リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

カジノ面積上限の「3%」は実効性があるのか?

2018-06-21 | 政治
自民党・公明党が導入しようとしている統合型リゾート(IR)のカジノだが,歯止めの一環としてカジノの面積をIR施設の3%とする方針が報道されている.これはどの程度意味のある規制なのだろうか.そう思ってちょっと検索してみたのだが,どうにもよくわからない.

まず,統合型リゾート(IR)設置法案の全文だが,これは正式名称は「特定複合観光施設区域整備法案」(官邸HP)というものらしい.面積についてはその第41条に「……当該カジノ施設のカジノ行為区画のうち専らカジノ行為の用に供されるものとしてカジノ管理委員会規則で定める部分の床面積の合計が、カジノ事業の健全な運営を図る見地から適当であると認められるものとして政令で定める面積を超えないこと。」とある.
別項「カジノ「小さく生んで大きく育てる」を許すな」で肝心な点が法案に書かれておらず,法律成立後に政府が国会を通さずいかようにも変更できる点が多いことを指摘したが,「3%」というのも政令次第ということらしい.(法案概要にも「カジノ行為区画のうち面積制限の対象部分及び上限値を政令等で規定」とある.)

そもそも「3%」の算出基準が報道を見てもよくわからない.たとえば日経新聞では「カジノフロアは施設全体の3%以内」とあるが,何の3%なのか,分母がはっきりしない.規制対象となる分子は法案でも,「カジノ施設」全体ではなく,その「カジノ行為区画」のうち,さらに「専らカジノ行為の用に供される」部分のみを算入することが明記されている.その一方,分母は報道を見ていると「IR施設全体の敷地面積」とか「IR施設全体の延べ床面積」などいろいろな解釈が可能だ.北海道などでもカジノ誘致の名乗りを上げている自治体があるが,「広大な庭園をもつIR施設」だったらかなり大きな面積まで可能になる,ということなのだろうか.政府は「世界最高水準の規制」というが,規制が十分かどうかを云々する前に,規制案の内容がはっきりしない.(2019-3-22追記:先日の新聞に「床面積の3%」と書いてあった。)

そもそも政府原案ではカジノエリアの面積は(1)1万5000平方メートル(2)IR施設全体の3%のいずれか小さい数値を上限とするというものだったが,推進派からそれでは厳しすぎるとの声が上がって絶対面積の規制は撤廃された.推進派はどれだけ巨大なカジノを作りたがっているのだろう.

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関連リンク:
日本弁護士連合会「カジノ解禁に反対するQ&A」(pdf)

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