三菱銀行立てこもり事件ー読売新聞大阪社会部編

この事件を記憶している世代は中年以上だろうか？
銀行に散弾銃をもった強盗が入ったが銀行の機敏な対応が裏目にでた事件だ。
確か通報で駆けつけた警官が射殺されるなど、当時の日本では銃を武器にした事件は比較的少なかったので日本も銃社会になるのかと騒がれた事件である。
逃げ場を失った犯人は、銀行に籠城し、テレビでは犯人の指示でほとんど降ろされたシャッターをただ映し続けていたが、何の動きもなく膠着状態が続いた。 行員を自分の盾にしていた為強硬手段がとれないまま時間が過ぎていく状態が続いて、要求をのまないと躊躇なく引き金を引いたのである。
警察との攻防が続いたが
結果的には犯人を射殺して解決したのである。
このときに黒田清という大阪読売社会部部長が、新聞の紙面に時系列で事件を追う手法をもちいたのである。実は銀行強盗の話よりもこういうアイデアを出し続けた黒田清の魅力に引かれた(部下が現在のコメンテーター大谷昭宏。黒田は癌で逝去）大手メディアに勤務しつつも驕ることなく社会の弱者の立場、目線でものを見ていた名物記者だ。犯罪のドキュメント手法は、何の動きもないシャッターを映し続けたテレビよりも細かい動きを時系列で書き記した。その他にも様々なアイデアを駆使したのだが、渡辺恒夫(ナベツネ）との衝突、不当な圧力を繰り返されて退社に追い込まれたのである。
ナベツネはメディアの独裁者であり偏向した考えをメディアを武器になりふり構わず貫いた人だ。
だから私も嫌いだけれどせっかくフリーになった黒田がさらなる活躍をというときに病で倒れたのは残念である。
ちなみに「新聞記者が危ない」という著書を黒田とともに読売を去った大谷が書いている。