昭和歌謡で歌われる仙台市の広瀬川ではない。群馬県前橋市の広瀬川だ。約1.2kmに渡り、河畔の遊歩道が整備されている。7m程だろうか(もしかしたらもっと高いかもしれない)、流れに沿って両岸に柳の木がそびえている。今日は34度の真夏日。前橋は全国でも暑い都市の一つだが、広瀬川河畔は風が通り、汗が心地よかった。私も思っていたが、妻が「柳というと幽霊を連想するね」と発言した。風や川の流れだけでなく、柳に幽霊という古い観念のために一層涼しさを増したのかもしれない。
散策路というから、流れがゆったりとした小さな河川を思っていた。しかし、地図を見ながら前橋公園を過ぎたところで、橋から川を見た途端驚いた。勢いよく、水量も多く流れる川だった。橋が水につかりそうであった。8月に入ってからの雨で増水しているのだろうか?
疑問を抱きつつも、我々はゆっくりと散策路の左右にある歌碑やオブジェなどを見ながら歩いた。前を行く地元の人と思われる女性に水量のことを聞いたところ、いつもこの状態とのことだった。
ガゼボもあり、散策にはとても良い場所だ。
堰。それほど段差は内容だが、水流が激しいために下流は白く濁る。
堰の説明文。
この1.2kmの範囲には9つの橋がある。その一つ絹の橋。
水車が散策路の川岸側に設置されていて、回っていた。
老木の周りの花壇に咲くヤブラン。
石で作られた椅子。鬼の顔だろうか?
川を見ているフクロウ。
万歳する児童。
指しゃぶりの幼児。
行程の中ほどだったか、後ろから来た別のご婦人と妻が、いつの間にか話していた。婦人は群馬県の他市から美術館に来たという。昔、大学に通っていたころ前橋に住んでいた。そのころはこんな川でなかったし、周りも整備されていなかった。ずいぶん変わったと話していた。定年後は日々、習い事などをしているとのこと。詩を読む、習字を習う、絵を描く、山に登ったり、やることが一杯あって楽しいと言う。15分ほど話したら、それではお先にと言って、黒い日傘をさしながら去っていった。おしゃべりも歩き方も、まるで川の流れのようなご婦人であった。
このご婦人の出現は、風や川の流れとともに異次元からやってきた夢かと思える一コマであった。買い物がてらの小旅行の爽やかな思い出であった。
(つづく:川の話題でないエピソードを明日書きます。)