リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

待機児童「過去最少」でも1.7万人:「無償化先行しても解消可能」の政府見通しは破綻したのでは?

2019-09-07 | 待機児童
厚生労働省が発表した待機児童数(2019年4月1日時点)は1万6772人で「過去最少」だそうだ。幼保無償化を先行したら預けたい人が増えて待機児童問題が悪化するとの批判に対し、自公政権は保育ニーズの高まりにも対応できる対策をしており、2020年度末までに待機児童ゼロの目標達成は可能として取り合わなかった(朝日新聞2019-3-29)。
集計方法が途中で変わったとはいえ「過去最少」はすごいことなのだろうか。新聞記事(朝日新聞2019-9-7)が「20年度末の「ゼロ」達成は見通せない」というのは意地悪な気もしたのだが。
だがグラフを見ると2013年には2.2万人程度。6年後の2019年にやっと1.7万人。無償化で需要が急増することを考えると、これで2020年度末に待機児童ゼロが実現できるという自公政権の見通しは明らかに破綻しているのではないだろうか。受け皿はたしかに増えているのだが、ハードができても保育士不足で定員いっぱいまで受け入れていない保育園があるし(過去ブログ)、受け皿増の決め手とされた企業主導型保育所で助成金だけ受け取って開園しない事例が相次いだ(朝日新聞2019-8-14同社説2019-8-16)のはずさんな制度設計の証左ではないか。
たとえば待機児童数最多となった世田谷区で待機児童数は470人だという。一つの区内でこれだけの子供が預け先が見つからないというのはやはり異常事態ではないか。しかもこれは、認可外施設にもはいれなかった児童の数だ。一部には独自の保育を目指してあえて認可外にして人気の保育園もあるとはいうが、認可外園の多くは質の面で基準を満たさない園であり、保護者もできるものなら認可園に預けたいはずだ。そこまで考えると、「待機児童1.7万人」が過去最少だといって喜んではいられない。
今回の記事でも「保育園を考える親の会」の代表が「子育てに何千億円もの予算が一気に投じられることは本来歓迎すべきことだが、お金の使い道の優先順位が違う」と指摘しており、まったくその通りだと思う。
政府のスローガンのためだけに政策が決められ、ずさんな制度設計で一向に実効性がない(関連する内閣府令には多数の誤りがあったという(朝日新聞2019-9-7))。そしてそもそも現場の必要性が考慮されないため方向性が間違っている。こんなことがいつまで続くのだろう。(しかも、恥ずかしながら今回の記事で初めて知ったのだが、無償化が始まっても低所得者を除けば対象は3歳からだという。もちろん「従来の補助を受けていない高所得者ほど恩恵が大きい」という無償化批判に応えたものなのだろうが、自公政権が「無償化」を宣伝するときは「完全無償化」と言っていたのではなかったか?)

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