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新春展『やわらかな、ぬくもり』 ※3月14日(日)まで
タイトルそのままに楽歴代のソフトタッチな茶碗を集めた展覧会。
第一展示室のセンターはポスターにも使われている直入さんの「梨花」。
赤楽じゃなくて、皪釉(れきゆう)という透明感のある釉薬。
形もチューリップみたいだしね。
観る度にホッとする茶碗。
常慶の菊之絵赤楽茶碗に道入の黒楽茶碗「撫牛」。
一入の黒楽馬上盃形茶碗。盃というよりは卵型のワイングラスのような感じ。(縦にゆるく長まるい)
宗入は赤楽茶碗「福の神」。聚楽土で焼かれてる。
そして、隣には宗入の娘で左入の妻「里う(妙)」作の赤楽茶碗。(左入が焼いたもの)
以前、妙修作の赤楽の香合を拝見したことあったけど、やはり親譲りなのか上手。
お茶碗も女性らしいやさしさを感じた。
(女性の作品が遺っているなんて、とても珍しいし貴重だなと思う)
得入の赤楽筒茶碗。薄命だったせいか、得入の茶碗はどてもやさしいけど、この赤楽筒は象徴的。
了入と旦入の合作による黒楽茶碗。たぶん、初見。
手づくねを旦入がして、外の形を了入がやって、内側を旦入が削ったとか。
ちょっととばして、惺入(せいにゅう)の白釉立鶴茶碗。
野村美術館とかにある立鶴茶碗を写した?もの。
覚入の赤楽茶碗「春の声」。昭和41年の歌会始のお題「声」に因んだもの。
東大寺二月堂の声明にヒントを得たらしい。
「声」という目に見えないものを茶碗の形や釉薬(色合い)で表現するって、すごいなと感心した。
第二展示室は旦入の十二支香合~龍は惺入(せいにゅう)作~が見応えあった。
楽家の正月飾りもステキ。
第三展示室は重厚な雰囲気。
長次郎の黒楽茶碗「面影」、ひとつおいて宗入の「亀毛」。
そして、坂東玉三郎さん作の黒楽茶碗と赤楽茶碗。(いずれも焼いたのは直入さん)
黒楽は2018年作だけど、赤楽は2020年作。え?去年? コロナ禍のなかで?とびっくり。
赤楽茶碗は本当に玉三郎さんのお人柄が見えるようなやさしげなお茶碗。
コロナで舞台は休演、やっと復活した公演でも自らも一時は濃厚接触者で一時降板されと
舞台人にとっては苦難の続く今の状況。
その中で作ったのが、こんなにやさしい空気をまとうお茶碗とは。
「麒麟がくる」の正親町天皇役で出演しているしね。
なかなかたタイムリーな展示だった。
ラストはご当代(16代)作の黒楽灰茶碗。
黒ではなく灰色の釉薬がとても印象的な茶碗。
2020年秋にコロナ対策をした中での窯焼きで生まれた茶碗。(春の窯焼きは中止だったそうな)
ある意味、混沌とした時代を象徴したような。
しかも、薬師寺東塔の基壇の土で作ったとのこと。
ほー。祈りの場で1300年間も眠った土かぁ。
てか、薬師寺って、たしか天武天皇が持統天皇の病気治癒を祈願して建立したんじゃなかったっけ。
まさに、コロナ収束を祈って焼いた茶碗。
2016年新春も「やさしい」をテーマにした展覧会だったけど、
今回はまたちがった「やさしさ」を見せてもらった。
お正月らしい結び柳
今回はお手洗いの花が残念。
楽家の正月飾り。
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