ステロイドを処方される時、副作用が出る可能性が高い場合には、副作用についての説明が医師の方からあるのですが、
ステロイドの場合は副作用といっても軽度であったり、人によりその個体差が大きいので、その全てを定義づけるのは難しいといえます。
ですから、この程度の量でこの副作用が必ず出るとか、消えるとかの絶対的な基準が薬の副作用全般にありませんよね。
私の母には喘息があります。
喘息の人は発作がおこるから、器官の炎症を抑えるためにステロイドを使ったりしますが、私の母もステロイドが入った吸入器を苦しい時に使用していて、もっと苦しくなると病院でケナコルト注射という注射をしていました。
そうすると喘息症状は消え、一ヶ月程度その効果が持続します。
ということはどういうことかと言うと、注射した箇所から体内に長期間に渡りステロイドを放出し続けるということなので、器官の炎症が一時的にストップして喘息患者には魔法の薬という印象があります。
だから患者さんは、
「あそこのお医者さんはすごい。いい薬を使ってあっという間に楽になる」
そんな評判で、そこは個人病院ですがいつ行っても込み合っています。
でも副作用の説明は一切ありません。
それに患者側も副作用についてはそれほど気にならないものです。
どうしてかというと喘息の発作というのは一時的に悪化して、後は吸入器でなんとか日常生活を過ごしていけるからです。
だから酷くなった時にはケナコルト注射、あとは吸入器を使用するというサイクルを繰り返すようになります。
日常使用する吸入ステロイドに関しては、霧状のステロイドが気管に直接届き炎症を抑えるため、ステロイド量はごく僅かであり、全身的な副作用は少ないといわれていますし、
ケナコルトも間隔を二ヶ月に一度とかの間隔があって使用していても、私のような常時服用組のように、明らかな感覚や見て分かるような副作用は出にくいのです。
だから何も知らずに使う患者さんにとっては、何のリスクも無く喘息症状を抑えられるということで、”魔法の薬”となるのでしょう。
でも長期に渡ってこのサイクルが繰り返されるとどうなるかというと、
ちょっとした衝撃で骨折してしまい、調べてみたら骨粗鬆症と診断された。
それが私の母で、現在別の病院でそちらの治療もしています。
長期の繰り返しにより、魔法の薬が、いつの間にか悪魔の薬に変貌していたという次第です。
もちろんその病院には今は行っていません。
その他にもステロイドを使うと、血管壁や皮膚が弱くなったりすることもあり、母もちょっと体をどこかにぶつけるとすぐに内出血で青くなってました。それはステロイド使用を止めた現在はなくなりました。
ここまで読むとステロイド批判のようになってますが、でも私を含め、それを使用しなければもうどうしようもない人にとっては、副作用を覚悟の上ステロイドを使用しなくてはいけない状況にあります。
絶対に使ってはいけない的に書かれた本なども存在しますが、それはその人の状態により大きく異なりますね。
人には我慢できる範囲とそうではない範囲がありますから。
正しく使うこと、実際に使う人が理解すること、それが重要なのだと思います。
知っていれば、初めから副作用に対抗する手段も選べますからね。
それと、魔法の薬なんてこの世に存在してません。
魔法と呼ばれるほどに効く薬には、必ず裏があるものなんです。
今魔法でも、後々ジワリジワリと副作用が現れることだってあるんですよ。
良薬口に苦しなんて言葉がありますが、これは言い換えると、副作用なくして効く薬はないってことです。
近所の評判を見極める力も必要ですね。