劣化ウラン弾 :230610情報
今日は劣化ウラン弾についての解説です。
劣化ウランはウラン鉱石を精製した後の純粋ウランからウラン濃縮を行い核燃料としての低濃縮ウラン燃料を得た後に残る残渣であり、原子力発電所から発生する廃棄物とは発生経路が異なります。
劣化ウランは、現実的に調達可能な物質の内では比重が最も大きいので、目標物を貫通する事を目的とした銃砲弾の弾芯の素材に適しています。この弾芯に劣化ウランを用いた銃砲弾を劣化ウラン弾と呼称しています。
アメリカ合衆国、イギリス、フランス、ロシア、中国、カナダ、スウェーデン、ギリシャ、トルコ、イスラエル、サウジアラビア、ヨルダン、バーレーン、エジプト、クウェート、パキスタン、タイ、台湾、韓国などが劣化ウラン弾を軍用配備しています。
今回、ウクライナ戦争にイギリスが劣化ウラン弾を提供し、それをロシアが破壊した模様でヨーロッパに悪影響が出ている問題について、国際政治学者に解説していただきました。
今、“劣化ウラン弾”が非常に大きな話題になっています。
劣化ウランとは、濃縮ウランを作る時の放射性廃棄物。いわば放射性のゴミみたいなものですね。ただ、比重が非常に大きいので、「これを戦争に使おう」ということになりました。戦車の厚い装甲などを破壊する砲弾に替わって使ったところ、これはもうタダ同然なので、良いと実用化されたわけです。
ただし、問題が2つあります。
広範な健康被害と、放射性の環境汚染です。劣化ウランを使った砲弾が爆発すると微粒子ができ、土壌や水を汚染します。さらに、それが体内に入るとがんや白血病など健康被害の原因になるのです。これは、大変大きな問題をもたらすと言われています。
これまで劣化ウラン弾は、湾岸戦争で米軍が使い、コソボでもアフガニスタンでもイラク戦争でも使われました。これに関しては、イラク戦争や湾岸戦争に行ったアメリカの退役軍人の中でも健康被害を訴える人が多く、アメリカでも裁判になっていたと思います。
■劣化ウラン弾を渡したイギリス
これが大きな争点になったのは3月20日のこと。イギリスが、「ウクライナに 劣化ウランの砲弾を供与する」と発表したのです。これは、核戦争の第1歩をイギリスが踏み出したかのような印象を与えました。
そうすると、翌日にすぐ、ロシアのプーチン大統領がこのような強気の発言をしました。「イギリスが核物質を含む兵器を 配備することは重大事件だ。ロシアはそれに対応した行動を取らざるを得ない」
これに対し、イギリスは劣化ウランは核兵器ではないから核のエスカレーションではないとロシアを批判していました。
■劣化ウラン弾の倉庫を狙ったロシア
しかし、5月13日の夜、ロシアはウクライナに向けてかなり広範な攻撃を仕掛けました。特に弾薬庫を大量に狙った、ミサイルやドローンでの攻撃です。2回大きな爆発があり、大きな真っ黒いきのこ雲が2つ上がりました。きのこ雲が上がったからと言って、これは核爆発ではありません。
ですが、そこにあった劣化ウラン弾が一挙に爆発し、きのこ雲が上がったのではないかと言われています。
5月19日、ロシアのNo.2であるパトルシェフ書記が、「放射能に汚染された雲が欧州西部に向かっている」と発言していますが、これはロシア軍が爆破したと認めているも同然のことです。
■ロシアを非難しないウクライナ
興味深い点は、これをウクライナ政府が非難していないことです。
ウクライナにとって劣化ウラン弾はイギリスが供与してきたもので、まだ使っていません。それをロシア側が破壊したのですから、環境破壊、広範な健康被害をもたらすことをしたと、ロシアを強烈に非難するのかと思ったのですが、していないのです。
ウクライナ側はロシアの攻撃の目標になり、多くの建物が破壊され少なくとも21人が負傷した、非常に大事な軍事的なインフラがロシアのドローン攻撃によって破壊されたと言っています。ドローン攻撃ということで、ミサイル攻撃とは言っていません。
しかし、あの大きなキノコ雲が数100メートルも上がったのは、どうもミサイルではないかと私は思います。これは本来もっと大きな事件で、ウクライナ側からすればロシアを非難するいいチャンスのはずが、そのような発言をしていません。これが非常に謎ですね。何か隠れた理由があるのか、今のところ分かりません。
ともかく、イギリスは劣化ウラン弾を使い、戦争を長引かせる方向に動いたのです。そしてロシアもそれを受けて立ち、放射能汚染を起こして、さらにエスカレートさせてしまいました。
これはイギリスも悪いし、ロシアも悪いと思います。
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