勝手にお喋りーSanctuaryー

マニアックな趣味のお喋りを勝手につらつらと語っていますー聖域と言うより、隠れ家ー

楽しんだ最終回2つ

2006-09-21 | TVや舞台やスポーツのお喋り
日本のドラマは1クール(10~12回)で終わる。
だからシーズン10以上のドラマだってある国の事情が、時々羨ましい。
また半年経ったらあのドラマが見られるという楽しみもあったらいいんだが、実際にはクオリティを保てる保障がないので無理だろう。
10数人の脚本家が知恵を出し合って1つのドラマを作り上げる国とは状況が違いすぎる。

ひとりの脚本家が懸命にエピソードをひねり出す限界が、多分1クールなのだろう。
だから私が楽しんできた「マイボス」だって「結婚できない」だって、もう1クール続いたら、多分勘弁してくれと言いたい出来になってしまうのだろう。
「下北」を含めて、もう少し観ていたいドラマだったが。
で、楽しんだ御礼の意味も含めて、ちょっと最終回の感想などを。

『マイ★ボス・マイ★ヒーロー』

たくさん笑わせてもらった。
ありえない設定は、そもそもコメディでは常套。
そのありえなさにどうしたら見ている側を引き込めるかがコメディの良し悪しを分ける。

まず何より主役の榊真喜男を演じた長瀬くんに拍手を送りたい。
27歳(途中で28歳になった)の彼が、ストレートの横分けにしてブレザーの制服を着たとたん、高校生と言っても違和感がなくなるところがすごい。
これは演技力もさることながら、ジャニーズと言う特殊なアイドル事務所の中で培われてきたものが多分に影響しているような気がする。

このドラマの中で、長瀬くんは3役をこなしたと私は思っている。
893の若頭であるトルネード・真喜男、高校生のマッキー、そして・・・。
9話の教室シーンで、トルネード・真喜男とマッキーが話し合いをするシーンがある。
その二人の個性は見事に分かれている。
極道の世界しか知らない男の強面、高校生になりきっていたマッキーの純情。

そして二人の話し合いからひとつの結論が見出されたとき、
「俺は俺の道を行く」
と言った時の彼の顔は、これまでの二人とはまったく異なっていた。
まるで二人の人間がひとつに溶け合い、新しい個性を生み出した瞬間のように見えた。
トルネードの強さと傲慢さ、マッキーの優しさとひたむきさ。
この相反する個性を兼ね備えた新しい「榊真喜男」誕生のシーンだ。

この後長瀬くんは最後まで、893になろうが高校生になろうが、新しい真喜男を演じ続けている。
どちらにしても人間味の薄いトルネードやマッキーに比べて、新しい真喜男は遥かに魅力的だった。

最終回に、たとえ「熊田組は高校に不法侵入し警察を介入させるより、ビラでもまいて真喜男の正体を知らせれば勝手に退学になったはず」と言うような疑問を抱きながらも満足できたのは、やはり長瀬くんの魅力に負うところが大きい。
「宙船高校」オチも十分笑えた。

人は成長するために学ぶ。
その為に多くの犠牲を払っても、どれほど痛い思いをしても、自らが成長する喜びには代え難いのだ。


『結婚できない男』

最後まで「大人の為の上質なコメディ」と言う形を貫いてくれた。
ハリウッド的と評価されていたが、実はハリウッド製作のコメディだって駄作は多い。
むしろ上質なコメディを見つけられる方がラッキーなのだ。
『50回目のプロポーズ』とかね。

阿部ちゃんのコメディセンスはかなり早くから感じていたが、やはり完成させたのは「TRICK」だろう。
今回も上田っぽい偏屈さを随所に見せながら好演している。

が、なにより驚いたのは夏川さんだった。
正直番組が始める前は、相手役の女優さんが少し弱いかなと思っていたのだが、大変失礼しました。
長瀬くんに負けず劣らずの顔芸まで披露し、お化け屋敷のシーンでは「女優として大丈夫なの?」と心配になるほどの「変顔」に。
まさに30代後半の独身女優さんの、捨て身の役者根性を見た思いだった。

展開はまったりとして、特別な事件も起こらない。
最初は信介・夏美・沢崎の三角関係と、英治・沙織・みちるの三角関係が同時進行?と思っていたのだが、みちるは早い時点で脱落、沢崎も仕事仲間以上の関係にはならない。
普通に信介と夏美に、他の共演者が絡むだけのストーリーだ。
演者さんと脚本の上手さに助けられ、退屈はしなかったが。

なにより痛い存在なのがみちるで、25歳以上になったら言ってはいけない台詞の連続。
彼女主演の「結婚できない女」もありえるかと思うほどだった。
最後にちょっと信介に惹かれると言うおまけはついたが、誰も信介がみちるへいくとは思ってないという寂しさ。
結局彼女は大人気のパグ犬・ケンを飼っているだけの存在だったのかと思っていたら・・・。

最終回ではきっちりみちるとケンが、それぞれのキーファクターに。
みちるは夏美に自分の思いをはっきりと自覚させる役割、ケンは信介に孤独の辛さをわからせる役割をそれぞれ担っていた。

夏美から二人の関係の変化を求められた信介は、あっさり落ちる。
落ちながらも、いい家が作れないから結婚できないと言う。
ここでビックリしなかった客はいなかっただろう。
ここまで客を思う壺に陥れたら、脚本家冥利に尽きるのではないだろうか。

ラストも秀逸だ。
これまでの口癖を使いながらの誘い文句、応じる言葉、さらに問いかけ、最後の決断。
これほど見事な言葉のキャッチボールはなかなか観られない。

そして机の上に最後のオチが用意されていた。
リビングの真ん中にキッチン。
庭の芝生の上には、大勢の人が集うためのテーブルと椅子。

結婚と言うのは、何より孤独との別れだ。
その孤独がいかに心地よいものであろうと、いつかは別れなければならない。
別れないでいると、いつか孤独に飲み込まれてしまうから。

蛇足。
私はドッジボールがしたい。
理想の相手は、どんなにボールをぶつけても、あざだらけになりながら受け止めてくれる人。
・・・・・・ホントに蛇足・・・・・・。
Comments (2)
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