コラム(255):偏向報道を復活させたNHK
筆者には最近のNHKが一段と反国家色、反政府色を強めているように見えてなりません。4月に入って、気がついただけでも、NHKの公正性と中立性を疑いかねない番組が続出しています。
NHK放送の現状
◯4月2日の「視点・論点」では、名古屋大学大学院教授の中嶋哲彦氏が文部科学省の学習指導要領案について「生徒が自国を愛するように指導することは、日本国憲法が保障する思想信条の自由に反する」として批判していました。これはNHK内の特定の人物の考えを、同じ思想を持つ大学教授に代弁させたものです。大学教授という権威を、利用してあたかも客観性があるかのように制作された番組です。
◯4月4日の「歴史秘話ヒストリア~発見 蘇我入鹿の棺 よみがえる“大化改新”」では結論として、「大化の改新は、蘇我氏と渡来人のあらゆる財産を簒奪した上で成り立っている」旨の発言を採用していました。歴代天皇とともに歩んできた日本の歴史に汚点をつけようとする意図がはっきり感じるものです。
◯4月8日の日曜、夜11時からは韓国ドラマが放映されはじめました。なんと51週続くようです。また、BSでは4月15日から別の韓国ドラマが放映されるようです。日本の公共放送局でありながら、韓国ドラマの数の多さは尋常ではありません。ましてや多くの国民の要望に基づいた番組編成ではなく、韓国に強い親和性を持つ職員の存在を伺わせます。
NHK世論調査の信頼性を疑う
4月9日には、NHKの世論調査が公表されましたが、すべて反政府に結び付けた偏った意図が見て取れるものでした。
NHKニュースでは安倍内閣の支持が38%、不支持が45%まで増加したことをことさら長く強調し、一方、他の政党の支持率については瞬間的に写すだけでほとんど数字の確認ができないほど早くTV画面から消していました。野党支持率はNHKにとって都合の悪い真実なのです。
また、この世論調査では「麻生大臣が辞職すべきか」とか、「昭恵夫人を証人喚問すべきか」など野党の主張をそのまま使い、しかも、質問内容がわかりづらい内容で、「分からない」と答えている人が圧倒的に多いのが気になりました。このような特定の結論を導くための質問では世論調査の意味はありません。
NHKは世論調査を政権批判のため世論誘導にするのではなく、もっと根本的な問題である「安倍内閣支持率の低下にもかかわらず野党の支持率がなぜ上がらないのか」を調査すべきです。現在の日本では野党の正常化と健全化をはかることのほうが政治の混乱を収めることになり、NHKの存在意義が国民に納得されるのではないでしょうか。
籾井氏がいなくなって「偏向報道の自由」を満喫するNHK
さて、この1年、NHKが偏向報道を再発させた理由に2つの背景があると考えます。
その第一は、籾井勝人氏が会長職を退いたことで、それまで押さえ込まれていた共産党勢力が一気に巻き返しを図ったことです。
籾井氏は2014年1月から2017年1月までの3年間の会長職を務めましたが、在任中、同業のメディアや野党から常に激しい攻撃に晒されました。しかし、このことを裏返せば、籾井氏が彼らにとっては大きな脅威であったことを物語っています。彼らは何かにつけてアラを探して籾井氏をつぶそうと考えていたわけです。
籾井氏のNHK改革で表に見えたものとしては、2015年4月、「ニュースウォッチ9」の看板キャスターであり、共産党の代弁者であった大越健介氏を降板させたことがあげられます。なお、その大越氏は、籾井氏がいなくなったのを見はからうかのように「サンデースポーツ2020」で復活しています。
さらに、大越氏の後任には無色を装った河野憲治氏が就任しましたが、共産党シンパということが明らかになると、籾井氏は自らの退任前に、河野氏を降板させる人事を行っています。
そのほか、沖縄支局で反政府活動ばかりを取り上げる職員の異動や、専務理事2人に辞任の要求を行いました。また、公表されていませんが、1万人あまりの全職員のうち600人もいた共産党シンパの排除に取り組んでいました。
退任前までには、共産党系職員を100名以下にまで減少させ、まともな報道番組作りを心がけていました。籾井氏自身は局内や野党などから様々な嫌がらせや圧力を受けていたので、退任時には「本当にハッピーに退任することができました」と挨拶をしたほどでした。
こうした背景があり籾井氏の退任後、NHKが急に左に振れ出した理由がよくわかると思います。いまもなお、経営委員の中に共産党の熱烈なシンパがいるとの情報があります。
最高裁判決がNHKを傍若無人にした
偏向報道の第二の理由は、昨年(2017)12月の最高裁大法廷でNHKの受信料を合憲としたことです。受信料の支払いを義務付けられたため、偏向報道であろうが、何を放送しようが、視聴者から「偏向報道ばかりだから受信料を払いたくない」と言われなくなり、NHKがますます傲慢になっています。
戦後70年にわたり、左に大きく振れていた振り子が真ん中に戻ろうとする中で、NHKは時流に抗うかのように、振り子を左に押し戻そうとしています。
ただ言えることは、既得権益や特定の主義主張を守るためだけに存在するのなら、どんなに巨大な組織であっても瞬時に崩壊することは歴史が物語っています。
NHKが、時代の変化を理解することなく、そして、人びとが求めている報道の客観性、公平性、中立性というニーズに応えることができなければ、朝日新聞と同じ運命を辿ることは明らかだと思います。
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