3月とは言え山はまだまだ寒い。最初の週末、私たちは厳冬期装備で北八ヶ岳に向かう。
今回の山行の目的は、耐寒幕営。家族3人でマイナス20度でのテント泊を成功させることだ。
これは、今までの雪山経験からさらにレベルアップするために計画したものである。
もちろん、山に行くからには山頂も目指したい。
そこで、北八ヶ岳の横岳なら初日にピークを踏んでその後テント場まで行くことが出来そうだと判断。
翌日に下山という一泊二日の縦走に挑戦することになる。
初日は小春日和で、快晴。
北八ヶ岳ロープウェイ山頂駅に着くと、まるで春の陽気である。
天気予報で暖かい日になるとは言っていたが、予想以上の暖冬日である。
心身ともに厳冬期対応で来た私たちには、拍子抜けするが仕方ない。
それでも、雪山に来たのであるから安全第一であると気持ちを引き締めて出発する。
厳冬期用のシュラフが大きくてザックに入りきらないため、1つは肩から斜めがけで登る。
トレースはしっかりあって、アイゼン無しで充分歩けるが、如何せん荷が重い…
この日は快晴・無風で八ヶ岳連峰が見渡せ、絶好の登山日和。
それを重さに耐えるパワーにしようと踏ん張る。
三ヶ岳分岐まで来たところで、どんな山容なのか見に行ってみる。
少し歩くとゴロゴロした山塊が見え、それが三ヶ岳らしい。なかなか面白そうな山だ。
トレースがしっかりあるから、登る人も多いのだろう。
その後、本来の目的地に向かって再び歩き出す。
横岳ヒュッテまで来たところで、アイゼンを装着する。
ここから先はすぐに森林限界になり、程なくすると横岳山頂である。
さぁ、どんな頂きだろう…楽しみだ。
横岳山頂に到着、14時35分。
山頂からは八ヶ岳近辺の山だけではなく、北アルプス・槍ヶ岳まですっきり見える。
スタート地点からわずか90分程でこれだけの展望を望める横岳は人気があるのがうなずける。
広い頂上で景色をゆっくり堪能していたいが、この先テント場まで行かねばならない。
そそくさと記念写真を撮り、速やかに先を進む。
この先亀甲池経由でテント場に向かうため山頂からしばらく下り始める。
段々雪深くなり、トレースが曖昧な感じになり、ついには途切れる。
それでもしばらく行くうちに、かなりの急勾配になり時々雪に足を取られて身動き出来ない。
背負子に娘を背負っているリーダーに待機してもらい、ワタシひとりで先のほうに目印がないか確認に行く。
ピッケルを持参しなかったことを悔やみつつ、不安なワタシは屁っ放り腰になりながら雪の斜面を下る。
登山道はおろか、赤テープすら1つも見当たらない。
このまま進むのは危険だとリーダーに伝えると、不本意そうであるが仕方ないと引き返す。
そうこうしている間に16時を過ぎてしまったため、ビバークすることになる。
三ヶ岳付近に適地があったことを思い出し、ビバーク出来そうな場所を探す。
迷っている時間もあまりないため、フラットなスペースを探す。
三ヶ岳取り付きの少し手前あたりから、奥の方へ入っていくといい感じのスペースがあるではないか!
風からも人からも遮られて、ビバークするには最適だ。
16時半、日が暮れる前にテントを設営してなんとか落ち着くことが出来て安心する。
氷柱でウイスキーロックを作り乾杯。
いつもの倍以上美味しく感じる。
天然氷で水割りを楽しむ、この時が至福の時である。
翌日、2日連続の快晴のもと、下山する。
途中まで、リーダーが娘をロープで確保しながら歩かせる。
5月の連休のような陽気で、あの八ヶ岳ならではの凍えるような寒さは今回は体感出来ず。
マイナス20度でのテント泊は、また次の冬山でやり遂げることにしよう。
目的こそ達成出来なかったものの、両日ともに天候に恵まれ素晴らしい眺望も望めた今回の山行。
娘は北八ヶ岳の穏やかな雪山を自分の足で歩き、自信がついたようで嬉しい。
今後も縦走登山を基本にいろんな山に登ろうと思う。
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