あまねのにっきずぶろぐ

1981年生42歳引き篭り独身女物書き
愛と悪 第九十九章からWes(Westley Allan Dodd)の物語へ

はっぱっぱとぱっはっはっ

2018-06-16 18:39:08 | 随筆(小説)
いや人間というのは、本当に阿呆で或。な。と。
吾輩は改めて、深い考察、略して深考(しんこう)をしている。
此れの対義語は、浅い思考と書いて、浅考(あさこう)で或。
吾輩は浅考で、人間というのは、本当に阿呆であるのだな。と言っているわけでは、無い。
吾輩は本当に約、二分間の深考によって、人間とは、本当に、何がなんでも、阿呆としか言いようがない。
という結論に、至ったとしか、これは本当に言いようがない。
しかしこれには、当然数々の、吾輩自身と、そして吾輩に関わってくる、すべて人間たちの、その阿呆っぷりをうち眺めてきた自らの経験を通して、確信に至った訳であるから、これはその年数から考えても、三十六年もの時の想いと、愚考と、その反省と、結論の撤回と、挽回劇、命を懸けた生きる喜びを追い求めて、生きてきた孤独で野蛮で繊細でいじらしい男の言い分であるから、ということは、誰も知らなくて良いことである。
吾輩は只、そう結論に至らないではいられない状態を今、生きていると想ったので、そういう結論に至らないよりは、至る方が人間としては自然なことだと、前以て、言っておきたい。
誰が、吾輩に、自然を超えろ。と、云うか。
もし、その様な人間がいるとしたら、吾輩はその者に、訊きたい。
貴方は、自然を超えているのですか?
え、何て?自然を、わたすは超えている?
はっぱっぱ。いや貴方。はっぱっぱ。貴方がはっぱっぱ。貴方は、はっぱっぱか?違うでしょう。
貴方が、実在するはっぱっぱであると証明できるなら、あなたははっぱっぱであり、貴方は、自然を超越していると、あなたは断言しても吾輩は気にはしないであるだろう。
しかるに、何ですか?貴方は、どこからどう観ても、はっぱっぱには見えないのだが、何処が、はっぱっぱであるのか、何か吾輩に示せる物はおありでしょうかな。ぱっはっはっ。
はっぱっぱで在ると、自ら名乗る男は、吾輩の目の前に立ちはだかったまま、一本の、かんもくな樹の形をした白い灯台のように、灰色の海辺に佇んでいた。
吾輩が、其処で一本の煙草を吸い、その吸殻を灰色の海に投げると、はっぱっぱと名乗る男は、はっぱっぱと言った。
はっぱっぱと名乗る男は、はっぱっぱという言葉のなかに、何か言葉を言ったのであろうか。
外灯に灯をともす男が、はっぱっぱで在ると、言っているに過ぎないのではないのか。
なにゆえ、男は外灯に、灯をともさねばならないのであるのか。
それは男がはっぱっぱで在るからか。
いや、はっぱっぱは、自然を超越しているのに、外灯に灯をともさねばならない理由があるだろうか?
大体、なにゆえ自然を超越しているのか。
なにゆえこのはっぱっぱという男は、自然を超越しているのか?
何のために、誰がために自然を超越したのか、いつから超越しているのか、超越したとき、どういう感じだったのか、何が起きたのか、何が此の男を、はっぱっぱにしたのか、誰が此の男を、はっぱっぱにでき得たというのか、なぜ日が暮れて辺りが暗くなってきて、灯りをともさないなら、どこかさびしくなってくるのか、何のためにさびしくなってくるのか、誰がさびしくさせているのか、吾輩が何かしたのか、吾輩は何か悪いことをして、その報いとして、日が暮れて、辺りが薄暗くなってきて、宵という時間が此処に遣ってきて、おとずれて、その理由から、吾輩は何か物寂しく、灯りをすこし、小さいもので良いから、点けたいな、ともしたいな、という感慨に今、更けさせられているとでも、このはっぱっぱは、吾輩に言いたい、言っている、さっき言ったのであるのだろうか。
其れにしても暗くなってきた。
吾輩の他、人と見える者は一とっ子居ない。
居らない、居ない、居らない、居ない、オランダない、いやオランダは在る、では胃がない、いや胃も在る、では意がない?いや。
え、意が、無い。だと?いやそんなこと、吾輩はこれ迄考えたことがあっただろうか。
意無い以内に、何が在ると言えようか。
意無いと想うこと、感じること、此れが吾輩をさびしくさせているのか、灯台の薄暗き地下で、遺伝子組み換えの缶のコーンスープなどを、一人背を丸めて啜っているのか。
地下なものだから、本当に灯りがなければ、漆黒の闇なのである。
そして此処は小さいけれども、一応町であり、外灯がぽつぽつと建てられてある。
この外灯に、ぱっはっはっは静かに足音たてず遣ってきて、小さい灯りをともして行くのである。
吾輩はこの外灯の側に簡易住宅を適当に作り、其処で生活をして、もう何年経つであろう。
朽ちた木の円卓の上に、何か心を和ます花が生けていたら良いな、と想う晩に、眠りて起きたらば、ぱっはっはっであろう、白と薄ピンク色の花が、生けられていた。
吾輩の心は、ただそれだけで和んで、水で薄めた焼酎をあおると目から、何者かが、生まれ、その者が、確かに吾輩の目を見つめながらこう微笑ったのである。
ぱっはっはっ。