topics(684):中国の未来 補足①--タキトゥスの罠
『中国の未来』は4回で終わる予定でしたが、大変面白い情報が入ってきましたので補足を行います。
読者は、『タキトゥスの罠(Tacitus Trap)』という言葉をご存知でしょうか。私は初めて知りました。
政治法則の一つで、政府が信用を失っている時は、何を言おうと何をしようと、民衆に悪く思われることをいいます。これは、古代ローマ時代の歴史学者・タキトゥスが述べたとされる言葉(概念)で、政府に対する信頼が大きく失われている時には、真実であろうと嘘であろうと、また良いことであろうと悪いことであろうと、民衆に全て嘘であると見なされる(政府の言うことが全く信用されない)ことを意味します。
いま、中国はこの状況にあると、台湾独立運動家が指摘しています。要約を以下にお届けします。
■ゼロコロナ廃止は習近平の失策?
現代社会では、ルールを守らないことは信用を失うことに繋がります。一般人にとっては、大した問題ではないかもしれませんが、独裁者にとってはこれは命取りになるかもしれません。
独裁者が国を統治するには恐怖による支配が大事です。
民衆に自分を怖い存在だと思わせることで、権力が安定するので、常に厳しい態度を取らなくてはいけないのです。
最近、習近平はこのルールにふさわしくない2つの行動をとりました。
①白紙革命を表向きには弾圧しなかったこと
②白紙革命の要求をのんだこと
つまり、習近平に反抗した人々をバッシングするどころか、むしろ要求を聞き入れてゼロコロナ政策を廃止し、譲歩したのです。
■要求が通っても民衆が不満な理由
しかし、これで中国人が習近平に感謝したかと思いきや、むしろ民衆の間では強烈な不満が高まっているのです。一体、なぜでしょうか?
これまで、習近平はゼロコロナ政策の正当性を高めるために、
「コロナは危険な病気だ」
「絶対に感染してはいけない」
と過剰に騒ぎ立て、徹底的に隔離やロックダウンなどの対策を行なっていました。
しかし、それをいきなり全部やめてしまったわけなので、コロナの感染が大爆発。
いまの中国では、病院と薬局、さらに火葬場にまで火葬待ちの行列ができるという地獄絵図になっています。その一方で、中国政府が公表した統計によると、今月19日に中国全土で発生したコロナ死はわずかに2例。20日では5例です。
もはやこのデータを信じる人はいません。
■信頼を失った習近平の今後
最近、中国では年に一度の中央経済工作会議が開かれました。これは、中国経済の今後を決める重要な会議です。ここでも習近平は間違った行動を取りました。
彼が二期目になって以来、ずっとバッシングしてきた不動産、IT、学習塾といった産業に対して、急に手のひらを返してこれからはバックアップすると強調したのです。
それどころか習近平は、これから中国は経済開放路線に戻るとまで宣言しました。
こんなにコロコロと言うことを変えていては、独裁者に対する信頼が失われるのは当たり前。もはや彼を信じる人はほとんどいません。すると、独裁政権を維持することが難しくなります。
したがって、来年の習近平は政権基盤が危うくなるだろうと予測されるのです。
(明日は追加情報をお届けします。本年の最終です。)
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