赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

クレムリンへのドローン攻撃の衝撃

2023-06-18 00:00:00 | 政治見解



クレムリンへのドローン攻撃の衝撃:230618情報



ロシアのプーチン大統領は13日、露大統領府で国内の従軍記者や戦況などを活発に発信するSNS利用者と懇談しました。ウクライナ軍の大規模な反転攻勢に対し、露軍が優勢を維持していると主張しつつも、「特別軍事作戦の過程で多くの物資が不足していることが明らかになった」「高精度弾薬や通信機器、無人機などだ。わが軍はいずれも保有しているが、残念ながら数が十分ではない」と述べています。

この話を受けて、ロシア問題の専門家は次のように分析しています。


ウクライナーロシア戦争では、相変わらず、いろいろなことが起こっています。

5月3日、クレムリンへのドローン攻撃。
5月22日、ウクライナ側に寝返ったロシア兵からなる「自由ロシア軍団」「ロシア義勇軍団」がロシア領ベルゴロド州に攻め込む。
5月30日、ドローン8機がモスクワを攻撃。
6月6日、ヘルソン州カホフカダムが決壊。

大雑把な戦況を見ると、1月、ロシア軍のトップゲラシモフ参謀総長が、ウクライナ特別軍事作戦総司令官に任命される。プーチンがゲラシモフに与えたミッションは、「3月中にルガンスク州、ドネツク州を完全制圧すること」。しかし、ゲラシモフは、ミッションを完遂できなかった。

3月末、欧州からウクライナに戦車が届き始める。
4月末、ゼレンスキー「大きな戦いが近づいている」と発言。

世界は今、ウクライナの反転攻勢を注視しています。プーチンから見ると、「(ロシア軍のラスボス)ゲラシモフを投入しても勝てなかった」のは、大きなショックだったでしょう。しかも最近は、モスクワまでドローンが飛んでくる。

5月30日、ドローン8機がモスクワを攻撃し、市民2人が負傷したのです。これ、誰も亡くなっていないのですが、問題は「モスクワが攻撃されたこと」です。

この戦争がはじまった当初、モスクワ市民は、「ウクライナ特別軍事作戦は、隣の国で起こっている。自分と関係ないできごと」と考えていました。ところが昨年9月、「部分動員」がはじまった。つまり、一般人の男性(稀に女性)が戦場に送られる可能性がでてきた。

戦争が、ぐっと身近になりました。しかし、これもほとんど「杞憂」でした。クレムリンは、国の中心に住むモスクワ市民が「反プーチン」になるのを恐れ、主に辺境の少数民族から動員していったからです。

ところが今回、モスクワがドローン攻撃にあった。これ、物理的被害はほとんどありませんでした。しかし、モスクワ市民の心理的打撃は、大きいでしょう。極右の怒りは、ウクライナではなく、首都への攻撃を許したクレムリンに向かっています。

報道によると、
<この攻撃でロシアが受けた衝撃は小さくないものとみられる。ロシア極右勢力として2014年3月のクリミア半島の強制合併にも関与した元情報要員のイーゴリ・ギルキン氏は30日、テレグラムに「モスクワへのドローン攻撃による心理的打撃の強さは破壊の規模にとどまらない」とし、「国家指導部は戦争ではなく特別軍事作戦になると約束した」と指摘した。

ウラジーミル・プーチン大統領はウクライナを全面侵攻する際、この軍事行動を自国の民間人にも被害を及ぼしかねない「戦争」ではなく、「特別軍事作戦」だと主張した。

ロシア政府を支持する軍事ブロガーのミハイル・ズビンチュク氏も、100万人以上フォロワーのいるテレグラムのチャットルームで、「モスクワの空に登場したドローンの目的が大衆にストレスを与えることならば、その目的を果たした」と書いた。>


ウクライナがロシアの首都モスクワを攻撃する。これ、もちろん心情的にも道義的にも理解できることです。というのも、ロシアは、ウクライナの首都キーウをバンバン攻撃しまくっているのですから。

<この日モスクワを狙ったドローン攻撃は、ロシアが27日夜からイラン製ドローンを動員してウクライナの首都キーウに向かって開戦以来最大の空襲を敢行した後に発生した。

ロシアはウクライナの「春の大反撃」をけん制するため、5月に入ってキーウに17回も空襲を行った。>
(同上)

「ロシアはいくらでもキーウを空爆していいが、ウクライナがモスクワを攻撃するのは絶対だめだ!」
というのは、矛盾でしょう。



(明日の「プーチンの神頼み」につづく)


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