富士フィルムプロ部の後押しや協力があり、私が思っていたこと、即ち
1従来の無表情な写真からの脱却ー自然な顔や笑顔を引き出す
2お客様自身が自分で選べるようにする
3CM撮影の経験をそのまま素人向けの写真にも使うーライティングや背景立ち位置などを変える
今の時点ではそれが当然になったが、その他に「前写し」つまり成人などの写真は式当日でなくて、十分な時間が
あるときに前もって写真だけのために着物を着ること等、その他卒業や入学入園、七五三等も然りだがそういう
概念がなかった時代でもあったのだが、古臭い写真館のイメージを払拭してやろうと考えたのである。
それとアメリカなどでは家族の写真を自宅に飾るのが常識だったのだが、日本では台紙に入れてしまうのが
なんとなしに慣習があったので、家族が人に見せたくなるような写真を写すことを普及させたいとも考えていた。
最初の頃はなかなか反応が見られずにいた為慣習を破るのは難しいと悩んでいたが、3年で私の方法を
理解してくれる人達が増えてきた。それは多分口コミだと勝手に自画自賛しているが、そうした型物の写真を
ママ達が見せ合いどこで写したの?てな訳で何とかさんに聞いたのだけど・・・と訪ねてくれる人が増えてきた。
それは撮影冥利に尽きることで、方向は間違えないことを確信したのである。
だから毎年10月から4月まで撮影のない日はなくなって、一応は予約をしてもらうのだが、余りにも人が多すぎて
例えば11月の七五三等は「撮影する予約は受けるが、来た順番で」に変更せざるをえなかった。
実は結構狭いスタジオなので、車と人が集中することしばしであった。
今撮影ができない障害があるのだが、その当時は何十組の撮影があっても手抜きはしなかった。
ただ、待ち時間がかかることになるのだが、時間に関してのクレームは皆無で、自画自賛方式で考えると
順番待ちしている人は私が一生懸命かけずりまわる姿を見ているので、それだけ真剣にやっているからだったの
ではないかと思う。(なるしすと?かな?)
また、納期について当時は平気で「1ヶ月後には」なんていうところが多かったようだが、撮影後写真を選べるまでに
丸2日、選ばせる装置も数十年前には殆どもっているところがないネガをテレビで見られる装置を買ってテレビで
選んでもらう仕組みを考えた。これも今時は当たり前のシステムだが業界内では革新的だったようだ。
早く選んでもらえるとプリントの発注が早くなる為プロラボの混雑期を避けることができる場合が多く、これも
利用者が増えた理由かもしれない。
ともかく忙しい時はあとで誰がどれだかわからなくなる為に、混みそうな日はビデオを回しぱなしにするようにした。
で、あとで順番と名前を確認したりしたのだが、どうせビデオを回しているのだからと、モニターにつないでおいた。
アナログの時代で今に比べれば様々な事に労力と金が必要だったが、つでだからと撮影風景をダビングして
お客さんにあげた。
断筆ではないが、朝起きたら指が全く動かなくて1年以上の治療が必要だと言われ写真自体を諦めなければならない
結果になったので、天命とはいえなんて意地悪な・・・・と断腸の思いをして現在に至っている。
(つづく)