赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

コラム(46) 一枚の写真の価値

2015-09-09 00:00:00 | 政治見解



コラム(46):一枚の写真の価値


トルコの海岸に横たわる幼い少年の写真が世界に衝撃を与えました。そして、難民受け入れに消極的だったEU諸国が方針を転換し始めました。また、遠く離れたオーストラリアやニュージーランドも「中東情勢は非常に深刻だ」と受け入れを表明しはじめたのです。


日本国内の衝撃

この映像は日本にも衝撃を与えました。いままで日本国内では、NHKのBS放送の海外ニュース番組以外ではほとんどのマスコミが扱っておらず、難民問題は他人事のように考えられていました。しかし、海外のメディアやネットが、この映像を広く配信したため、日本のマスコミもようやく報道を始めたのです。

その結果、日本人が無関心だった難民問題に目を向けるようになったのです。

一枚の写真から始まった国際社会の変化は、人の心の中の「目の前で苦しんでいる人を理屈抜きで助けたい」という誰もが持つ真実の心に火がついたことから始まったと思います。少年の死という究極の悲劇を目の当たりにして、人類が争いや紛争の虚しさを知り、心を変えようとしているようにも見えます。

この思いはヨーロッパ諸国だけではなく、国際社会全体が共有したはずです。困っている人に全世界が手を差し伸べようとする大きなきっかけになりました。


マスコミの本来のあり方

今回、この映像を広く紹介したヨーロッパのマスコミの力は大きかったと思います。難民問題の解決につながる重大なきっかけをつくりました。同時に、そこにはマスコミの起死回生のヒントが隠されていたと思います。映像が真実を物語り、心を揺さぶられたジャーナリストが世界に配信し、それが世界を変える原動力となったのです。

真実をありのままに報道したマスコミは、本来のマスコミの使命を果たしたと言えます。だから世界が変わろうとしているのだと思います。

世界では、嘘や捏造報道のメディアが倒産の危機にある中、久しぶりのマスコミの活躍であったと思います。

マスコミに起死回生の方法があるとすれば、「心の通った真実の報道」にあるのではないでしょうか。



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