不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Addio San Pietrini ??

2005-09-10 12:32:00 | アート・文化
ローマの街中で見かけるもの。
San Pietrini(サン・ピエトリーニ)はグレーの石畳。

ローマでは「Serci」とも呼ばれるこのグレーの味わい深い石畳は
5世紀にも亘って、ローマの街並みを彩り
ローマを舞台にした映画や芸術作品にもよく登場します。
いまやローマ人にとっては生活の一部、
欠かすことの出来ないエッセンスでもあるのですが
これが現代生活の支障になることもしばしば。
*イタリア語では「Selce」ローマ方言では「Sercio」

1500年代、馬車での移動がメインだった時代には
この石畳も問題のないむしろ好都合のシステムだったのかも。
しかし、現代では
エレガントに着飾った淑女の
ハイヒールの踵が石畳の隙間に挟まって
バランスを崩してあられもない姿になったり、
スクーターや車での移動の際には
程よい振動で肝臓まで痺れたり、
もっとサスペンションの悪い市バスでの移動では
消化不良を起こすほどの
激震に見舞われたりすることもしばしば。
雨が降れば表面がツルツルになって
滑りやすくなるなどの「危険性」以外に
この石畳の保存・修復・維持にかかる費用も莫大なものだし
かたかたガタガタと賑やかで
車内で話す声が聞こえにくいほどの
騒音の元凶だったりもするわけで。

そんなことを踏まえて
ローマ市ではこの「サン・ピエトリーノ」撤廃の方針。
歩行者エリアには
この伝統的な石畳を残すとはしているものの、
特に交通量の多いヴェネツィア広場(Piazza Venezia)、
ナツィオナーレ通り(Via Nazionale)、
カブール通り(Via Cavour)などは
全面的にアスファルトに敷きかえられることになりそうです。

12センチ四方に切り揃えられたこの石は
元々ローマ近郊のカステッリ(Castelli)の
採石場から切り出された火山岩。
1600年代にはアブルッツォ地方から
多くの石の切り出し・成型職人がローマに召喚されて
ローマ市内の道の舗装に当たったといわれています。
500年にも亘って利用されているだけに
磨耗や壊滅も激しく、頻繁に補修工事が必要ですが
国際事情の変化(グローバル化)に伴い、
昨今では
中国からの輸入石を利用することが多くなってきています。


ヴァチカン市国のサンピエトロ広場舗装の際に
使われたのが起源で
「サン・ピエトリーニ」という名前もそれに由来します。
因みに、その後は
サン・ピエトロ寺院建立そのものに携わった工員たちも
「サン・ピエトリーニ」と呼ばれていました。
1585年から当時の教皇シスト5世(Sisto V)が
ローマ市内の道路舗装に
サン・ピエトリーニを導入したのをきっかけに
この石畳は普及し、
1589年までにローマ市内の120の道が整備されました。
1736年にはコルシーニ家出身の教皇
クレメンテ12世(Clemente XII Corsini)が
コルソ通り(Via il Corso)の舗装化に努め
その後も石畳は普及を続け
1870年にはナヴォナ広場(Piazza Navona)もサン・ピエトリーニ化。

石畳の部品一つ一つは
12センチ四方もしくはそれよりも小さめの石ですが
地中に埋まっている部分は約17センチで、
ひとつの石の重さは3キロほどなのだそう。
(実際地中に埋まっている部分は錘状で
全体としては逆ピラミッド型をしています)
この石は歴史的にローマでの暴動の際には
道路から引き剥がされて大いに投げられたそうですが、
1968年の騒動を最後に
最近ではそういう光景も見られなくなったとか。

イタリアの美しい歴史を彩ってきたものが
またひとつ姿を消そうとしているのです。



ローマで短いヴァカンスを終えた
Spicchi*di*SoleのKiyominaさんの
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Buonissimo

2005-09-10 00:47:25 | Squisito!
In 10 anni non sono mai stata in questo ristorante.
Si mangia benissimo.
Il Guscio nella zona S.Frediano
immagine3.jpg

10年間フィレンツェに暮らしていて
行ったことがなかったレストラン。
最近になって立て続けに「おいしい」と噂を聞いたので
誘われて行ってきました。

味付けは濃い目なので、
「トスカーナ料理」ではあるけれど
下ごしらえに時間をかけているのが
はっきりわかるデリケートさも持ち合わせていて
確かに「絶品」のおいしさ。

アンティパストの「ソラマメのスフレ」でいちころになりました!
またすぐに行きたいお店!