本物と区別ができないくらいの贋作だったら
それはそれで価値もあるんじゃないかと思ったりもしますけど
ニセモノはやっぱりニセモノだったりします。
作家だっていつも完璧な作品が作れるわけじゃないだろうし
ここは弟子が描いただろうとか言ってみたものの
本当は本人の筆によるものだったりするかもしれない。
そんなの専門家がじっくり腰据えて
綿密にチェックしなくちゃわからない。
だから絵画の楽しみ方は
もっと自由であっていいと思うのだけど。
本物じゃないと評価してもらえなかったり、
展示もしてもらえなかったり。
イギリスのナショナルギャラリーだって
贋作買っちゃうんですから。
1874年のこと。
当時のナショナル・ギャラリーの責任者は
個人コレクターから2枚の「ボッティチェッリ」の作品を購入。
このうち1枚は本物のボッティチェッリ作(Venere e Marte)、
もう1枚は贋作(Una Allegoria)。
もちろん当時贋作だなんて夢にも思わず
なんと贋作に本物の2倍の金額払ったらしいですよ。
ニセモノ
女性の足が不自然だったり
お腹のぽっこりが「え?」ってところにあったり
髪型が手抜きだったり。
そういわれればって気はしますけど、
「いや、ボッティチェッリだよ」といわれれば
そう信じたくもなるほど画風は良く似ているよね。
本物。
確かに安心して見られる気はするよ(笑)。
でもさマースの下からひょっこり覗いている
サティロが変だっていえば変じゃない?
だから本物かどうかなんてやっぱり素人にはわからないのだ。
1800年代終わりから19世紀にかけて
ナショナル・ギャラリーが購入した作品には
いくつかの贋作が含まれていることが
後の研究調査で明らかになったのです。
で、上記のボッティチェッリをはじめ
レンブラント、ピエロ・デッラ・フランチェスカ、
アンドレア・デル・ヴェロッキオなどの作品とされていた
ニセモノを集めて9月末まで展示しています。
実に6部屋分にものぼる作品群は
それはそれで見応えがあるんじゃないかと思います。
もちろんその逆もありうるわけで
ずっと贋作だといわれてきたものが研究の結果
本物だったよ、という作品を展示する部屋も1部屋。
2年にわたる研究の末、
本物であると確定された
ラファエロの「Madonna dei garofani」とかね。
ま、ラファエロといわれればラファエロだよね。
ラファエロです。
ちょっと休みもらって見に行こうかな、ロンドンまで。
面白そうだよ。