赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

「プリゴジンの乱」とは何だったのか

2023-06-27 00:00:00 | 政治見解



「プリゴジンの乱」とは何だったのか:230627情報

ロシアで武装反乱を起こした民間軍事会社ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジン氏(62)は24日、部隊の首都モスクワへの進軍を停止すると表明しました。

「プリゴジンの乱」が始まったとの報道に接した時は、誰もが「ロシア内で内戦か?」とある意味、期待感に満ちた報道が多かったのですが、事態が収束に向かった瞬間から、あの騒動は何だったのかという話でもちきりになっています。

今後どうなっていくのかは全くわかりませんが、「プリゴジンの乱」が始まる直前、ロシア分析の専門家が「ロシア軍とワグネルの関係」、「プーチン独裁の実態」のレポートを寄せてくれていましたので、もっともらしい顔をして解説する評論家よりはわかりやすいと思いますので、引用させていただくことにしました。


★プリゴジンがプーチンの命令に反逆!

ウクライナーロシア戦争では、実に興味深い現象が見られます。たとえば、ロシアの主力は、民間軍事会社ワグネルである。しかも、民間軍事会社は、ロシアで【違法な存在】である。

ワグネル創設者のプリゴジンは、ショイグ国防相やゲラシモフ参謀総長を頻繁に非難しています。要するに、ロシアの戦力は分裂している。

この状態、ショイグ国防相やゲラシモフ参謀総長は、「なんとかしたい」と考えているでしょう。そこで、ロシア国防省は、「ワグネルを支配下におこう」と試みました。

6月13日共同:<ロシア国防省は13日までに、直接の管轄下にない志願兵部隊などと7月1日までに契約を交わし、ロシア軍と同様に扱う方針を明らかにした。ウクライナの反転攻勢が本格化する中、正規軍と志願兵部隊の足並みの乱れを正し、統制強化を図る狙いとみられる。>

これ、もちろん最大のターゲットはワグネルです。「ワグネルは、国防省と契約を結び、傘下に入りなさい!」と。これに対し、プリゴジンは、どういう反応だったのでしょうか???

<これに対し民間軍事会社ワグネルの創設者プリゴジン氏は反発し、契約を拒否する姿勢を示した。>(同上)
<プリゴジン氏は11日「ショイグ(国防相)といかなる契約もしない」と表明。ショイグ氏は軍を「正常に管理できない」と改めて批判した。>(同上)

実をいうと、ショイグさんは、極めて評判が悪い国防相です。

元々軍人ではないからです。ショイグは1991年から2012年まで、なんと21年間も「非常事態相」でした。「非常事態省」は、自然災害や大事故の時に出動し、人々を救う省です。「困ったときはショイグが助けに来てくれる」と人気が高かった。それで2012年、国防大臣に任命された。ウクライナ戦争がはじまるまで、ショイグは、「プーチンの後継者候補ナンバー1」といわれていました。しかし、ウクライナ戦争が長引いていることで、「ショイグ大統領」は消えたようです。

プリゴジンは、そんなショイグの悪口を毎日のようにいいつづけている。

ショイグは、彼を「管理したい」と願いましたが、うまくいきませんでした。そこで、【 プーチン自身 】が登場します。

ロイター6月14日:< ロシア国防省がウクライナで戦う志願兵部隊に対して今月中に同省と契約を結ぶよう命じたことについて、プーチン大統領は13日、命令への支持を表明した。記者団に語った。>

つまりプーチンは、「ワグネルが国防省、ロシア軍の管理下に入ること」を支持したのです。つまり、プーチンはプリゴジンに、「国防省、ロシア軍の支配下に入れ!」と命令した。

プリゴジンは、どうしたのでしょうか?

なんと、プーチンの命令を聞かなかったのです。まだ日本語ではでていないようですが、ロシア語の、たとえば「DZEN」6月16日に情報があります。出所:https://dzen.ru/a/ZIsVCw33UTaOMFXJ

ここには、プリゴジンが、「ウソをついた」とプーチンを非難している発言が掲載されています。
<「祖国が困難に陥ったとき、俺たちの助けが必要なとき、そして俺たち全員が祖国を守るために行ったとき、大統領は俺たちにあらゆる社会保障を約束してくれた。」>

プリゴジンによると、プーチンは、この約束を守らなかったそうです。そして、自分が死んだとき、ワグネルのメンバーは路頭に迷うことになるのではと心配しています。

<「俺は部下を養う準備ができている。しかし、今日は俺がいても、明日にはいなくなる(死ぬ)かもしれない。だから当然、任務を完了した人々に対して国は社会的保障を与える必要がある。」>

さらにプリゴジンは、戦争が始まった時、誰も「国防省と契約を結べ!」とはいわなかったと批判します。
<「俺たちがこの戦争に参加し始めたとき、国防省と協定を結ぶ義務があるとは誰も言わなかった。俺の部下の誰も、再び恥の道を歩むつもりはない。したがって、誰も協定を結ぶつもりはない!」>

このように、公然とプーチンに反逆し始めたプリゴジン。

プーチンは、彼をどうするのでしょうか? プリゴジンは、どう動くのでしょうか?

強調しておきますが、ワグネルは現状、ロシアの最強戦力です。それが、プーチンのいうことを聞かない現状。プーチンの完全独裁政権に、亀裂が入ってきているということなのでしょう。つづきを注目していきましょう。



今回の意味不明の「プリゴジンの乱」も、事前に、この解説を見ればわかりやすかったのかもしれません。今後については続報を待つことにしましょう。



  お問い合わせ先 akaminekaz@gmail.com【コピペしてください】
  FBは https://www.facebook.com/akaminekaz

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする