スタジオといえばかっこいい。でも、引きはある程度取れるだけで、幅と天井の低さで随分制約があった。
おもしろ設備というと、電動でバックの上げ下げができることや、ネガフィルムをテレビで普通の画像として
見ることができるシステム、電動で位置が変わるストロボ、などがあった。
お祝いごとの写真の時の大混雑の時は朝から晩まで、缶コーヒーすら飲むことが出来ないで撮影していた。
この狭いスペースで2面撮影ができるシステムも考えだした。さらに、オプチカルスヌートといって、
ストロボにレンズが付いていてその間に模様や写真等を背景に映し出す事もできた。
何にしてもお金がかかるのである。また、成人の日等は、ストロボの電源がパンクしたこともあって、時期になると
予備の電源を何台か貸してくれるようになった。一番奥の背景の裏にはオーダーした機材置き場があった。
商品撮影などを簡略化するために、ハンズでパイプを買ってそれを椅子のような形に組んでみたりしていた。
ここで何かしら撮影するかロケに行くかのどちらかだったので、自分の時間はほぼ皆無だったので、自宅に帰れば
モノクロのプリント作業があり、睡眠時間は3時間程度しかも365日という日々を送っていた。
物撮りなどもそうだが、電気を消すとほぼ真っ暗になる。いろいろな撮影はストロボだけではなくて
タングステンでないと駄目なものがある。ということで、仕事をする分設備投資も多くなるし、アナログ時代に
プロペラの動きやリクライニングができる事を一枚の写真に収めるなんてことも、やってみれば簡単だったが
毎日が挑戦だったかもしれない。それと、専門学校生等がアシスタントにしてほしい等と訪ねてくる事もあった
議会の選挙などでは、極秘撮影を頼まれて、それが一人の候補者以外にも何人も来ていて、貼りだされた
選挙のポスターを見たら3分の2が撮影をした人達だったので、これは驚いた事がある。
しかも全員当選したのである。こういう時は支持政党がなくて良かったねなんて話したものだ。
何度も書いているが私は写真に対して殆ど無関心で育ち、まさか写真を仕事にするなどということは
想像していなかった。ただ、例えば日大の芸術学部の写真科を卒業した人の就職先を聞いたら、写真だけで
生活している人は一握りだそうだ。あとは写真業界に就職するとか全く関係ない所に就職している人が97%という
現実があるそうだ。
そういう意味では、恵まれたのか恵まれなかったのか実に微妙な感じである