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DAZN観戦 2024年J2リーグ第38節 いわきFCvsザスパ群馬

2024-11-24 15:00:50 | サッカー視聴記(J2)

※前回のいわきの記事はこちら(36節・水戸戦、1-2)
※前回の群馬の記事はこちら(36節・徳島戦、0-2)

<いわきスタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 引退表明しているGK田中が、今季初のスタメンに。

<群馬スタメン>

  • 前節(大分戦、1-2)出場停止だった中塩がスタメンに復帰。
  • 平松が累積警告により出場停止。

2年目ではや「はじめての……」という、昇格争いを体験したいわき。
しかし32節以降未勝利という失速ぶりでモノに出来ずと、その厳しさを味わうに至り。
それでもホーム最終戦を勝利で締める事で、記念すべきシーズンを上昇機運を持って終わりたい所でしょう。

対するぶっちぎりで最下位の群馬、今季のいわきと同様、初めて昇格争いに加わったのが前年。
しかしそれがJ2に参戦してから実に19年目という歴史の長さからか、今シーズン前にはクラブ総出で一気に前掛かりな姿勢を露わにし。
つまりは開幕前に行われたリブランディングであり、これまで再三我慢を強いられた時期からなる反動か、攻めにいくという思いに駆られたのは想像に難くなく。

それが浮上どころか……というのは意外でも無く、前年も開幕前派手に欧州路線をぶち上げた徳島が、そのスケールの大きさを一度も見せる事無く低迷期に入ってしまったのは周知の通りであり。
J2ならびに日本では日常茶飯事ともいえる、身の丈にあったクラブ運営が抜け落ちた者の末路をなぞってしまう、ある意味納得感のある今季の降格劇。
果たして来季を迎えるに辺り、残るのは一面の焼け野原か、ないしは完成した「ザスパーク」を軸に新たな秩序を築き上げるのか。

最後に意地を見せたい……という意味合いのみの試合となった群馬。
その思いが実るかのように、立ち上がりは攻勢に。
それでも好機自体はアバウトな裏への放り込みや、中塩のロングスロー攻勢が目立つのみでしたが、これまでの苦難を振り払わんとする姿勢で主導権を奪う道筋を作れたのは第一歩であり。

しかしその後、二歩目を踏み出す事は永遠になかった、というような結果になるとは思いもよらず。
こうしたスタイルはいわきのようなパワーサッカーの十八番であり、すぐに慣れを示すに至り。
前半7分にコーナーキックを得たいわき、キッカー山下のグラウンダーのクロスからスルー2連発を経て、放たれた谷村のシュートはブロックされて実らず。
しかしすぐさまプレッシャーを掛け、左サイド深めで奪い返して更なる好機(坂岸のクロスがファーに入るも、有馬の反則で終了)と、群馬を自陣に釘付けにし始めます。

11分、今度は逆にいわきのビルドアップに対しハイプレスと、果敢な姿勢は健在な群馬。
しかし柴田が冷静にパス交換からのロングパスでいなし、これを右サイドで受けた加瀬が奥へ切り込んでクロス。
そしてファーで山口が合わせヘディングシュート(GK櫛引キャッチ)と、例によって前線・後方ともに良い所無しという事態に陥り。

そして13分、空中戦から地上での奪い合いを経てボール確保したいわき、乱れた陣形を突くように右から加瀬がアーリークロス。
これを中央で山口が今度は足で合わせると、シュートはGK櫛引の裏を掻くような緩い軌道になり、ゴール右へと吸い込まれます。
あっさり先制点に辿り着いたいわきにより、この日も苦境に陥る群馬。

その後、地上からのパスワークで前進する色を強める群馬ですが、いわきも例外無くハイプレスで対抗。
降格決定後、和田が前年の長倉のような「何処にでも顔を出し、相手選手の間で受ける」役割を務める事に活路を見出すビルドアップですが、この日はその和田まで届けられる事すら稀となり。
いわきの圧力に屈するように、次第に佐川狙いのロングボールへの傾倒は避けられずと、立ち上がりの攻めの機運はすっかり雲散霧消に。

逆に守備面は、これも降格決定後は純正4-4-2の色を強めるという立ち回り。
しかし巧くいかない流れを受け、5バックで守るかという意識が顔を出した結果曖昧になる場面も多々見られ。
25分のいわきの攻撃、大森からのロングパスを加瀬が右ワイドで受けた場面、群馬はサイドバックの中塩が中を締めており。
しかしサイドハーフの川本は前線に加わるのか、5バックとして降りるのか実に中途半端な立ち位置で、結果フリーで受けられてここから決定機を作られる格好に。
加瀬は中塩に詰められる前に例によってアーリークロスを送ると、ファーに流れた所を山口が折り返し、クリアされるも天笠に当たって跳ね返る不運が絡んで有馬に収まり。
必死に掻き出さんとするディフェンスをかわして放たれた有馬のシュートが、GK櫛引のセーブを掠めてゴールバーに当たって跳ね返る際どいフィニッシュとなります。(尚も山下が拾って追撃もブロック)

その後も怒涛の攻勢を見せるいわきに対し、群馬は24~39分まで全く好機を作れない状況に。
37分には敵陣でのボール奪取から柴田が左からアーリークロス、これを谷村が合わせてのヘディングシュートをGK櫛引が脚でセーブと、今季幾度も陥った守護神頼みの様相の色が強くなり。

追加点は許さなかったもののズルズルと時間を浪費し、前半もアディショナルタイムに。
中塩ロングスロー→佐川フリックで好機になりかけ、再度入れたクロスの跳ね返りを確保してボール保持に入った群馬。
エドオジョンが左奥へと切り込んでクロスと、何度もチャンスボールを送るものの跳ね返され、結局は天笠の無理目のミドルシュートで終了。
火力不足のなか何とかファーストシュートを放ったという、前半最後の攻撃となりました。

1-0で折り返しとなり、共に交代無く迎えた後半戦。
現在の順位が示す通り群馬の劣勢ぶりは明らかで、ここから巻き返しのための駒・策が必要な所ですが、それが簡単に見つかればこの順位に居ないのは確か。

そんな状況でも、試合再開を止める事は出来ず。
それなりに微調整が図られたか、ボール保持の際に一工夫を見せる群馬。
仙波が右サイドで降りて最終ラインからパスを受け、出口兼エドオジョンを高目に上げる役を務め、突破口を図ります。
ある程度の成果は出、前半同様立ち上がりに攻勢に入る事に成功。
後半6分に持ち込んだ左CKから、川本がファーで放ったヘディングシュートはサイドネット外ともう一息というフィニッシュ。
8分には降りた佐川のポストワークから右へ展開、仙波スルーパス→エドオジョン右奥からクロス(グラウンダーでGKとDFの間を突くも、川本には惜しくも合わず)と、変形の通りの好機を生み出し。

しかし好循環もここまでで、9分に谷村に対し反則を犯した中塩が警告を受けたのを契機に、再びいわきのターンに。
1タッチパスをテンポ良く繋いでいく崩しでサイド奥を伺う攻撃で、フィニッシュには結び付かずも、群馬の狙いを折る事に成功。
それによる、僅かな希望に縋るといった相手の心も折られた感がありました。

そういった状況で、お互い選手交代を図る時間に。
いわきの方が先に動き、15分に加瀬・坂岸→五十嵐・大迫へと2枚替え。
すると群馬は17分に3枚替えを敢行、北川・川本・和田→樺山・山中・風間へと交代。
風間がボランチに入る事で仙波がトップ下、それもセカンドストライカー気味だった和田とは異なる、4-2-3-1のトップ下という感じに。

交代が交わった事で、群馬は攻撃時3バックの色を強めたビルドアップ。
仙波のポジションが変わったため、樺山が中に絞る事でエドオジョンを高目に上げるというシステムに。
20分に左サイドに人数を掛けて前進していき、クロスの跳ね返りを繋いだ末に仙波がミドルシュート(枠外)と、有効打に繋げる事で再度光明が見出されたような状況となったでしょうか。

しかしそれも一瞬で、ウイングバックを揃って代えたいわきの圧力が増大した事もあり、プレスに屈する状態へ逆戻り。
23分にあろう事か、果敢に前に出てきた大迫がエリア内でボールカットする絵図が生まれ。
こぼれ球をそのままシュートにいった山口が空振りに終わった事で命拾いしたものの、またも苦境に陥った群馬。
樺山が絞った位置を取る事で、彼に付く大迫も中央寄りとなった分、ハイプレスに加わり易くなる副産物が生まれてしまったという印象でした。

そして26分に再度カードを切る群馬、佐川→河田へと交代。
これは完全に「ターゲットを務めた佐川の燃料切れ」というような意味合いで、ロングボールを攻撃に繋げる事も出来なくなり手詰まり感は一層強くなり。

そんな相手を尻目に攻めるいわき、29分に右サイドからミドルパスをフリックした五十嵐が、素早く前を向いて有馬のスルーパスを受けにいく体勢に。
これは遮断されるも、右ポケットへこぼれたボールを拾った谷村が勢いのままカットインからシュート。(GK櫛引セーブ)
ペースを握っていた割には後半初めてと言ってもいい有効打でしたが、ここから劇的に様相が変わる試合展開。
群馬に一縷の望みも許さないという具合に、攻撃権を握り続けます。
(29分に柴田→大西へと交代)

加瀬より突破力の面では劣るというイメージの五十嵐ですが、途中投入されたこの日は周囲との連携もあり、度々サイド奥へ進入。
32分にもスルーパスに走り込んでクロスに辿り着き、ブロックされるも右CKに持ち込み。
そしてキッカー山下がニアに上げたクロスが綺麗にゾーン守備の合間を縫い、そこに入り込んだ山口が合わせヘディングシュート。
完全に棒立ちを余儀なくされた群馬ディフェンスを他所に、ゴールネットに突き刺して追加点を挙げました。

その後も勢いをもって攻め上がるいわき。
群馬はそれを凌ぐのに精一杯で、34分にはいわきのパスワークの中で樺山が大西を倒してしまい、アドバンテージののちに警告と守勢故の被害も膨らみ。

そして終盤を迎えるという40分、両ベンチとも最後の交代を敢行。
群馬が仙波→齋藤へ代えたのに対し、いわきは生駒・谷村→加藤悠・熊田へと2枚替え。
加藤悠が右WBへ入り、再三群馬を掻きまわしていた五十嵐が右センターバックへと降り。(下田が左に回る)

時間も押し迫り、何とか一矢報いたいという、今季そんな気分を味わったのも何度目かと考えさせられる状況になる群馬。
しかし迎えた結末は無慈悲であり、43分にまたも大迫が中央寄りでパスカットし、そのままミドルシュート(枠外)といわきの圧力は衰えを知らず。
そして直後の44分、いわきはクリアボールを山口・熊田の2人での1タッチによる繋ぎで、スルーパスに抜け出した熊田がエリア内でGKと一対一の状況を迎えます。
この場面で冷静に横パスを選択した熊田、走り込んだ有馬が合わせたシュートが無人のゴールに転がり込み。
文字通り止めとなる3点目で、この試合ならびにシーズンの終了が彩られました。

それでも攻める事を止めないいわき、直後の45分にも決定機。
ここも1タッチかつアバウトな浮き球の繋ぎを経て、右ワイドで受けた加藤悠がカットイン。
そしてポケットから放たれたシュートを瀬畠がブロックと辛うじて防ぐ群馬、クリアが小さくなった所を追撃される(山口がペナルティアークからシュート)も、GK櫛引がキャッチ。
結局この日も、最も目立っていたのは守護神という展開は避けられませんでした。

突入したアディショナルタイム、いわきは下田が足を痛めてしまい、代わりに大西が最終ラインに回るというアクシデントが。
これ以降好機は打ち止めとなりましたが、「今日はこれぐらいにしといたる」といった思惑も感じられ。
残された時間で何とか群馬は攻め上がりますが、パスミスもありフィニッシュは生まれませんでした。

結局3-0で試合終了。
いわきは文字通り景色が広がるようなJ2・2年目となりましたが、同時に群馬が今季味わった「昇格争いの翌年の低迷」を避けたいシーズンにもなる翌年。
この勝利が、その危惧を振り払うものとなるかどうか。

一方の群馬、終了後に引責?の人事が一気に発表される事となり。
その中で目を引いたのが、引退した細貝が社長兼GMに就任というもの。
OBがトップで舵取りを請け負うという前向きな思いと、「とうとうそういった手段しか残らなくなったのか……」という後ろ向きな思考が錯誤するものの、再度の昇格への切り札と出来るでしょうか。

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