される。

(一部省略、書かない方がよい)

※付加情報(既に語っているが付加的に書いておく)
アセチルコリンエステラーゼ(AChE):アセチルコリンを加水分解する酵素で、呼吸をする肺の筋肉は、脳から神経を通して命令がくることで動く。アセチルコリンという物質が、神経から筋肉に「縮め」という命令を伝える。この情報が伝わると、筋肉がぎゅっと縮んで、肺がきゅっと小さくなる。次に、アセチルコリンエステラーゼという物質が「縮め」という情報を捨てる。「縮め」という情報がこなくなると、筋肉がゆるんで肺が広がる。この繰り返しで、息ができるわけである。 もし、サリンが体内に入るとアセチルコリンエステラーゼと結びついて、アセチルコリンエステラーゼが働かなくなってしまう。そうすると、アセチルコリンからの「縮め」の情報しかこないため、筋肉が縮みっぱなしになってしまう。そのため、肺は広がることができなくなり、息ができなくなってしまう。サリンというのは、呼吸機能を破壊する化学兵器。

イラン・イラク戦争の際にイラクが使ったタブンの例。
国連は三つの方法で、イラクが間違いなくタブンを使ったと判定。主成分であるタブンのほかに、前駆体あるいは副生成物と考えられる二つの物質が検出した。(詳細略)タブンの合成法はいろいろあるが、ある製法と照合すれば、イラクのタブンがこの方法によって合成されたことがわかる。

地下鉄事件でのサリンの特定の例。
事件当時、電話で「地下鉄で回収したサリンのなかからメチルホスホン酸ジイソプロピルが検出されたが、その意味するところは?」という質問が。サリンの合成法は各種あるが、質量分析によって中間体、前駆体を検出できれば合成法が特定できる。

地下鉄サリン事件の場合には、以下。

(1)事件現場に、サリンにメチルホスホン酸ジイソプロピルが混じっていた。
サリン合成法では、メチルホスホン酸ジフルオリドと、同じ量のイソプロピルアルコールが反応してサリンが生成。その際、2当量のイソプロピルアルコールが反応する反応式も考えられるが、メチルホスホン酸ジイソプロピルはサリンと一緒にできた副生成物であると推測可能。
(2)上九一色村の土壌からも、サリンの分解物であるメチルホスホン酸とメチルホスホン酸ジイソプロピルが発見されている。

※時間があれば、以下を話す。(一部省略、書かない方がよい)
地下鉄サリン事件の際、メチルホスホン酸ジクロリドが検出している。松本サリン事件の際にも検出されている。裁判では、メチルホスホン酸ジクロリド検出は問題にされなかった。検察側の冒陳陳述の際には、メチルホスホン酸ジクロリドからメチルホスホン酸ジフルオリドを合成した時点で蒸留し、メチルホスホン酸ジクロリドは除かれているが、現実には事件直後に存在しないはずのメチルホスホン酸ジクロリドとメチルホスホン酸ジメチルを検出。(省略)
オウムのサリンは、彼らが生成したサリンとは別のサリンを混ぜて使用した。

■後半部分(全部、省略)

以上

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