待機児童が4年ぶりに減少して2万人を割ったという(朝日新聞2018-9-8).自公政権は幼児教育無償化を実施して保育需要が増えたとしても待機児童は解消できると言い張っているが,その見通しの根拠が示されいないどころか,民間が政府資産と大幅に違う数字を出しても議論しようともしない.
さらに問題なのは,「待機児童」に含まれていない隠れ待機児童が7万人を超えるという点だ.隠れ待機児童を無視して表面的な「待機児童」の数字だけを見ていては実態を見誤ることになる.数年前,横浜市が「待機児童2人」との発表したとき,実は3千人を超えていた待機児童の保護者の心情はいかばかりだったか.
ところで「隠れ待機児童」というものはどういう場合が数えられるか,把握しておかないと議論がかみあわなくなる.上記記事では「隠れ待機児童」は「「きょうだいと同じ園を希望」「場所が遠い」などの理由で特定の保育所を希望したと判断されたり、認可外の「企業主導型保育所」に入ったりしたため、厚労省が待機児童数から除いている」と説明しているが,この前半を読むと「保護者のわがままだ」と思う人も出てくるのではないか.
そこで,「隠れ待機児童」というのはどういうケースなのかを改めて振り返っておきたい.
厚労省が待機児童に数えなくてもよいとしているのは次の4つの場合があるという.
(1)保護者が育休を延長した
(2)保護者が求職活動を停止した
(3)特定の施設を希望した
(4)自治体が補助する認可外施設に入った
記事のいう「きょうだいと同じ園を希望」「場所が遠い」というのは「(3)特定の施設を希望した」に該当すると判断されるようだ.
「きょうだいと同じ園を希望」というのは,かなえてあげることはできないものだろうか.つまり「きょうだい優先枠」を設けることになるが,それだと一人っ子の家庭にとって不公平ということなのだろうか.だが2か所の保育園に送り迎えさせるというのは酷な要求ではないか.ただでさえ熾烈な「保活」を子供の数だけ経験しろというのも理不尽な話だ.「きょうだい優先枠」は「不公平」ではあるのかもしれないが,間接的に二人以上を政策的に誘導するということで許されるのではないだろうか.
「場所が遠い」は難しい.以前新聞で「これはひどい」というような例を読んだが,どのくらいが相場なのだろう.ただ,駅前で複数の保育園の子供をまとめて預かって送り届けてくれる「送迎ステーション」によってミスマッチを埋める試みもある(過去ブログ).保育園を増設しなくても保育需要を満たせる試みとして,もっと注目されていい.
「育休延長」「求職活動停止」は,預け先がないからやむなく,という人も多いことを考えると,やはり待機児童に参入しないは釈然としない.失業手当などはある程度厳格に判断する必要があるが,「保育園に預けたい」ということであれば,ある程度ゆるい基準で認定してもいいのではないだろうか.保育園不足の現状を考えると,本気で復職・就職しない人は遠慮して,ということなのだろうが,本来は共働きかどうかにかからわず預けたい人が保育園を利用できることが理想だ.やはり保育需要として考慮しておくべきだろう.
そして「認可外園」.さまざまな事情であえて認可外を選ぶということもありうるが,やはり保育が手厚く,料金も安い認可園にはいれないのでやむなく認可外園を利用しているというケースが多いように思う.「認可外園にはいれたならいいじゃないか」というのはあまりに冷たい.
こうして考えてみると,やはり「隠れ待機児童」を考慮せずに「待機児童」の数が減ったことだけを見て得意顔をする首相はどうかと思う.
「待機児童」カテゴリーの記事一覧
さらに問題なのは,「待機児童」に含まれていない隠れ待機児童が7万人を超えるという点だ.隠れ待機児童を無視して表面的な「待機児童」の数字だけを見ていては実態を見誤ることになる.数年前,横浜市が「待機児童2人」との発表したとき,実は3千人を超えていた待機児童の保護者の心情はいかばかりだったか.
ところで「隠れ待機児童」というものはどういう場合が数えられるか,把握しておかないと議論がかみあわなくなる.上記記事では「隠れ待機児童」は「「きょうだいと同じ園を希望」「場所が遠い」などの理由で特定の保育所を希望したと判断されたり、認可外の「企業主導型保育所」に入ったりしたため、厚労省が待機児童数から除いている」と説明しているが,この前半を読むと「保護者のわがままだ」と思う人も出てくるのではないか.
そこで,「隠れ待機児童」というのはどういうケースなのかを改めて振り返っておきたい.
厚労省が待機児童に数えなくてもよいとしているのは次の4つの場合があるという.
(1)保護者が育休を延長した
(2)保護者が求職活動を停止した
(3)特定の施設を希望した
(4)自治体が補助する認可外施設に入った
記事のいう「きょうだいと同じ園を希望」「場所が遠い」というのは「(3)特定の施設を希望した」に該当すると判断されるようだ.
「きょうだいと同じ園を希望」というのは,かなえてあげることはできないものだろうか.つまり「きょうだい優先枠」を設けることになるが,それだと一人っ子の家庭にとって不公平ということなのだろうか.だが2か所の保育園に送り迎えさせるというのは酷な要求ではないか.ただでさえ熾烈な「保活」を子供の数だけ経験しろというのも理不尽な話だ.「きょうだい優先枠」は「不公平」ではあるのかもしれないが,間接的に二人以上を政策的に誘導するということで許されるのではないだろうか.
「場所が遠い」は難しい.以前新聞で「これはひどい」というような例を読んだが,どのくらいが相場なのだろう.ただ,駅前で複数の保育園の子供をまとめて預かって送り届けてくれる「送迎ステーション」によってミスマッチを埋める試みもある(過去ブログ).保育園を増設しなくても保育需要を満たせる試みとして,もっと注目されていい.
「育休延長」「求職活動停止」は,預け先がないからやむなく,という人も多いことを考えると,やはり待機児童に参入しないは釈然としない.失業手当などはある程度厳格に判断する必要があるが,「保育園に預けたい」ということであれば,ある程度ゆるい基準で認定してもいいのではないだろうか.保育園不足の現状を考えると,本気で復職・就職しない人は遠慮して,ということなのだろうが,本来は共働きかどうかにかからわず預けたい人が保育園を利用できることが理想だ.やはり保育需要として考慮しておくべきだろう.
そして「認可外園」.さまざまな事情であえて認可外を選ぶということもありうるが,やはり保育が手厚く,料金も安い認可園にはいれないのでやむなく認可外園を利用しているというケースが多いように思う.「認可外園にはいれたならいいじゃないか」というのはあまりに冷たい.
こうして考えてみると,やはり「隠れ待機児童」を考慮せずに「待機児童」の数が減ったことだけを見て得意顔をする首相はどうかと思う.
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