私がフライを始めた頃、フライの対象魚と言えばトラウトやサーモンと相場が決まっていた。当時は、まさにロッド素材の変革期で、各メーカーは竹やグラスファイバーからカーボングラファイトという新素材への可能性を模索している最中だった。
その後、フライロッドはあっという間にカーボングラファイト一色となり、そのお陰で、これまで不可能だった事も可能になった。その中のひとつがソルトウォーターフライフィッシングである。
当時の日本でも、テレビや雑誌でターポンやボーンフィッシュの釣りが紹介されていたが、それはフロリダやバハマ、コスタリカやクリスマス島といった非常に現実離れした世界での話で、所詮は高嶺の花だった。
さらにそこで使われていた道具も現実離れしていた。
当時は、ソルト用フライリールと言えばフィンノールだった。金色の、のっぺりとした肉厚のボディに穴の無いスプールという外観は、圧倒的な迫力があり、その一方でどこか気品を感じさせるものがあったが、何しろ価格が一桁違っていた。もちろん私にとって憧れのリールだった。
その後、ソルトをやる機会が無かったので、リールを買う事も無かったが、最近シーバスのフライが注目されるようになり、ようやく道具を一式揃える事になった。もちろんリールはフィンノール・・・と行きたいところであるが、最近はソルトの需要も増えたためか選択肢も多くなっている。私はコロラドの山奥にある1973年創業のロスリール社からキャニオンBG-4というモデルを選択した。
もちろん選択のポイントは「金色」だ。
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