もう何も言うな。
あのままね、ずっとずっと。
何も起こらないより。
今のほうが、無限に。
美しい。
世界は血塗れていて。
縹色の空が、今日も眩しい。
世界は拷問の果に、記憶の操作をしている。
もう何も言うな。
小鳥が今日も、小魚と会話している。
黄金の糊を、自害した人々に塗り手繰りながら。
今日も子鳥たちが、子魚たちと話をしている。
もう何も、言うてくるな。
俺に。
誰に向かって、お前ゆうてるねん。
脳だけが観ている夢。
そのなかで、肉体が浮遊している。
もう金輪際、ホームヘルパーは利用しない。
俺は接ぎ木に、約束す。
時間と時間の、その間の空白にある。
その接ぎ木。俺の願いが、吊るされ。
蠢いていた。水色の部屋の中で。
家族の死体を編み込んで、巨大な時間を作る。
それは動かない。
それは動き出す。
籾殻を取った素粒子の感覚のなかに。
それは自由を伴い。
それは綱で繋がれ。
いま或る場所を、解き放つ。