赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

追い詰められるロシア topics(601)

2022-10-01 00:00:00 | 政治見解



topics(601): 追い詰められるロシア


今日は、すでに戦意喪失状態にあるロシア軍について、明日はメディアには手に入らないロシアサイドからの情報を中心に、二日連続でロシア情勢をお伝えします。


「部分動員」という名の欺瞞

ロシアのプーチン大統領が「部分動員」と呼ぶ大規模な徴兵を行っているため、これから逃れて近隣国に脱出を図る人びとの流れが絶えません。この一週間で少なくとも20万人のロシア人が国外へ逃げたという話が出ています。この事態を受けて、フィンランドはロシア人の観光ビザでの入国を禁止し、EU最後の陸路が閉鎖されました。また、ジョージア国境ではロシア 人流入への抗議デモが起きているとの報道があります。

ロシア政治に詳しいある専門家はこう語ります。

――徴兵をされるのは「予備役の人たち」とされていますが、ロシアでは、1年間の徴兵期間があるため、ほとんどすべての成人男性が「予備役」にカウントされます。「最大2500万人まで動員できる」模様です。

プーチン氏は「部分的動員」という言葉を使っていますが、これは、「戦争」を「特別軍事作戦」という用語におきかえたのと同じ論理で詭弁です。「総動員令」を出すと、あまりにも社会の動揺が大きいので、「部分的動員」という言葉を使い、「たいしたことはない」と思わせようとしているのです。しかし、実際は「100万人規模なのではないか」といわれています。――


では、なぜ、プーチン氏が動員に踏み切ったのでしょうか? 専門家は続けます。

――答えは、「ハリコフ州で、ロシア軍が大敗を喫し、敗走したこと」です。共同9月12日の記事に「<ウクライナ軍は東部ハリコフ州で反攻を強め、ゼレンスキー大統領は11日、要衝のイジュムを奪還したと宣言した。イジュムはロシア軍の補給路となっており、戦略上、大きな戦果となった。」とあります。――

――米シンクタンクの戦争研究所は10日、ロシア軍が統制の取れていない形で敗走していると分析しました。この大敗は、プーチン氏をはじめとするロシアの支配者層に大きな衝撃を与えました。プーチン氏は、「このままだと俺は敗北し、権力を失う」と恐怖したに違いありません。――


一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は28日のビデオ演説で、ロシア国民に対し「生きたければ逃げろ。生きたければ降伏しろ。通りに出て自由のために闘え」と呼びかけています。


ウクライナ東・南部4州併合の背景

ロシアは、親ロ派勢力が実施した「住民投票」で賛成多数と正当化して、2014年のクリミア半島併合に続く、武力での国境変更するという暴挙にでました。これを急いだ理由についてある軍事専門家は「部分動員」と関係があると述べています。

――ロシアの国内法では、徴兵はいかなる条件であってもロシア領土の外にある戦場へは出さないということが明記されている。平和維持活動ですら、ゆるされないのである。この法律(連邦法第931号)はイェリツィン時代の1995-6-23に制定された。ところが今じっさいにプーチンがやらせていることは、あからさまに、この国内法に違反している。(中略)

プーチンにとり、大急ぎのインチキ住民投票で占領地が「内地」だということにしてしまう以外に、違法状態を解消する方法は無いのだ。――


なお、この方には特殊な情報が集まるらしく、以下のようにロシア軍の実情を語っています。

――露軍は新占領地で刑務所から囚人を徴兵し、火力支援をまったく与えずに小銃だけで前進を命じて、それら囚人兵がウクライナ軍に大量投降するようにわざと仕向けている。捕虜交換交渉では、ロシア側は、それら罪人の引き取りは拒否するという。不良人口の厄介払い戦略なのだ。――

―-国内の将軍たちからはさんざん罵られていたショイグ(国防大臣)だが、こんどの総動員は「ショイグの逆襲」だろう。このおっさん、じつは恐ろしい人材なのではないか? ロシアが核を使うには、プーチンの他、国防大臣と参謀総長の3人が同時に「鍵」を使わねばならない。つまりショイグには核の拒否権がある。

ショイグがいなかったら、とっくに、もっとムチャクチャなことになっていた可能性は大なのだ。この戦争が終って10年くらい経つと、じつはショイグが問題解決のヒーローであった、という新事実が明らかになる可能性もあると思う。ここで予言しておく――


――2022年9月19日と9月23日に、ウクライナ軍情報部は、バクムト市付近の前線で、露軍の指揮官たちが「命令第222
号」を励行している実態を承知した。

その命令とは、配置を勝手に離れようとする露兵に対して「後退拒止部隊」(督戦隊)が、発砲射殺して構わないという許可である。これは1942年にスターリンが発した「命令第227号」の焼き直しだ。

227号は、後退拒止支隊を臨時編成し、味方戦線にパニックを起こそうとする臆病者たちを射殺せよと命じていた。一歩の後退も許すな、と。1943年の秋、この督戦隊に押されて3万人の露兵がドニプロ川を渡ろうとし、全員、独軍砲兵の餌食になった。その渡河点は「死の島」と呼ばれ、今も史跡になっているのである。

9-19に傍受した露軍のVoice交信の内容。宇軍砲兵に叩かれている露軍砲兵が後退したがっているのに、上級部隊が厳禁している。「後退した者は誰であれ、俺が重営倉に送り込む」「命令222号を忘れるなよ」。――


この話は、朝鮮戦争時の中共軍による「人海戦術」を思い起こさせます。

――ぜったいにフェイクでないとわかる映像を見た。AK小銃を渡されたが、「吊れ銃」の仕方で迷っている中年の新兵さんたちだ。あの男たちは、軍用/猟用を問わず、それまでの人生で、長物の銃器を持って行軍したことなど、いちどもないのだ。現役体験の無い予備役なのだ。ロシアは今、すごいことになっている。――


これまでロシア国民にとって、ウクライナ侵略戦争は「他人事」だったようです。テレビを見ると、「ロシア軍は今日も大戦果をあげました!」と報じていて、みんな大歓声を上げていたところ、実際は敗北続きで、男たちは急に線上に駆り出されることになり不安がいっぱい。また、女性たちにとっては、自分の父親、夫、息子たち、兄弟が戦場に送られる。「話が違うじゃないか」とロシア全土で、動員に反対する大規模なデモが起こっているわけです。ロシアの人の逃げ出したい気持ちがよくわかります。

これが現在のロシアの本当の姿だと思います。

明日は、ロシア事情に詳しい方の情報をもとに分析してみたいと思います。



  お問い合わせ先 akaminekaz@gmail.com【コピペしてください】
  FBは https://www.facebook.com/akaminekaz
 
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 挽歌②――アベガー編 コラム(... | トップ | ウクライナ問題と米ロの利害... »
最新の画像もっと見る

政治見解」カテゴリの最新記事