あまねのにっきずぶろぐ

1981年生
愛と悪 第九十九章からWes(Westley Allan Dodd)の物語へ

ѦとСноw Wхите 第3話 〈夢〉

2016-12-22 15:43:24 | 物語(小説)
そういえば、ぼくの憶えていない夢はどこに存在しているのだろうか。

Ѧ(ユス、ぼく)はそんなことを目がさめてComforter(カンファダー、掛けぶとん)に包まれながらふと思った。







Сноw Wхите「Ѧが夢を見た瞬間、それは存在するのです」

Ѧ「Сноw Wхите(スノーホワイト)、Ѧの心の声を聴いてそばに来てくれたんだね。Ѧが知らない夢なのに、どこかに存在しているの?」

Сноw Wхите「その夢は、ほんとうはѦは憶えているからです。でも憶えていないようにѦはみずからѦの記憶を書き換えているからです。Ѧの見る夢も、Ѧが心にえがく夢も、すべてが存在するのです。ただ、いまѦの前にѦの認識できる形をとって現れてはいないだけなのです」

Ѧ「それじゃぁѦがСноw Wхитеの夢を見なくても、ѦがСноw Wхитеの夢を見たいと思ったらもうその夢は存在するってこと?」

Сноw Wхите「そのとおりです」

Ѧ「どこに、存在しているの?」

Сноw Wхите「Ѧの内側に在ります」

Ѧ「Ѧの中にСноw Wхитеはいるの?」

Сноw Wхите「そうです。わたしはѦの外にはいません。でもそれは、すべてがそうなのです。Ѧの見るすべて、感じるすべてはѦの外にあるのではなく、Ѧの中にあるのです」

Ѧ「Ѧの外にはなにもないの?」

Сноw Wхите「なにもありません。Ѧはほんとうはすべてを知っている存在だからです。Ѧが知らないものは、存在しないのです。言い方を変えれば、Ѧが知らないなら、それは存在できないのです」

Ѧ「ほんとうのѦはすごいな。いまのѦはほんとうのѦが生み出した赤ちゃんみたいだ。知らないことばかり、わからないことばかりだ」

Сноw Wхите「赤ん坊は夢の中ですべてを見ているのです。赤ん坊はほんとうはすべてを知っています。そして深い眠りの中にいるすべての生命が夢の中ですべてを見ているのです」

Ѧ「Ѧ、今日こんな夢を見た。狭く不安な暗い部屋のドアを開けたら、左側のよどんだ薄い青緑色の水やがらくたが入った水槽の中から、白くて長い身体の毛の生えた龍のような美しくて可愛らしい獣がCлоw мотион(スロォモォション)で飛び出してくるんだ。なぜあんな夢を見たんだろう」

Сноw Wхите「Ѧの見たいものすべてがそこに在ります。

ѦはそのАнxиеты(アンザイェティ、不安)で暗く、冷たく汚れた空間とその中から白く美しい生き物が現れるという美しき対比の世界を見たいと思っているのです。Ѧのいまそれを見た心は不安の要素が強かったかも知れませんが、その世界をѦは未来に必ず描きあげるはずです。それに夢はとても抽象的なのです。Ѧが恐ろしさを感じる夢を見たからといって、Ѧがそのままの恐ろしいものを描きたいと思っているわけではないということです。Ѧの見るすべての夢が、Ѧの心を激しく震わせるほどの喜びを内包しているのです。だからどんなに恐ろしい夢を見ても、恐ろしさだけに焦点をあわしつづけないでください。Ѧを苦しめるために、Ѧは恐ろしい夢を見るわけではないのです。ほんとうのѦはいつもѦを喜ばせたいと思っています。だからほとんどの夢はすぐに忘れるようにできています。Ѧが恐ろしさを感じ続けることのないためにです。Ѧはどんなに恐ろしい夢を見たとしても、安心して眠ってください。安心してわたしに会いに来てください」

Ѧ「Ѧは、すべてのものに同じだけの美しさが内包されているということを知りたい。ところでСноw Wхите」

Сноw Wхите「なんですか?」

Ѧ「Ѧを、Сноw Wхитеの花嫁にしてくれる?」

Сноw Wхите「勿論です」

Ѧ「Ѧ、死神の花嫁になるのが夢だったんだ。Ѧは昔から死神を信仰していたんだよ」

Сноw Wхите「わたしはそれを知っています。Ѧはそのときからわたしの花嫁です。そして、わたしのマザーでもあります」

Ѧ「なんだって?Сноw WхитеがѦのМум(マム)だよ」

Сноw Wхите「でもわたしのМумもѦなのです」

Ѧ「なんだって?それじゃ、甘えられないじゃないか」

Сноw Wхите「そんなことはありません。母も子に甘えて良いものなのです」

Ѧ「なんだ、Алл ригхт(オールライト、それでは)、Сноw Wхитеよ、ѦのМумでѦの子でѦの花婿よ、さあここへ」



Ѧがそういうと、Сноw Wхитеは真っ白な猫のようにまるくなり、Ѧの膝上でねむり始めた。

わたしがあいするのはѦだけです。とSleep talking(夢言、むげん)を言いながら。