ロシアは中国の「属国」!?:230628情報
ロシア問題の専門家に質問が寄せられているのを見ました。大変面白かったので引用させていただきます。
【質問1】中国の「ロシアーウクライナ戦争」への態度について。仮にロシアがこの戦いに負けたら、戦争に勝って支持をされていたプーチンは退陣となってしまうのでしょうか? そうなると親欧米の政権が出来る可能性もあり、中国にとって不利になると思うのですが。それ以上に中国にとってお金儲けの方が大切なのでしょうか?
それか、それ以外に中国にとって良い条件があるのでしょうか?(ロシアを分割して極東地域は中国が支配できるとか)とりあえず中国が大人しくしてくれれば日本にとって良いのですが。
【回答】中国は、日欧米が主導する制裁に参加していません。中国は、ロシアが欧州に売れなくなった原油・天然ガスを大量に【 激安 】で輸入することで、ロシアを助けています。しかしこれは、【中国自身】を助けているともいえるでしょう。
さらに中国は、ロシアからの原油・天然ガスを【人民元】で買うようになった。要するに、【ペトロダラーシステム】は、中ロ間では崩壊したのです。そして、ロシアは【 人民元圏 】に取り込まれ、【 中国の属国 】と化したのです。
一方で、中国は、ロシアに武器弾薬を送っていません。プーチンが、プライドを捨てて再三懇願しているにも関わらず、習近平は拒否しつづけている。その理由は、「日欧米から制裁されたくないから」です。ロシアの世界GDPは2%程度。それより世界GDPの約50%を占める日欧米と取引して儲けた方がいい。
【質問2】仮にロシアがこの戦いに負けたら、戦争に勝って支持をされていたプーチンは退陣となってしまうのでしょうか? そうなると親欧米の政権が出来る可能性もあり、中国にとって不利になると思うのですが。それ以上に中国にとってお金儲けの方が大切なのでしょうか?
【回答】中国の望むロシア像はどんな感じなのでしょうか?
・ロシアの弱体化は大歓迎!ロシア属国化政策をさらに進めることができる。
・でも、ロシアがウクライナ戦争で敗北し、親欧米派の政権が誕生すると困る。
もう一度より単純化して書くと、中国にとって望ましいロシアは、
・中国の属国になるほど、十分弱い
・しかし、親欧米政権ができたら困る
では、ロシアーウクライナ戦争で、中国の立場は?
答えは、最善、弱体化したロシアが、ウクライナに辛勝すること。中国に都合のいい男プーチンが政権を維持する。
次善は、ロシアがウクライナに敗北し、プーチンが失脚。しかし、ミシュスティン首相やパトルシェフ安全保障書記などが実権を握り、ロシアは、中国の属国でありつづける。
最悪は、ロシアがウクライナに敗北し、プーチンが失脚。親欧米派の政権が誕生し、中国の属国を止める。現時点では、どうなるか正確にはわかりません。しかし、中国にとって最悪の事態は、少なくともすぐには起きそうにありません。
プーチンが病死するか、暗殺されるか、あるいはクーデターが起こって失脚するか。現時点で、リアルに政権を担当できる勢力は、パトルシェフ安全保障書記のグループ以外にないのです。つまり、プーチンが失脚しても、「プーチン路線」は維持される可能性が高い。これは、中国にとっても、悪いシナリオではありません。
しかし、中国の「後継者観」は、少し違っています。中国は、「プーチンの次はミシュスティンだろう」と見て、彼を手なずける方針です。
習近平は3月20日から3日間、ロシアを訪問しました。プーチンと会い、弾薬供与の依頼を拒否した。習はにっこり微笑んで、プーチンに「年内に訪中してください!」といいました。習近平は、モスクワでミシュスティンにも会いました。なんと、ミシュスティンにも「年内に訪中してください!」といったのです。
そして、ミシュスティンは5月24日、訪中して習との再会を果たします。中国は、ミシュスティンを、「プーチンの後継」と見ているのでしょう。
ここで、もう一度【質問1】に戻ります。
仮にロシアがこの戦いに負けたら、戦争に勝って支持をされていたプーチンは退陣となってしまうのでしょうか? そうなると親欧米の政権が出来る可能性もあり、中国にとって不利になると思うのですが。それ以上に中国にとってお金儲けの方が大切なのでしょうか?
ロシアが戦いに負けたら、プーチンは失脚する可能性が高いでしょう。プーチンが失脚しても、少なくともすぐ「親欧米政権」ができる可能性は低いでしょう。一番可能性が高いのは、パトルシェフ安全保障会議書記のグループが実権を握ること。他の諜報系のグループが実権を握る可能性もあります。
中国は、「ロシアが戦争に勝っても負けても、プーチンが政権を維持しても失っても、ロシアの親中は変わらない」と予想しているのでしょう。中国はいま、「二匹の虎の戦いを山上から眺める賢い猿」のポジションを維持できています。
ロシアに武器を供与して、日欧米から制裁されて損するリスクを取る必要もないと考えているのでしょう。
以下は噂レベルの話ですが。たとえばウラジオストックやハバロフスクは、1860年の北京条約で、清からロシア帝国に割譲されたものです。中国は、「ロシア極東は、そもそも我が国の物だ」と考えている。
ちなみにプーチンのロジックは、「クリミアは、昔ロシアの物だったから、俺たちの物だ」です。彼にとっては、「ソ連崩壊後、交渉で国境画定したこと」は、どうでもいい。同じロジックであれば、中国もロシアに、「極東地域は、もともと中国の土地だから、返してくれ」と要求できることになります。
実際に中国が極東地域強奪に動くかどうかは、「そのチャンスが到来するかどうか」によるでしょう。ただ、「中国がロシア極東地域を狙っている」という噂は、いろいろなところで流れています。本当かどうかは、現時点ではなんともいえません。
以上、お答えしました。
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