里の部屋

日々思ったことを綴っていこうと思います。

折々のことば

2016年05月19日 | 日々のつぶやき
今日の新聞・折々のことばより


愛する者たちを語るということは、彼らが生きたのは(そして・・・苦しんだのは)《無駄》ではなかったことを証言することです。

                                      ロラン・バルト


 批評家は後年、小説を書く準備を始めた。

愛する人々を語るために。

己の愛を彼らに告げるためではない。

いずれ歴史の中に埋没させられる彼らの生を、書き記すことでこの世界に止(とど)めるために。

何かについて「語る」のではなく「作る」立場を引き受けること、それが小説を書くことだと考えた。

                           「テクストの出口」(沢崎浩平訳)から。