日蓮聖人が鎌倉で懸命に辻説法をしていたその時代は、大災害が立て続けに起こっていました。更に正嘉元(1257)年の大地震が世情の不安に追い打ちをかけました。
誤った仏法が世の中に広まったからではないか?
じゃあ何が間違いで、何が正しい仏法なのか?
この答えを経文から見つけ、実証するために日蓮聖人は岩本・実相寺の経蔵に籠ることにしました。

実相寺を訪問しました!

富士川の堤防から岩本山方面を望みます。

ご近所にはお茶の専門店や製茶業者があります。
「富士茶」の産地です。
とても香りのよいお茶に仕上がるそうですよ。

名刹の割には観光地化されていません。
タイムスリップした気分です!

山門です。
ここから神聖な境内に入ってゆきます。

「安国道場」でいいのかな?達筆すぎて・・・

霊跡本山なんですね!
日蓮宗ポータルサイトによると現在、霊跡本山は14ケ寺あります。
ここ岩本実相寺は昭和46年に霊跡本山に昇格したそうです。

立派な題目法塔!

造立主が個人名になってました!すげぇ!

「閲大蔵経」「著安国論」道場!!

由緒がありました。
もともと実相寺は鳥羽法皇が比叡山の偉いお上人に命じて作った、天台密教の勅願寺でした。日蓮聖人が生まれる80年近く前にはお寺があったようです。

天台宗・三井寺の円珍上人が平安時代に唐から持ち帰ってきた一切経が2蔵ありました。
ひとつは三井寺に、もうひとつは岩本実相寺の経蔵に納められていたのです!
仏教を学ぶ人々にとっては、国立国会図書館みたいな場所だったのでしょうね~

楼門です。
左右に立派な仁王像が安置されています。
この仁王像の頭部からは、お題目をひらがなで400回記した紙が発見されたそうです。
かつて境内にあったと思われるお寺の名が刻まれた法塔がありました。

「真乗院」
日持上人が開基のお寺のようです。

「常在院」
日興上人旧地とありました。

実相寺の境内図を見ると、総門近くに真乗院跡も常在院跡もありますね~。

岩本実相寺は岩本山の南斜面に境内が広がっているのがよくわかります。
山頂近くに七面堂があり(七面山みたいですね!)、一切経蔵は中腹にあるようです。
登山になりそうだ(笑)

妙法堂です。
天狗の兄弟を祀っているらしく、石下駄がありました!
怪我や病気の平癒、安産などのご利益があるそうです。

日蓮聖人像に合掌。
ちょっと厳しいお顔をしていますね~!誤った仏法を正している時の表情でしょうか?

多くの日蓮聖人像を見るうちに、チェックするポイントもマニアックになってきました。
最近は右手をよく見ます。指先までパワーが漲っています。
この手だけでも、緊張します。

本堂です。
クリーム色がベースの珍しい配色です!
富士川堤防からこの大きい屋根がよく見えましたよ~

祖師堂です。
方形屋根がいい感じ!

見事な彫刻に見惚れていると・・・

これ、わかりますか?セミの抜け殻が残っていました!!
柱や壁からも遠く離れた場所なのに、よく登ってきたな~お前!!
素直に感動しました~

祖師堂の奥に歴代お上人の御廟がありました。
ひときわ目立つ墓石は

この岩本実相寺を天台宗から日蓮宗に転宗させた日源上人です。
日源上人自身も元々天台宗の僧侶で、岩本実相寺の学頭をしていました。日蓮聖人とは横川(比叡山)以来の学友で、一切経を読みに訪れた日蓮聖人の講義を聞き、帰依したそうです。

高座石がありました。
特に由緒などはありませんでしたが、恐らく、日蓮聖人がこの上で他のお坊さんにお説法をした石なのでしょう。
また、経蔵での研究にお疲れになった時にはお掛けになった石なんじゃないかな…
なぜならこの石のすぐ上には・・・

一切経蔵があるのです!

説明がありました。
一切経って、何百巻あるんだろう?って思ってましたが、驚きました!
6174巻もあるんですって!!!!
お釈迦様の生涯の教えが全部書かれているそうなんで、そりゃ~多いでしょうが・・・想像を超えてましたね~
日蓮聖人は約2年間、経蔵に籠って続発する天変地異の理由を経文に求めました。

現在も貴重な一切経が納められているそうです。
セコムさん警備頼みますね!

一切経蔵のすぐ近く、祖師堂の裏側でちょっとわかりにくい場所ですが、井戸がありました。
日朗上人米とぎ井戸だそうです。
日蓮聖人が経蔵に籠ったといっても、やはりお腹はすきます。ましてや脳をフル回転させると身体が糖分を欲しがりますよね!
今の中学生くらいの若い日朗上人は、この井戸でお米をといで、ご飯を炊いたと思われます。
まだまだ上り坂は続きます。

天神堂です。学問の神様なのかな?

やっぱり!絵馬が沢山掛かってました。ご利益あったかな?

徐々に建物が少なくなり・・・

ハイキングコースっぽくなってまいりました!

七面堂がありました~!

法華経を守護して下さる神様、七面大明神をお祀りしていると思われます。
七面堂にある掲示板に、法話が貼ってありました。

「実相」という漢字に「まことのすがた」というふりがなが付いていました。
僕は毎朝のおつとめの際、方便品第二も読むのですが、いわゆる十如是の直前に「唯物与仏 乃能究尽 諸法実相・・・」とあり、馴染みのある二文字です。

あらゆる物事の実相=「まことのすがた」というのは、全て因があり、縁にふれて結果に至る・・・。
何かわかるようでわからないのが僕の実相です(笑)

ただ、昨今のメディアが発信する膨大な情報や、外見・肩書きなど、目に見えるものに惑わされず、可能な限り物事の「まことのすがた」を知るように努める人でありたいと、今回改めて思いました。
実相寺を訪問した意味でしょう。


岩本山の山頂は公園になっていました。

展望台からの景色は超ど級!!!
富士川が海に注いでいるのまで見えます!
さあ、下山しましょう!


ときどきハッとするような風景があります。

黄緑色の桜ですよ!キレイですね~

身延山にもある遅咲きの「御衣黄桜」です。

最後に御主題を頂きました。
どら焼きも頂いちゃいました!!
ここ岩本実相寺で一切経を閲読し、日本救済の唯一の方法を確信した日蓮聖人は、先日訪れた松葉ケ谷の安国法窟で「立正安国論」を書き上げたのです!

実際にご霊跡を訪れてゆくと、ホントに流れがよくわかります。
オススメです!!!