不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

L'amico ritrovato

2009-12-22 13:02:34 | アート・文化

ルネッサンスの時代のボローニャを中心に活躍した
アミーコ・アスペルティーニ(Amico Aspertini)は
少々エキセントリックな画家として知られています。
ロレンツォ・コスタ(Lorenzo Costa)や
フランチェスコ・フランチャ(Francesco Francia)などに師事した
正統派のボローニャ派画家でもあり、
マニエリズムのさきがけともいわれる技法で
独特の世界を描き出しています。
ヴァザーリによれば信じられないくらいに筆が早く、
時には片手に薄いグレー、片手に濃いグレーの筆を持ち、
一気に両手を使って
キアロスクーロ(CHIAROSCURO:明暗技法)を
完成させることができたともいいます。

そんな彼が手がけた作品で長く行方不明となっていた作品を
ウフィツィ友の会がある骨董市で購入し、修復を完了し
ウフィツィ美術館に寄贈することになり、
毎年恒例の年末の展覧会「I Mai Visti」に展示されています。

Amico_aspertini

1500年代半ばにパオロ・ジョヴィオ(Paolo Giovio)が編纂した
人物賞賛伝ともいえるELOGIOという
時代を代表する人物辞典では
各人物の項に肖像画の挿絵が入っています。
このなかで
アレッサンドロ・アキッリーニ(Alessandro Achillini)という、
哲学者であり論理学・薬学の講師でもあった人物の
記載に添えられた肖像画のオリジナルが
今回展示されているアスペルティーニの作品です。
時代遅れのカワウソの革の襟をつけた赤いマントを羽織って、
斜に構え薄気味悪い笑みを浮かべている男性が、
当時名声を馳せた学者だったわけですが、
この風変わりな哲学者をエキセントリックな画家が描くことで、
ある意味非常に繊細な部分まで
表現されているようにも見受けられます。

今年の「I Mai Visti」のテーマはSanti,poeti, navigatori。
いつものようにウフィツィ美術館の西翼の
Sala Reali Posteで開催されています。

I mai visti
Santi, poeti, navigatori
会場:ウフィツィ美術館付属Sala Reali Poste
会期:2009年12月16日から2010年1月31日まで
開館時間:10:00-17:00
休館日:毎週月曜日、12月25日、1月1日
入場料:無料
詳細インフォメーション

私は個人的にAsperitiniが苦手です。
あまりにも薄気味悪くてだめなんですが。
中にはすばらしい色使いの作品もあったりして
時々はっとさせられるんですけどね。
どうも気持ちよく鑑賞できなくて・・・。