赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

独裁者・習近平のジレンマ

2023-06-30 00:00:00 | 政治見解



独裁者・習近平のジレンマ :230630情報

最近の中国は、「竹のカーテン」でさえぎられてなかなか実際の動きが見えてきません。そこで、中国問題、とりわけ習近平氏の動向を常に観察している台湾独立運動家の分析で最新の情勢を見てみたいと思います。

彼は現状を「習近平の一番の敵は誰か? それはトランプでもバイデンでもなく、また台湾の蔡英文総統でもありません。何度かお伝えしてきましたが、外ではなく、国内にいるのです」と喝破しています。

今回はその国内の敵への焦りから習近平が新たに発表した2つの目標について、解説していただきました。



習近平は3期目に入ってから、同じ派閥の側近だけで中枢を固め、中国全国、隅々まで監視体制を敷いています。誰が見ても、「習近平の権力は盤石だ」、「不安材料は全くない」と思われるかもしれませんが、実際はそうでもないようです。

5月30日に開かれた中央国家安全委員会の会議の場で、習近平は「これから更なる荒波に突入する。準備せよ」と言いました。常に最悪の状況を考え、「国家安全」を守れというのです。

実は、習近平の言う国家安全とは、「習近平自身の安全(俺の安全)」ということです。こんな発表をしたことに対して、中国vsアメリカの衝突を構想しているのかという分析も出ていますが、実はそうではありません。というのも、習近平が恐れている存在は国外ではなく、国内いるからなんです。

今回、習近平は5点の指示を出しました。

■習近平の5つの指示
1.政治安全(軍事クーデターを防ぐ)の強化・・・これは習近平の不安を表している。
2.AIデジタル統治の強化・・・更に監視を強化。
3.リスク管理システムの構築・・・国家安全に関する監視システムを更に強化。
4.法的整備の推進・・・国家安全に関する法的整備を強化、国家安全法や反スパイ法もあるが、足りない。
5.国家安全教育の徹底・・・習近平思想の強化。習近平思想は頭に入れるだけでは足りずに、心、魂にまで入れろと命令したのです。

ここまでして、人民の締め付けを強化しました。

■習近平、不安の理由
一体、どうして習近平は人民を恐れているのでしょうか? 背景には、中国経済の深刻な悪化があります。

■ドイツ一国分に匹敵する労働人口が減少
2019年 7.747億人
2022年 7.333億人
同じく、中国が発表したデータによると、労働人口がコロナの3年間で4,300万人も減少していました。これはドイツ一国の労働人口に相当します。

また、2022年の中国の大卒は1,076万人いました。しかし、この大卒の内就職できたのは、たったの254万人。つまり就業率は23.6%しかありません。このように、経済不況から中国では今、若者の失業が深刻な問題になっているのです。

習近平が恐れているのはこれなのです。

習近平がそれに対して取った方法とは、先の5つに表れているように
1.内部への締め付けを強化。
2.対外的に挑発行為。(米軍を挑発)でした。

5/26、中国の戦闘機がアメリカの戦闘機に対して妨害行為を行い、あわや衝突というところまで接近しました。その直後に、船でも米国の戦艦の前を横切る挑発をしました。

このような締付け強化で中国の今後はどうなるのでしょうか? 締め付けが強ければ強いほど、経済が悪化し、社会が益々不安定になります。

しかし、全ては国家安全、つまり”俺の安全”のためにやったことなので、立ち戻って修正することはできません。これが独裁者のジレンマなのです。



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