ムカデとことこ

 ひとが幸福になること・意識の成りたち・物理と心理を繋ぐ道
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ベンジャミン・リベットさんの実験 ②

2011-12-14 15:06:21 | ひとの幸福
何かをしようと思う前から脳は動き出す、

ということが実験で明らかになったというもの。

無意識での意識が意志決定の前に動いている、というようなこと。

この実験とは・・・

何かをしたという筋肉の動きの550ミリ秒位前に、

脳に「運動準備電位」と名づけられたゆっくりとした陰性波が現れる。

実験では、何かの行動をしようという決断が意識されたのは、

脳にこの陰性波が表れてから400ミリ秒くらい後だったということ。

そして、その150ミリ秒くらい後に行動が起こった。

何かをしたくなった瞬間 と しようと意志した瞬間の間には、

400~300ミリ秒くらいの時間がある。

実験から、以上のようなことが明らかになった。


筋肉の動きの550ミリ秒くらい前に脳に陰性波が現れた、という現象は

(これは後の他の研究者の実験で2秒くらいというのもあったらしい)

相手の言動を見たり、聞いたりして、

それはこういうことだと無意識のうちに判断し、

その自分の判断についての自分の思いや考え(それは違うとか)が浮かび上がって、

何かをしたくなるとか、言いたくなる、という一連の意識の動きかなと、

いま、私は思っている。


こういう実験結果から考えると、~したくなる思いが発生しても、

それをするかしないかを決める時間は十分あるのではないか、

というようなことをリベットさんは言っているようだ。

そこで「しないという自由意志」が発生するのではないかと。


①で書いた私の例では、言いたくなったことを(言う)という選択肢を選んだわけだ。

いや、選んだ、と言えるからには、

選択肢が複数あるとわかっている場合だ。

その時の私はそれを選んだという自覚はなかった。

「あー、言うかな、言わないかな、あーっ、言った」との内なる声を聴いた時に、

言ったという行為をし、その後での時点で、

言わない という選択肢もあるのだということがわかった。


今は、その頃に比べて、何か思いが浮かんで来たときに、

自分のそういう意識の流れを観察している感覚はある。

その頃より、自分の意識のプロセスが観えるようになって来た。


「しないという自由意志」「真の自由意志」については、

世界的にいろいろな論があるみたいだ。

リベットさんは2007年に亡くなったそう。

晩年まで旺盛な研究欲があったというのを読んだ。

生きていたら、この話を聴いてもらいたかったなぁ と思ったよ。


相手の状態やその場の状況を観て、

その時自分の思いが生まれても、

「これは言わずにおこう」というようなことは、

結構たくさんの人にあるんじゃないかな。

でもその瞬間、そう選択している自分に、

自覚がある場合も、無い場合もあると思う。

その瞬間そういう自覚を持っていれば、

後になって、そのことで何かトラブルがあった場合に、

自分の意志でそうした、ということがはっきりとしているので、

納得できるということになると思う。


浮かんだ自分の思いをきちんと観察してから、

自分の意志で行為を決めてるので。