2004年に大ブームを起こした
Riccardo Scamarcio主演のイタリア映画
「Tre metri sopra il cielo」の影響で
映画の1シーンに使われた
ローマのPonte Milvio(ミルヴィオ橋)での
愛の誓いの鍵掛けが社会現象にもなりました。
それに倣ってイタリア各地でも恋する若者たちによって
鍵掛けが盛んに行われるようになりました。
フィレンツェも例に漏れず、
Ponte Vecchio(ヴェッキオ橋)の中央に置かれる
Benvenuto Cellini(ベンヴェヌート・チェッリーニ)の
胸像の周りに張り巡らされた柵に
たくさんの南京錠がかけられていました。
最初は温かく見守っていた当局も
次第にヒートアップしていく様を見て手を打つことにし
南京錠の強制撤去と罰金(160,00ユーロ)を設けましたが、
これも余り効果はなく、
未だに鍵をかける恋人の姿は後を絶ちません。
効果のなさに業を煮やして2年前には
ヴェッキオ橋の一つ上流の
Ponte alle Grazie (グラツィエ橋)の近く
アルノ川沿いのヴェッキオ橋を眺める場所に
愛を誓うことのできるモニュメントを作るという計画が発表され
フィレンツェ市議会でも承認されましたが、
肝心のモニュメントは未だ影も形もない状態で
そのせいか
グラツィエ橋にも南京錠がたくさんかけられています。
そのうえ、慣わしでは
この南京錠の鍵を二人そろって川に投げ捨てることで
永遠の愛を誓い合うことができるとされているために
アルノ川には愛の重みを背負った鍵が
たくさん沈んでいることになります。
世の中なんでも規則で縛り付ければよいものではないけれど、
少なくともフィレンツェの街中は
ユネスコ世界遺産に指定された
保護されるべき地区であること、
そこにある様々なモニュメントは
普通に存在しながらも
歴史的価値のあるものだということを認識して
ツーリスト一人一人が心がけるようにするべきだと思います。
とりあえず、
グラツィエ橋周辺に設置される予定のモニュメントは
現フィレンツェ文化担当相によれば
急を要するものではないということで
しばらくは設置されることはなさそうです。
永遠の愛を誓いたい二人は
流行に左右されず、
もっとモラルのある別の形で誓い合うことにしましょう。