山頭火つれづれ-四方館日記

放浪の俳人山頭火をひとり語りで演じる林田鉄の日々徒然記

日ざかりの千人針の一針づつ

2005-08-15 01:21:47 | 文化・芸術
041219-018-1
   Information「四方館 Dance Cafe」

<日々余話>

<戦後60年をどう読むか>

終戦紀念の前日、14日付の毎日新聞は、書評欄-今週の本棚-で、「あの戦争から60年」と題して、丸谷才一、五百旗頭真、田中優子の三氏を水先案内として、戦後60年の節目にあの時代をいかに問い直すべきかを考えるよすがとしての読書案内を各々に寄稿させているが、是をなかなか骨太の良企画として評価したい。
なかでも丸谷才一氏選による書群構成とその文章は、私などにとっては刺激的で啓発されるところ大きいものとみえる。
氏が紹介する書群をそのまま列挙すれば、
1-「満州事変」臼井勝美著(中公新書)
2-「真珠湾の日」半藤一利著(文春文庫)
3-「暗黒日記」清沢冽著(岩波文庫)
4-「昭和二十年 1~11」鳥居民著(草思社)
5-「原爆を投下する日まで日本を降伏させるな」鳥居民著(草思社)
6-「靖国問題」高橋哲哉著(ちくま新書)
7-「野火」大岡昇平著(新潮文庫)
8-「父と暮らせば」井上ひさし著(新潮文庫)
9-「ねじまき鳥クロニクル 1~3」村上春樹著(新潮文庫)
となっているが、
冒頭「日付のはっきりしている最初の思い出は1931年9月19日の号外だ。六歳の私は「戦争だ戦争だ」と浮かれる声を聞いて、あゝ厭なことだと思った。言うまでもなく、この前夜にはじまる満州事変があの大戦争の第一章。それでわたしはこの紛争に自分史的と歴史的の二重の意味で関心がある。」
と書き出しているように、氏はこれらの書を自分史と重ね合わせながら巧みに紹介していく、その二重奏的な運びが氏の描くあの時代への全体像を浮かび上がらせてくれるようで、なかなかに説得力あるものとなっているように思われる。
未見の人にぜひ一読されてはと薦めたい。

今月の購入本
 高橋哲雄「スコットランド 歴史を歩く」岩波新書
 高村薫「半眼訥訥」文春文庫
 高田里恵子「グロテスクな教養」ちくま新書
 毎日新聞社編「魅惑の仏像十二神将-奈良新薬師寺」
 白川静「初期万葉論」中公文庫
 五来重「高野聖 増補」角川選書
 高村薫「レディ・ジョーカー 上・下」毎日新聞社
図書館からの借本
 菅谷規矩雄「死をめぐるトリロジイ」思潮社
 菅谷規矩雄「詩的リズム 音数律に関するノート」大和書房-再び


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