ウルグアイは、世界に先駆け法定デジタル通貨の試験運用を世界に先駆け2017年11月3日開始した。法定通貨のデジタル化は紙幣の管理・輸送コスト削減、脱税や資金洗浄(マネーロンダリング)の防止や、経済取引の透明化も進むなどのメリットがある。1万人を対象に携帯電話のネットワークを通じ、各種支払や民間銀行を介せずに個人間送金が可能となっている。
ブロックチェーンなどの分散台帳技術を使ったデジタル通貨には、ビットコインなどの民間が発行する「プライベート・デジタル通貨」と、中央銀行が発行する「法定デジタル通貨」の2種類がある。これらデジタル通貨は、2017年5月時点で、約730種類存在するとされ、その時価総額は約728億ドル(約 81兆円)と見積もられている。
米国の場合、デジタル通貨が現金・預金に占める割合は1.04%程度と今は少ないが、米国連邦準備制度理事会を始めとする各国の中央銀行においては、デジタル通貨が自国の法定通貨の流通規模に匹敵する可能性は無視できないとの認識がある。既に国際決済銀行の決済・市場インフラ委員会が、「Digital currencies」と言う報告書において、今後、デジタル通貨が、中央銀行発行通貨を凌ぐ可能性に言及している。このままデジタル通貨が、幅広く商品購入やサービスの取引に多用されるようになると、金融政策の要である中央銀行の影響力と存在意義が相対的に低下するのは必然である。この事から、中央銀行自身が、デジタル通貨を発行することの意義が生じている。デジタル通貨の導入には法律・制度の変更が必要になるが、経済的なメリットの方が大きいとの指摘もある。例えば、金属や紙の法定通貨に掛る費用は、鋳造・印刷費用、梱包・輸送費用と保管コストなどを併せると、シンガポールの場合、GDPの 0.52%と試算されており、既に電子マネーやATMが普及している先進国でのデジタル通貨導入は、確実に社会コストの軽減となり経済活動の効率化と生活の利便性を高めると期待されている。特に、スウェーデンではSwishと言うモバイル決済が主流で、現金決済は全体の2%に過ぎず、中央銀行のRiksbankはデジタル通貨「eクローナ」の発行に向けた検討を開始している。デジタル通貨導入については、ロシア、中国、シンガポール、オランダなどが導入の意向を表明している。日本銀行の中曽宏副総裁は、2017年4月の「日銀ネットの有効活用に向けた協議会」で「中央銀行が自ら銀行券を代替するデジタル通貨を発行してはどうかという議論が出ている(中略)デジタル通貨の議論は、「銀行券」だけでなく、「中央銀行決済システム」のあり方にも関わるもの」と発言をしている。だが、法定通貨のデジタル化は中央銀行決済システムだけではなく、世界経済・金融や貿易の仕組み自体のデジタル化へと拡大し、移行するだろう。これは人類社会全体のデジタル・トランスフォーメーションの1歩ともいえる大きな変化である。
日本では、2017年末時点で約100兆円の紙幣が流通しており、未だに現金指向が強いが、何れ日本も高額紙幣の廃止を含め、デジタル通貨の導入は必定である。世界の証券取引所でFintech導入による競争が加速しているように、各国の中央銀行も新技術導入を競っており、1990年代から法定通貨のデジタル化を研究してきた日本銀行が、先進各国の中央銀行と歩調を合わせて法定デジタル通貨を発行する事を、先進各国の中央銀行と歩調を併せて実施することは十分に想定される。国際決済銀行を含めた中央銀行の政策動向には十分な注意が必要である。また、デジタル通貨発行後のビジネス環境変化と商慣行の変容について、今から十分に検討を行い、既存ビジネスへの影響を分析し、対応策を練っておく必要がある。
ブロックチェーンなどの分散台帳技術を使ったデジタル通貨には、ビットコインなどの民間が発行する「プライベート・デジタル通貨」と、中央銀行が発行する「法定デジタル通貨」の2種類がある。これらデジタル通貨は、2017年5月時点で、約730種類存在するとされ、その時価総額は約728億ドル(約 81兆円)と見積もられている。
米国の場合、デジタル通貨が現金・預金に占める割合は1.04%程度と今は少ないが、米国連邦準備制度理事会を始めとする各国の中央銀行においては、デジタル通貨が自国の法定通貨の流通規模に匹敵する可能性は無視できないとの認識がある。既に国際決済銀行の決済・市場インフラ委員会が、「Digital currencies」と言う報告書において、今後、デジタル通貨が、中央銀行発行通貨を凌ぐ可能性に言及している。このままデジタル通貨が、幅広く商品購入やサービスの取引に多用されるようになると、金融政策の要である中央銀行の影響力と存在意義が相対的に低下するのは必然である。この事から、中央銀行自身が、デジタル通貨を発行することの意義が生じている。デジタル通貨の導入には法律・制度の変更が必要になるが、経済的なメリットの方が大きいとの指摘もある。例えば、金属や紙の法定通貨に掛る費用は、鋳造・印刷費用、梱包・輸送費用と保管コストなどを併せると、シンガポールの場合、GDPの 0.52%と試算されており、既に電子マネーやATMが普及している先進国でのデジタル通貨導入は、確実に社会コストの軽減となり経済活動の効率化と生活の利便性を高めると期待されている。特に、スウェーデンではSwishと言うモバイル決済が主流で、現金決済は全体の2%に過ぎず、中央銀行のRiksbankはデジタル通貨「eクローナ」の発行に向けた検討を開始している。デジタル通貨導入については、ロシア、中国、シンガポール、オランダなどが導入の意向を表明している。日本銀行の中曽宏副総裁は、2017年4月の「日銀ネットの有効活用に向けた協議会」で「中央銀行が自ら銀行券を代替するデジタル通貨を発行してはどうかという議論が出ている(中略)デジタル通貨の議論は、「銀行券」だけでなく、「中央銀行決済システム」のあり方にも関わるもの」と発言をしている。だが、法定通貨のデジタル化は中央銀行決済システムだけではなく、世界経済・金融や貿易の仕組み自体のデジタル化へと拡大し、移行するだろう。これは人類社会全体のデジタル・トランスフォーメーションの1歩ともいえる大きな変化である。
日本では、2017年末時点で約100兆円の紙幣が流通しており、未だに現金指向が強いが、何れ日本も高額紙幣の廃止を含め、デジタル通貨の導入は必定である。世界の証券取引所でFintech導入による競争が加速しているように、各国の中央銀行も新技術導入を競っており、1990年代から法定通貨のデジタル化を研究してきた日本銀行が、先進各国の中央銀行と歩調を合わせて法定デジタル通貨を発行する事を、先進各国の中央銀行と歩調を併せて実施することは十分に想定される。国際決済銀行を含めた中央銀行の政策動向には十分な注意が必要である。また、デジタル通貨発行後のビジネス環境変化と商慣行の変容について、今から十分に検討を行い、既存ビジネスへの影響を分析し、対応策を練っておく必要がある。