不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Diritto di Voto dall'Estero

2005-09-17 10:40:33 | 日記・エッセイ・コラム
フィレンツェで10年を暮らしたと
ここ数日イタリア人の友人とも話をする機会がありました。
その中でやはり話題になるのは「滞在許可証」の問題。

外国人である限り
イタリアに長期的に滞在するにあたり
「滞在許可証」を所持していなければ不法滞在。
もちろん私は10年間にわたって
就学目的滞在許可証で6年間、
就労目的労働許可証で4年間。
合法的に滞在しているので、
問題がないといえば問題はないのですが。
フリーランスの不定収入者である上に
年収が低いため
まったく借金もしていなければ滞納も一切していないのに
「先行き不透明」という理由で
長期での許可証が認可されません。
雇われていれば保証されているということになり
二年分の滞在許可証が出たりするのですけどね。

そんな話をしていると
必ず言われるのが、
「どうしてイタリア国籍をとらないのか」ということ。
そう、イタリア国籍を持って
イタリア人として暮らしてしまえば
少なくとも、
面倒くさい滞在許可証とはおさらばできるわけです。

しかし、日本という国家は
「日本国籍と外国国籍の二重取得を認めていない」のです。
二重国籍が認められれば
スムーズに進む部分はたくさんありますが、それは不可能。
つまりイタリア人にはなれないわけで。
(まぁイタリア人になることを望んでもいませんけど)

つまりずっと日本国籍のみを保持することを余儀なくされるのに
日本国民の権利として保障されるべき「選挙権」が
海外在住者の場合、蔑ろにされていたのです。

それって不条理。

常々そう思っていたわけです。
日本人としてだけ生きることを強制するのであれば
どこにいたって、その国民として有する選挙権を認めて欲しい。
今回の選挙では本当に強く感じました。
これだけの大きな動きになるのが明らかだった選挙に
私は日本国民の一人として
自分の意思を反映させることができなかったのですから。

それが、変わるかもしれない。
在外選挙権に関して大きく変化するかもしれない。
2005年9月14日の
在外日本人に国政選挙の選挙区での投票が
認められていないことをめぐる訴訟の最高裁判決。
日本国家としては
「選挙区選挙で在外選挙制度を
公正に混乱なく実施するためには、
海外のどこに住んでいても
候補者に関する情報を同様に提供する必要があるが、
選挙期間内の周知・徹底は困難だ」と主張したそうで。

国の主張、チャンチャラおかしいです。

日本国内でどんなに選挙告知を徹底しようとも
関心のない人にとっては、何の意味も効果もないもの。
逆に
世界のどこにいても、国政に関心を持っている人ならば
どんな手段を使ってでも、
候補者情報を入手することは可能。
個々人の関心次第だと思うのですけど。

実際今回の選挙について、
私はフィレンツェに暮らす日本人の友人と
色々と意見を交わし、
インターネットで日本国内の情報や近況を
逐一チェックしていたわけですから。
「選挙期間内の周知・徹底」は
今の時代「困難」であるはずがないのです。

最高裁の判決は
海外で暮らすものに対しても
すべての国政選挙における選挙権を拡大するようにというもの。

これは当然のことであって、
特に「喜ぶ」べき事柄ではないのです。
むしろ、これまで手付かずで放置されていたのを嘆くべきこと。
当然の事が当然に行われることが
可能になるかもしれないというだけなのです。

ただし、どういう形で、どういう手続きを踏んで
という具体的なシステムが公表されるまでは
なんともいえません。

イシアタマな日本国家のやることですから
煩雑で複雑なシステムを設定しそうな気もしないではないのです。
あまり複雑すぎたら結局利用できない人が出てくるのは自明。
シンプルかつスマートなシステムの導入が望まれます。

実際海外で暮らす人にアンケートをとるくらいの
そういう姿勢でいて欲しいと思うのですけど。



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