パリのルーブル美術館所蔵の
レオナルド・ダ・ヴィンチ(Leonardo Da Vinci)の
洗礼者ヨハネ(San Giovanni Battista)は
69×57の小ぶりの作品。
同じくレオナルド作モナリザとも
比較されることが多い作品ですが、
同様のちょっと薄気味悪いとも受け取れる
神秘的な笑みを浮かべています。
レオナルドが生み出し完成させたとされる
ぼかし技法(Sfumatura)で
背景部分はヴェールのかかったような表現になっていて
その中から人物像が浮き上がるような
不思議な仕上がりになっています。
レオナルド晩年の作品で、
一説では最後の作品ともいわれています。
彼がまだフィレンツェ滞在中の1505年に
ジョヴァン・ベンチ(Giovanni Benci)が
依頼した作品とされています。
Benciはそれよりも前(1474-1478年)に
自分の妻の肖像画もレオナルドに依頼しています。
こちらの肖像画は
現在ワシントンのナショナル・ギャラリー所蔵となっています。
依頼を受けて製作を始めたものの、
1510年ころにはフィレンツェを去りミラノへ向かい、
更に1513年から3年間はローマ滞在、
そしてそのままフランスへ旅立ちます。
その間レオナルドはこの作品もずっと持ち歩き続け
加筆していったといわれています。
この点もモナリザの経緯によく似ています。
レオナルドが1519年にフランスで他界すると
フランスまで同行していた弟子の
ジャン・ジャコモ・カプロッティ(Gian Giacomo Caprotti)、
通称サライーノ(Salaino)が
レオナルドの遺品を受け継ぎますが、
彼も1524年に銃弾事故で早逝し、
その後はこの作品も転売を重ね
最終的にフランス革命時に
ルーブル美術館に落ち着くことになります。
ちなみにサライーノはこの作品に影響を受け
同じテーマでもっと明るい作品を描き残しており
現在ミラノのアンブロジアーナ絵画館に所蔵されています。
レオナルドのこの作品は
1939年に一度ミラノで展示されていますが、
今回70年ぶりに再びミラノで展示となっています。
しかも無料公開の太っ腹。
クリスマス時期にミラノを訪れるのなら
是非足を運んでみてください。
Leonardo a Milano
会場:Palazzo Marino
会期:2009年12月27日まで
入場料:無料