森友学園への不透明な国有地売却問題に関し,籠池前理事長が設立趣意書に「安倍晋三記念小学校」との校名を記したと証言したことを報じた(2017年5月)朝日新聞の報道に対し,安倍首相は国会の場でたびたび批判しているという.そもそもの発端は財務省が開示した設立趣意書の大部分が黒塗りだったことで,そのためタイトル部分に安倍晋三記念小学院(小学校)と記載されていたのではないかとの疑問が国会質疑で取り上げられた.それを受けての朝日報道だったのだが,半年もたった2017年11月,財務省が設立趣意書を開示したところ,校名は「開成小学校」だったという(2017-11-25).朝日新聞による経緯説明(2018年2月6日)を見る限り,「籠池泰典氏が……明らかにした」という文面は間違いではないようだが,首相は自民議員のフェイスブックに「哀れですね.朝日らしい惨めな言い訳.予想通りでした」と投稿した(2月14日).朝日新聞を目の敵にする首相の姿勢にはさすがに野党から批判の声が上がっているという.
最近,産経新聞も沖縄米軍に関する事故報道で誤報をして,あまつさえそれを報じない沖縄2紙を「メディア,報道機関を名乗る資格はない.日本人として恥だ」とまで非難した(Hunter,Blogos).おそらく安倍首相はこれについては批判がましいことは言っていないのだろう.
朝日新聞を批判する安倍首相に関して「都合のいいものは利用するけれども,都合の悪いものはたたくやり方」(社民党),「不公平」(希望の党)という指摘はもっともだ.そしてなにより,「首相が特定の新聞社の名前を挙げて批判すること自体が,あまりにもはしたない」(共産党)との指摘がうなずける.疑惑をしつこく追及してくる新聞をうるさく思うのはわかるが,権力者たるもの,その地位をメディアをたたくことに使うべきではない.
追記:ところで先日,籠池氏の発言の録音が国会で取り上げられていたように思う.政府としては,この校名問題を,籠池氏の証言の信憑性に疑問を投げかける証拠としたいところだろう.追及する側も,籠池氏の報道をうのみにして報じるだけでは芸がないし,今回のように足をすくわれることになりかねない.籠池氏が複数回のインタビューで「安倍晋三記念小学校」と証言したのは何だったのだろう.昔テレビで見た印象では,籠池氏は(考え方は「リベラル」の私とは相いれないが)正直で堂々としているという印象だった.本人に問いただすべきだ.(たとえば,設立趣意書が二通りあるというようなことはないのだろうか?)
それにしても,籠池夫妻はまだ拘留されているのではなかったか(ちょっと古いがAERAdot.2017-12-6).あまりに長い.どうも証言させると首相に都合の悪い新事実が発覚しそうという政治判断がはたらいているように思えてならない.
追記2:首相だって「裁量労働制のほうが労働時間が短い」旨の答弁をして撤回しておわびした(2月15日朝刊).ただ論敵が間違ったらそれっとばかりに攻撃するのは不毛だと思う.誤りが生じるに至った日々の行ないの中に,反省すべき点がないかどうかを考えるべきだ.
首相の場合,与党多数の状態にあぐらをかいて,国民にきちんと説明しようという心構えが足りないのではないか.だから「ずさん答弁」になってしまう.
産経新聞の場合,(私は読んでいないので公平な判断はできないが)上記リンクにもある「ネット上で目立つ過激な言葉を使って,国策に反対する人やメディアを批判する層の支持を広げて来た」という指摘が当たっているとしたら,それこそ社会の公器としてどうかと思う.
朝日新聞もなんとか安倍一強にブレーキをかけようとするあまり,勇み足になることがないか.(もっとも,朝日新聞を含む言論人が萎縮せずに頑張ってくれていることで日本はかろうじて独裁政治にならずにすんでいると思うと,あまり「勇み足」を責める気にはなれない.)
追記3:財務省が森友学園への国有地売却に関連する文書を書き換えて,国会での政府答弁に反する内容が削除された疑惑が報道されている(2018-3-4のブログ).そんなことがあるとしたら,この校名だって,本当は「安倍晋三記念小学校」と書かれていたのが書き換えられたという可能性だってあることになる.こうなると,あらゆる公文書が記録としては何の価値もないことになってしまう.ゆゆしき問題だ.
最近,産経新聞も沖縄米軍に関する事故報道で誤報をして,あまつさえそれを報じない沖縄2紙を「メディア,報道機関を名乗る資格はない.日本人として恥だ」とまで非難した(Hunter,Blogos).おそらく安倍首相はこれについては批判がましいことは言っていないのだろう.
朝日新聞を批判する安倍首相に関して「都合のいいものは利用するけれども,都合の悪いものはたたくやり方」(社民党),「不公平」(希望の党)という指摘はもっともだ.そしてなにより,「首相が特定の新聞社の名前を挙げて批判すること自体が,あまりにもはしたない」(共産党)との指摘がうなずける.疑惑をしつこく追及してくる新聞をうるさく思うのはわかるが,権力者たるもの,その地位をメディアをたたくことに使うべきではない.
追記:ところで先日,籠池氏の発言の録音が国会で取り上げられていたように思う.政府としては,この校名問題を,籠池氏の証言の信憑性に疑問を投げかける証拠としたいところだろう.追及する側も,籠池氏の報道をうのみにして報じるだけでは芸がないし,今回のように足をすくわれることになりかねない.籠池氏が複数回のインタビューで「安倍晋三記念小学校」と証言したのは何だったのだろう.昔テレビで見た印象では,籠池氏は(考え方は「リベラル」の私とは相いれないが)正直で堂々としているという印象だった.本人に問いただすべきだ.(たとえば,設立趣意書が二通りあるというようなことはないのだろうか?)
それにしても,籠池夫妻はまだ拘留されているのではなかったか(ちょっと古いがAERAdot.2017-12-6).あまりに長い.どうも証言させると首相に都合の悪い新事実が発覚しそうという政治判断がはたらいているように思えてならない.
追記2:首相だって「裁量労働制のほうが労働時間が短い」旨の答弁をして撤回しておわびした(2月15日朝刊).ただ論敵が間違ったらそれっとばかりに攻撃するのは不毛だと思う.誤りが生じるに至った日々の行ないの中に,反省すべき点がないかどうかを考えるべきだ.
首相の場合,与党多数の状態にあぐらをかいて,国民にきちんと説明しようという心構えが足りないのではないか.だから「ずさん答弁」になってしまう.
産経新聞の場合,(私は読んでいないので公平な判断はできないが)上記リンクにもある「ネット上で目立つ過激な言葉を使って,国策に反対する人やメディアを批判する層の支持を広げて来た」という指摘が当たっているとしたら,それこそ社会の公器としてどうかと思う.
朝日新聞もなんとか安倍一強にブレーキをかけようとするあまり,勇み足になることがないか.(もっとも,朝日新聞を含む言論人が萎縮せずに頑張ってくれていることで日本はかろうじて独裁政治にならずにすんでいると思うと,あまり「勇み足」を責める気にはなれない.)
追記3:財務省が森友学園への国有地売却に関連する文書を書き換えて,国会での政府答弁に反する内容が削除された疑惑が報道されている(2018-3-4のブログ).そんなことがあるとしたら,この校名だって,本当は「安倍晋三記念小学校」と書かれていたのが書き換えられたという可能性だってあることになる.こうなると,あらゆる公文書が記録としては何の価値もないことになってしまう.ゆゆしき問題だ.