赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

NY原油先物マイナスの衝撃 current topics(497)

2020-04-21 18:18:08 | 政治見解



current topics(497):NY原油先物マイナスの衝撃


米ニューヨーク商業取引所で、原油価格の指標となる米国産WTI原油の先物価格が、1バレル、マイナス37ドルとなりました。金融商品の話ではありますが、これが世界経済と日本経済にどのような影響をあたえるのかということについて、経済情勢に詳しい友人に解説をお願いしました。


原油価格の値下がりの要因にはコロナウィルスの蔓延により、人の動きや物流、製造業などあらゆる産業での需要が減ったことが挙げられます。
需要が無ければ供給がストップするのは当然で、必然的に原油のストックがダブつくわけです。

コロナウィルス禍が終息したらまた需要が増えるかと言うとそうでも無さそうです。
半年に及ぶ世界経済の停滞は、既成の産業システムに大きな変化をもたらすことになりました。

その中には今まで石油エネルギーに依存していた産業自体が脱石油に変わろうとする動きも出始めています。
自動車の電気自動車化、それにともなう物流業界の石油離れ、電力会社の脱石油化などが加速します。

したがって今後も石油需要が大きく回復する可能性はなく、仮に産油国が減産調整をして短期的には持ち直しますが、今後原油価格の下げ止まりが続くことは間違いありません。


しかし、そうは言っても石油関連業界は既存の利益システムを守ろうとしています。

原油価格が下がっているにもかかわらず、ガソリン代、電気代、ガス代などが下がる気配がありません。
政治家たちもそのことに触れようとしません。そこには大きな利権があるからです。

また財務省は税収減を恐れるためガソリン価格の引き下げには消極的です。

石油会社も財務省も国民の利益や利便性などまったく考えていません。
実は石油関連事業は限られた企業が利益を独占する仕組みになっているのです。

そもそも原油産出国が長年にわたり原油を安価で分け与えることをせずに独占的に高値で売っていたことに起因するのです。

しかし、石油エネルギーが世界経済を支配的に動かす時代は終わろうとしています。
コロナウィルス禍はその大きな転換を促したのだと思います。



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