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TV観戦 天皇杯 第104回全日本サッカー選手権大会3回戦 柏レイソルvs筑波大学サッカー部

2024-07-12 16:47:50 | サッカー視聴記(その他)

<両軍スタメン>

  • 柏ホームだが、↓とは逆のコートで前半スタート。

前回の天皇杯の記事 -2回戦・町田vs筑波大(1-1・PK2-4)


2回戦で、J1首位のクラブ(町田)を破るというジャイアントキリングを達成した筑波大。
それでもアマチュアの立場故に以降楽な試合は1つも無く、一戦必勝の構えで臨むトーナメント戦。
放映権を持っているNHKに対し、流石に連続で筑波大の試合を選ぶのはやり過ぎだと一言放ちたくなりますが、見所満載という触れ込み(プレゼンテーションによると、その主要因はOB・かつてのチームメイト絡み)なため納得せざるを得ず。

個人的な注目は、筑波大が柏・井原正巳監督の出身校という要因。
それにも拘らず、直近のリーグ戦(22節・FC東京戦、3-2)では体調不良で不在を余儀なくされ(栗澤僚一コーチが代行)、指揮が危ぶまれたものの何とか間に合う形に。
「古巣と戦うのは複雑な気分」というコメントが紹介されていたものの、既に2017年福岡の監督として天皇杯で相対していたため、一視聴者としてはそれを聞いて逆に複雑な気分になる事に。
というのも当時見事に筑波大に敗れる(1-2)結果に終わったため、そういった綺麗事云々よりは、何としてもリベンジするという執念に駆られていても不思議では無い。
そんな事を傍らから考えつつの視聴となりました。

前回の町田と比べ、遥かにアクセスしやすいスタジアム(三協フロンテア柏スタジアム)に部員が集結し、総出でゴール裏で声援を送る体制を作った筑波大。
しかし町田が「陸の孤島」と称される地理的なアウェイの色が強かったのに対し、ここ柏はとにかくスタンドの距離が近い、物理的なアウェイの雰囲気が齎されやすい場所であり。
ゴール裏以外全方位で柏サポーターの声援と怒号が近距離から飛ぶ(とはいえカップ戦故に集客は6,527人と今一つでしたが)、そんな中で巧く戦う事が出来るか、試される試合となりました。

お互いロングボールの蹴り合いで、中々好機が生まれないという入り。
しかし先んじて最終ラインから繋ぐ体勢に入る筑波大、前半4分に左からの前進をキャンセルしてGK佐藤に戻すと、プレッシャーを受けるなか佐藤はその間を通す縦パスを徳永に渡し。
中央から運ぶ状況を生み出したうえで、中に絞った左サイドバック・安藤のドリブルで好機を作ると、中央への横パスを同じく中へ絞ってきた角が右足アウトで合わせてのシュート。
しかしブロックで跳ね返り、拾った田村がミドルシュートを放つもGK佐々木がキャッチ
最初のチャンスが防がれたと思った刹那、柏は古賀のロングパスで前掛かりの裏を突いて一気にひっくり返しに掛かり。
左サイドに山本が走り込むも、GK佐藤がエリア外へ出て倒れながら(福井と縺れながら)もクリア。
これを拾った筑波大は、ボール保持から再びGK佐藤へ戻しプレッシャーを呼び込む立ち回り。
佐藤は今度はロングフィードで前線に運び、半代が胸で落として敵陣でパスを繋いだもののフィニッシュには持ち込めず。(角のクロスがブロックされコーナーに)
最初に好機が生まれた事で堰が切られ、1分の間に慌ただしい展開が描かれました。

筑波大が地上から繋ぐのに対し、柏はパワーサッカーの色が強い、悪く言えばアバウト・良く言えば効率の良い攻撃という立ち回り。
特に普段から「マテウス・サヴィオ頼みの攻め」と揶揄されがちなその攻撃パターンで、そのサヴィオがベンチスタートなため推して知るべしな状態。
筑波大の攻めを遮断しマイボールとなっても、その後の繋ぎが雑になり結局攻撃機会を得れずという、初見だとどちらが上のカテゴリか判らなくなる絵図も多々見られ。
熊澤のロングスローを手段に加えながら、とにかく攻撃機会を増やす事でプレッシャーを与えにいきます。

そしてそれが奏功したか。
12分以降好機が生まれないという流れに陥っていた展開で、16分に最終ラインでボール保持という慣れない状況となる柏。
試合を落ち着けたい思惑もあったのでしょう、ボールを触れに木下が降りて来た(パスを受けてすぐさまレイオフで古賀に返す)のもあり、まったりとする絵図に。
しかしその刹那、野田の縦パスで速度を上げると、それを受ける山本のフリックで喰い付いた福田の裏を取る形で木下が抜け出し。
先程降りてボールタッチしていた残像もあり綺麗にフリーとなって持ち運ぶ木下、そのままペナルティアークからシュートを放つと、GK佐藤は反応できずにゴール左へと突き刺さります。
緩急付けられた柏の攻撃に筑波大デイフェンスは成す術無かったという絵図で、スコアが動く事となりました。

その後、めっきり攻撃機会が少なくなった末に前半の飲水タイムへ。(23分)
改めて反撃体制を作らんとする筑波大ですが、24分に中盤でパスミスを犯してしまい、拾った鵜木が敵陣へ切り込み。
そして中央へ流れ溜めを作り、スルーパスがエリア内へ送られましたが熊坂が走り込めず。
25分にも山本が敵陣でパスカットしショートカウンター、その推進を福井のカバーで何とか防ぐという具合に、ビルドアップの乱れが大惨事を招きかねない流れに。

柏のしっかりとした守備対応(筑波大SBに、サイドハーフが下がってケア)により、ボールポゼッションを高めても中々好機を生み出せない状況に陥る筑波大。
救いは柏の右SB・川口の安藤への喰い付きが目立つという点で、この辺りは安藤が「偽SB」的な動きを混ぜ、左の2レーンを田村・安藤が流動的に請け負う立ち回りが効いての事でしょうか。

その弱点をカバーしながら良く守るものの、「良い守備から良い攻撃へ」という意識が、サヴィオ不在により実行できない柏。
その間に得点したい筑波大、この日スタメンとなった角が右ワイドに張るのを軸に攻め込み。
41分、ワイドで持った角が中央へ横方向への縦パスを打ち込むと、手前で半代のスルーを混ぜて中に絞っていた田村が受け。
そしてコースを探した末にシュートを放つも、野田のブロックに阻まれ同点ならず。

主体的な組み立てでの好機はこれぐらいで、そのまま前半も終わり際へ。
45分にはストーミング気味に、敵陣に押し上げた末にボール奪取してからの好機。
左ワイドで縦パスを受けた内野がカットインでポケットを取ってのシュート、しかしこれも野田がブロック。
右CKで継続し、クロスの跳ね返りを拾って再度左ワイドから切り込み、ポケットを取った田村のクロスをファーで諏訪間が合わせ。
しかしジャストミート出来ず枠外となり、結局前半のうちに得点は出来ませんでした。

1-0で折り返しとなり、ハーフタイムでの交代は無く後半開始を迎え。
キックオフの柏の初手は、サイド奥へロングボール→防がれるも熊澤がロングスローと、やはりアバウトな手に訴えるものでした。

相変わらず攻撃の形が見えない柏に対し、同点に向けての流れを構築したい筑波大。
後半2分に最終ラインから組み立て、一列前に付けるパスを受けた加藤は初手の切り返しで前に出た熊坂を剥がして前進開始。
そして右へ展開し、受けた角がポケットを突くスルーパスを送り好機到来となりましたが、走り込んだ半代のダイレクトクロスはそのままシュート気味に流れてしまい。
FW故にクロス精度まで求めるのは酷な部分があるか……そんな事を考えさせられるのを余所に、このプレーで加藤が足を痛めてしまう事態に。
今後が危ぶまれたものの、切り返しの所で熊坂と接触してのものらしかったのが幸いし、無事に継続し試合終了までプレーし続けます。

後半の筑波大は、町田戦の時と同じく3バック気味に可変。
池谷が最終ラインに残り、角と安藤がウイングバックのような立ち位置を取る形によるビルドアップで、目線を変えに掛かります。
しかし敵陣でのパスミスで好機を齎す事が出来ず、逆に柏のひっくり返すようなダイレクトプレイにより押し込まれ。
12分からCKが2本続き、GK佐藤が跳び出すもキャッチできず(クリアして凌ぐ)という際どい絵図も生まれる攻防に。

ここで柏ベンチが動き、一挙3枚替えを敢行。
鵜木・戸嶋・木下→山田・サヴィオ・細谷へ交代と、主力のサヴィオ・細谷を投入して勝負を決めに掛かるという采配を取ってきた井原監督。

直後に早速サヴィオはその期待に応え、敵陣へ切り込んでのカットインで中央に託し、チャンスエリアで持った熊澤が徳永に倒されて反則。
これにより好位置での直接FKとなり、当然サヴィオが狙うという意識を植え付けながら、蹴りにいったのは熊澤。
ゴール右を襲うこのシュートをGK佐藤がセーブし、(その後のCKも凌いで)何とか一矢を繋ぎます。

そして筑波大ベンチも動き、徳永→高山へと交代。(16分)
これ以降中盤はボランチが縦関係気味となり、加藤がアンカー・高山と田村のシャドー、というような攻撃時の配置に。
20分には左ワイドで田村が(熊坂に)反則を受けた事でのFK、キッカーは投入された高山。
(角のフェイクを交えて)右足でインスイングのボールを入れると、ゴールに向かう軌道となるもGK佐々木のキャッチで防がれ。
その後柏も再度CK攻勢に入るなど、セットプレーでの立ち回りを目立たせた末に後半の飲水タイムに入ります。(24分)

勝負の第4クォーター、長らくゴールが生まれない事により、文字通り次の1点が大きく左右するという局面に。
その通りに柏はチャンスと見るや果敢にゴールを目指し、28分に左スローインを受けた細谷がディフェンスに遭うも、熊坂が奪い返し。
そしてパス&ゴーで山本から受け直してエリア内を突く熊坂、右へ流れてブロックを振りきってのシュートを放ちましたが、ゴール上へと逸れてしまい決められず。
その後30分に川口が足を攣らせたため交代となり、同ポジションで関根を投入。(筑波大も同時に田村・半代→廣井・小林へと2枚替え、角が逆の左サイドに回る)
32分には細谷がプレスバックし自陣でボール奪取、そのまま中央を推進して高山の腕でのチャージを受けつつもパスを繋ぎ。
そして山田がダイレクトでスルーパス、関根が抜け出して決定機か……と思われましたがオフサイド判定に阻まれます。

1点差のまま耐え凌ぐ筑波大。
迎えた34分敵陣での繋ぎで、ストライカー・内野へのパスは悉くカットされるも、こぼれ球を確保し続けた末に左ポケットに持っていき。
そして放たれた安藤のシュートは関根がブロックして防がれるも、左CKで継続。
キッカー高山がニアにクロスを入れ、跳んだ小林には合わせられずも、その奥の古賀のヘッドでのクリアがあろう事かゴール内へ。
古賀にとっては小林が触れられなかった事で、「急にボールが来たので」という状況になってしまったでしょうか、反応が間に合わず当てるだけになってしまい。
まさかのオウンゴールでの同点により、試合の行方は全く判らなくなりました。

その後の柏は、熊坂が足を攣らせてしまう(39分、高嶺と交代)等、消耗によるダメージを先んじて露呈してしまう流れが続き。
前半から、ボールを落ち着けるという選択が中々取れずにいたのがここに来て影響してきた感があり。
それでも流れ的には、地力に勝る柏がゴールに迫り続ける展開に。
筑波大は、44分に諏訪間がボール奪取してすかさず縦パス、受けた内野のミドルシュートでゴールを脅かし。(ゴール上へ外れる)
一矢報いるような好機で、その後は角が最終ラインに降り5バックで凌ぐ姿勢を見せるなど、町田戦同様に同点の時間を長くした末の栄光を掴みにいきます。

突入したアディショナルタイム。
再び左ワイドからのFKを得た筑波大、キッカーは先程と同様高山が務め、放たれたキックも同じくクロスがゴールへ向かうというものになりGK佐々木がキャッチ。
この辺りもう一段階制度と工夫が欲しい所であり。

一方の柏は高嶺のボール奪取から、サヴィオが左サイドを持ち運んで一気に好機到来。
そしてパスを受けた山本が左ポケットへ切り込み、奥からグラウンダーでのクロスがブロックを掠めてニアサイドへ。
合わせたのは走り込んできたサヴィオで、ヒールでの合わせで強引にゴールへねじ入れにいきましたが、GK佐藤の脇で諏訪間がブロックと寸での所で凌ぎます。
最後に際どい攻防が生まれたという格好でしたが、スコアは動かず。
1-1のまま後半終了を告げる笛が鳴り、筑波大にとっては連続となる延長戦へ突入しました。

新たに一つ追加された交代カードですが、筑波大の方が3人・2度と選択の幅が大きい状況。
既に5人交代している柏ですが、延長前半(以下延前)早々の4分にそれを使用。
片山→ジエゴに交代と、早めに駒を投入する事で試合を動かしに掛かります。

そんな個の力の圧を掛けに来る相手に対し、これまで組織力を発揮してきた筑波大も、疲労度からか思うようにボールを繋ぐ事が出来ず。
5分に右スローインを直接ポケットに投げ入れ、ディフェンスに阻まれた事でCKへ移行と、それが伺えるような好機の作り方。

それ故に柏の格好の餌食となってしまったのは、ある意味必然だったでしょうか。
9分、サヴィオが溜めを作ったのち細谷のポストプレイを挟んでチャンスエリアへ推進。
その末に中央から放たれたミドルシュートこそ福井がブロックして防ぐも、右CKで継続すると、キッカー・サヴィオのクロスが中央へ。
そして細谷のヘディングシュートが放たれると、筑波大に防ぐ術は無くゴール左へと突き刺さります。
最終盤でようやく主力の本領が発揮され、勝ち越しに成功した柏。

キックオフでの再開前に、カードを切る筑波大。
角・池谷→小川・鈴木へ交代し、小川が最終ラインの中央に入った事で本格的な3バックへシフト。(WBが右=鈴木・左=安藤)

その後は、再三左サイドを上下動してきた安藤を活用し、何とか突破口を開かんとする攻撃。
しかし既に安藤も余力はあまり残っておらず、アーリークロスが精度を欠くという絵図も目立ちます。
一方の柏は、山本が足を攣らせるも既に交代枠は無く、気力を振り絞って最前線でブロックの姿勢に入る山本の姿が痛々しく。

結局そのまま延前は終了し、ラスト15分の延長後半(以下延後)へ。
開始前に筑波大は最後のカードを使うと、福井→竹内へと交代し再度4-4-2へと戻して延後に臨みました。(竹内は右SHに入る)

柏がバックパスでGKに戻すも、佐々木がキックを空振りしてしまいCKを献上するという入りになったその延後。
この右CK、キッカー竹内のクロスは跳ね返されるも、確保ののち再度竹内に回してのクロス。
これがライナーでファーサイドを突き、小林の下へピタリと収まるボールとなり絶好機が到来します。
しかし放たれた小林のシュートは、サヴィオのスライディングを避けて撃った影響かサイドネット外に終わり同点ならず。

これを逃したのは痛いの一言で、以降運気は巡って来ない筑波大。
5分、ゴールキックからロングフィード→細谷フリックと単純明快な流れでアタッキングサードに運ぶ柏。
走り込む山本を小川が倒してしまい反則、警告を受けたのみならず絶好の位置で直接FKを与えてしまう事に。
相手に好機ととに時間を与えるのが最もキツイという反則となり。
放たれたジエゴの直接シュートは左へ外れるも、その後も逃げきりに向かう柏に対し一向に好機は巡って来ず。

逆に10分、縦パスを高嶺にカットされ、サヴィオが左サイドから切り込むという具合にまたも柏の好機に。
中央の山本への横パスは遮断した筑波大ですがこれにより左CK。
しかもこの際に諏訪間が足を攣らせてしまい、長らく倒れ込んだため担架も持ち出されたため、ピッチ外へ出る事を余儀なくされ。
このセットプレーを10人で凌ぐという具合に、逆境が続く筑波大。

何とかGK佐藤がクロスをパンチングで跳ね返し、諏訪間がピッチに復帰するも既にCBを務める余力は無く。
最前線に回った諏訪間により、加藤がCB・竹内がボランチ・小林が右SHと玉突き的にシフトした残り時間。
一方柏も、野田が足を攣らせたためか最前線に回る事に。
こちらも関根がCB・山田が右SB・細谷が右SHと激しくシフトし残り時間を戦います。

お互いダメージが深刻という絵面で、最後のATへ。
筑波大は安藤が内野を狙ったロングパスを送り、クリアされるもセカンドボールを拾って最後の攻撃。
そして竹内がミドルシュートと、ゴール裏の期待と希望を乗せて放たれたこのフィニッシュも、ゴール上へと外れてしまい。

そして試合終了の時を迎え、2-1で柏が勝利。
2戦連続の奇跡は起こせずとなった筑波大ですが、まだまだ続く彼らのサッカー人生、幸の多いものとなる事を祈りたいものです。

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