ついこの間にはRaffaello(ラファエロ)の「ヒワの聖母」
そして若きBrunelleschi(ブルネッレスキ)の
聖母子彫刻などの修復を完了し
現在はChiesa di ognissanti(オンニサンティ教会)にあった
Giotto(ジョット)のキリスト磔刑像、
Mantegna(マンテーニャ)のPala di San Zeno(サン・ゼノ祭壇画)、
Beato Angelico(ベアト・アンジェリコ)の
Tabernacolo(壁がん祭壇画)、
Raffaello(ラファエロ)の「La bella(美しき婦人の肖像画)」などが
修復完了の順番を待っています。
ジョットの作品は保存状態が非常に悪く、
煤けて真っ黒になっていたものを丁寧に汚れを落とし、
朱色やラピスラズリの鮮明な青色が戻り
丹念に描き込まれた幾何学模様の飾りも確認されました。
2009年末には完全に修復が完了する予定ですが
修復完了後どこに酒造されるかは未定となっています。
おそらくオリジナルの設置場所であるオンニサンティ教会に
戻されるのではないかとみられています。
マンテーニャの作品は既に2年にわたり修復が続けられており
まもなく予定通り修復が完了し、
5月21日にはヴェローナに戻されることになっています。
修復の途中でマンドリーノを弾く天使の指には
ピックとして使われた羽毛が握られていることまで確認されました。
きれいに洗われるまでは
何かの毛などの汚れだと考えられていたものですが
こうして丁寧に修復されることによって、
若き日のマンテーニャが2年をかけて製作した
傑作の細部が鮮明になり
画家の作風や意図がより明らかになっています。
フィレンツェでこうした美術品の修復を担っているのが
Opificio delle Pietre dure(貴石博物館)ですが
数年前からこの修復センターに対する
国家予算があまり組まれることがなく
常に資金不足であるというニュースが流れています。
2009年も資金不足が懸念されており、
年間予算はわずか60000ユーロ。
この金額では十分な修復作業を続けていくことができないのですが、
イタリアを取り巻く不況の影響で
なかなかこうした文化活動まで
十分な予算を回すことができなくなっているようです。
また資金不足だけでなく、
現在は別の問題も浮き上がってきています。
修復という仕事も他の職人技術と同じように
後世に引き継がれていかなくてはならない
重要な仕事のひとつですが
後継者は年々少なくなり、引継ぎ手が不足しています。
もちろん組織内の高齢化も進んでおり、
2009年内に実に5人の修復士が定年退職の予定。
この5名の再採用の予定もなく、
新規採用の予定もめどが立っていない状況。
Mantegna Pala di San Zeno di Verona
今後のOpificio delle Pietre dureの修復活動が
引き続き滞りなく行われることを願うばかりです。