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DAZN観戦 2025年J3リーグ第1節 奈良クラブvs福島ユナイテッドFC

2025-02-18 16:02:24 | サッカー視聴記(その他)

<両軍スタメン>

奈良ベンチメンバー=マルク・ヴィト(GK) 中山 佐藤 中島 國武 神垣 嫁坂 酒井 田村翔太

福島ベンチメンバー=上田(GK) 松長根 野末 上畑 吉永 宮崎 粟野 矢島 石井


一年の計は元旦に(以下略)

前年特異な攻撃サッカーと、凄まじい得点力(といっても計13失点の岩手の大貢献のおかげか)で旋風を巻き起こした福島。
しかしプレーオフで敗れて昇格はならず、そうなるとオフに待っているのは個人昇格という名の引き抜きであり。
飛躍した選手たちはさぞ引く手数多……と思われましたが、レンタルバック(大関・大森)を除くと、持っていかれたのは塩浜のみに終わり。
何とか前年の枠組みを保ち、新シーズンに臨む事に成功した感があり。

その中で、寺田周平監督を媒体としたJ1・川崎との関係性はより親密に。
大関を返した代わりに由井を借り受けたのみならず、GK中川を半年間レンタルに送るという異例の移籍劇。
過去に、湘南と良好な関係を築きクラブのステータスアップを図った経歴を持ちますが、ここに来て鞍替えといった所か。
湘南と川崎、クラブ強化のためにどちらを取るのか……という選択で、迷わず華やかな経歴の後者を選んだ図式でしょうか。
そしてその通り、結果が出るのも早く。

そんな邪推はさておき、今季の開幕の相手は奈良。
傍らから見て、そのホーム・ロートフィールド奈良のピッチコンディションの悪さが気になるなかキックオフを迎え。

前半2分、福島が自陣での左スローインのミスにより好機を迎えた奈良、エリア内を突いたのちの戻しを経て吉村がミドルシュート(枠外)と先制攻撃。
これを盾として、福島の最終ラインでの保持に対し、果敢にプレスを仕掛けるのがこの日の基本展開となります。

アンカー針谷に対し、1トップの百田がガッチリ付いた状態で仕掛けられるハイプレス。
GK~最終ライン間で繋がれるうちに行われるマークの受け渡しも、百田が(針谷へのコースを切りながら)前に出ると、すかさず戸水か岡田優が入れ替わりに付くという具合に盤石であり。
これにより中々中央突破が厳しいという福島の立ち上がりでしたが、6分に山田がお馴染みの狭い所を通す鋭い縦パスで前線に送り、森→樋口と経由しての前進を経て、左ポケットへ送られたスルーパスでチャンスを迎えた森。
しかし奈良ディフェンスの戻りも素早く、得意のカットインシュートはその装甲を破るに至らず枠外に終わります。

ストロングポイントである、中央を縦パスで破れるかどうかというサッカーをこの日も貫く福島。
対する奈良も、8分にその縦パスを都並がカットしてから反撃、左サイドに展開して前進体勢に入る川谷。
そしてカットインを経てミドルシュート(ブロック)と、ウイングが得点源である福島に対抗するように、サイドから脅威を与えに掛かり。

しかしそんな押し問答な状態も長くは続かず、10分に一転して山田ロングパス→樋口落としという手段で前進に成功した福島。
そのまま生駒と縺れて倒れた樋口ですが、戻ってきたボールを倒れながらのポストプレイで繋いだ事で前進の余地が生まれアタッキングサードへ進入。
城定→清水とドリブルで運び、ワイドから左ポケットへ進入した清水がそのままカットインシュート。
右足で綺麗に巻かれたボールが、右ポスト内側を叩いてネットを揺らすという鮮やかなゴールを生み出しました。
まともにやり合うのを避けて辿り着いた先制点と、前年からの成長を見せる格好となった福島。

しかしホームの奈良もこれで目の色が変わり、その後敵陣で怒涛のボールゲインの嵐。
11~12分の間に3度敵陣でボール奪取に成功と、あくまでハイプレスで対抗しにいきます。
その2度目の(戸水の)奪取から、ポイントゲッターの岡田優がエリア内でシュートを放つもGK吉丸がキャッチ。

この間に、福島は両ウイングの位置を入れ替え森が本来の左へと移り。
前年もサイドバックで主に使っていた手であり、リードを奪ったのちは慣れたポジションで……といった思惑でしょうか。
それが奏功したか、奈良の押し上げの連続を凌いだ直後(12分)森が移った左サイドで溜めを作りながらボール保持による前進。
そして戻しを経て例によって通される針谷の縦パス、受けた樋口が都並に倒され、エリアから近い位置で直接フリーキックを得ます。
横位置は左ハーフレーンで、誰が蹴るかという所で選択はセンターフォワードの樋口。
果敢に壁越えを狙って放たれたシュートは、鈴木の頭部を掠めて軌道が変わったのもありゴール左へと突き刺さります。
苦しさも見せながら、早々に2点リードを奪いました。

これでスコア上厳しくなった奈良。
多彩な攻めを見せ始めた福島の前に、ハイプレスのみでは無く辛抱強く戦う事が求められたでしょうか。
こちらもGKを交えての保持の色を強め、主体的な攻めで反撃体制を作り始め。

3バックから、片側のセンターバックがSBと化する4バックへの可変というトレンドをなぞって前進を図る奈良。
左SBと化した奥田が、時には川谷の内側をインナーラップで追い越し、目線を釣りに掛かり。
これを見せられると、4-3-3のままプレスを掛ける福島は、対峙する右サイドでややこしい対応を強いられる事に。
最終ラインからワイドに出されると、SBが果敢に……というよりは前に出ざるを得ない状態になるので、その背後を奥田に取られるリスクが高まる状態となります。
こうしてサイドで優位性を得た奈良、そのワイドである吉村・川谷のサイドチェンジも交えながら、主体的に押し込み。

しかし福島はそんな構造上のリスクよりも、より危機が膨らむシーンを招いてしまい。
それは即ち故障で、23分に中心的アタッカーの森が、守備に戻った際に筋肉系トラブルを起こしてしまい倒れ込み。
この試合ならびに今後も危ぶまれましたが、幸い軽度だったようで、ピッチ外で治療が施されて何とか復帰。
その様子を注視し、当初は足を気にしながらのプレーでしたが、27分の福島の好機。
細かな繋ぎを経て狩野がエリア内を突き、戻しからの(樋口の)ミドルシュートを選択、清水に当たって跳ね返るも継続。
そして森が左ポケットを突いて追撃のシュートを放ち、ゴール右へ外れた(ファーで走り込んだ清水も合わせられず)ものの、問題の無さをアピールし安堵するに至りました。

そんな森の様相を受け、気丈に攻め続ける福島。
懸念されたアンカーへのチェックも、前年通り針谷の横に城定が並ぶ事で、パスコースを増やしての対応を見せ。

しかし37分、奈良はゴールキックから短く繋ぎ、プレスを呼び込んだうえで左へ展開→奥田の1タッチでの裏へのボールで好機を迎え。
受けた川谷が溜めて中央へスルーパス、これが岡田優にわたってそのまま中央突破でエリア内へ突撃。
細かなタッチでディフェンスを掻い潜った末に、右足アウトでファーサイドを狙うという技ありのシュートでネットを揺らします。
相手の弱点を突いたうえで岡田優の得点感覚を炸裂させ、1点差に詰め寄った奈良。

これにより、自分達の姿勢は正しいと確信を得たでしょうか。
40分に福島の保持に対するプレッシャーで、安在のバックパスをGK吉丸が受けられずコーナーキックを得るなど、相手にダメージを蓄積させていき。
しかし自身も、球際にいく姿勢やディフェンスの立ち遅れなどで、前半のうちに3度警告を受ける(都並・生駒・戸水)など被害が膨らみ。

素手での殴り合いの様相も膨らむ状況で、天の時を得たのは奈良の方でした。
42分に川谷のボール奪取から保持に入り、敵陣でサイドを揺さぶった末に右から吉村のクロス。
ブロックされるも右CKで継続すると、キッカー岡田優のクロスを都並がフリーで合わせヘディングシュート。
都並の手前に鈴木が入り込むという手法で、目線を惑わした末のフィニッシュでゴールに突き刺しました。
これで2-2の同点と、スコアでも激しい展開を象徴するものとなり。

流石にこれ以上スコアは動かず、2-2で前半終了を迎え。
勢いに乗る奈良、その流れを固めるべくハーフタイムで選手交代。
ルーキー戸水に代え、本来の主戦力である國武を同ポジションで投入します。

この采配も奏功したか、後半立ち上がりから奈良の独壇場という試合展開に入り。
最初の好機は後半2分、中盤でのボール確保から、戻しを経て右へ展開し福島の左SB安在を釣り出して背後を取るという形。(その後戻し→都並が対角線のロングパスを通すも川谷→岡田優のラストパスがズレる)
これで自信から確信に変わったかのように、ラッシュを仕掛ける奈良。
福島はあくまで最終ラインで保持する姿勢を貫くものの、ピッチの悪さ故かボールコントロールを誤る絵図を膨らませ、奈良のハイプレスに屈するシーンを頻発してしまいます。
4分にはあろう事か、追い込まれた安在の苦し紛れのパスを吉村がブロック、エリア内へこぼれた所を百田がダイレクトシュート(GK吉丸セーブ)と目も当てられないショートカウンターを浴び。

構造上としては、前半に比べてSBが最終ラインに残り、狭い間隔での3枚となる傾向が強まった福島のビルドアップ。
しかし勢いを増す奈良は、そんな相手SBに対してもウイングバックが躊躇わずに付きにいったため、中央での密集度は一層増す事となり。
中に絞る状態となった吉村・川谷により、さらに間隔が狭まる事で得意の縦パスも冴え渡らなくなった感がありました。(左SBが沼津から移籍した安在だったため、「偽SB」の色が強く出る形になったのも影響したか)
また降りてくる城定も、都並の厳しい寄せもあり機能しなくなったのも大きく。

8分に再びバックパスのミスでCKを献上するなど、いよいよ厳しくなってきた福島の繋ぎ。
ひたすら押し込まれては凌ぐという展開で、後半最初の好機は13分(パスワークを経て森が右ポケットへ切り込み→マイナスのクロスも合わず)という、攻撃サッカーの名倒れ感が凄まじい一日と化してしまいました。

どう見ても優勢な奈良の決定機は19分で、ここも都並が前に出てのボール奪取、縺れて倒れながらのキープで繋ぎ。
託された岡田優が左奥へ切り込み、そのままカットインでポケット奥を突いてマイナスのクロス、そしてニアに走り込んだ國武が合わせシュート。
電光石火というようなフィニッシュでしたが、GK吉丸の正面で(キャッチされ)決められません。

その後も、20分に山本のパスカットから前進、左ポケットを突いた川谷が奥へ切り込むも針谷の時間差スライディングに阻まれ。
22分に吉村がパスカットしての前進で今度は右ポットを突き、國武がクロス(ブロック→GK吉丸キャッチ)という具合に、ハイプレスを軸として続く奈良の攻勢。
ようやく福島に変節が見られたのが23分で、SBが対策を受けるならば……という開き直りにも似た図。
即ち、両SBの鈴と安在がともに中央寄に位置するという型破りな状態でのパスワークで、これに対し川谷の方が下がったため右サイドから運ぶ余地が生まれます。
そして清水から中央へ縦パスが打ち込まれるとそこは既にエリア手前で、森が左からカットインする姿勢を見せたのち、戻し→狩野ミドルシュート(ゴール右へ外れる)で久々のフィニッシュ。

幾ばくか冷静さを取り戻した福島。
中央寄りに固定となるSBにより、これまで流動的に動いていた前線も、「偽SB」システムに倣うように森が左ワイドの位置を取り始め。
25分に鈴が中央を持ち運んで左へスルーパス、ワイドで受けた森が奥へ切り込んでクロス(ニアに樋口が走り込むも合わず)と、中央を意識させてサイドで……という基本形でゴールを脅かせる流れが生まれます。

そんな五分の展開と化した所で、26分奈良ベンチが再び動き。
山本・百田→中島・酒井へと2枚替えを敢行すると、その直後に再度決定機。
右ワイドで吉村が、中島のミドルパスに対し入れ替わった事で奥を突き、そのままマイナスのクロス。
中央で受けた岡田優、点取り屋らしくそのまま厳しいチェックを掻い潜ってのシュート。
鈴にブロックされるも前にこぼれ、抜け出した酒井が詰めにいったものの、パンチングで防いだGK吉丸と交錯した事で反則で終わってしまい。(さらに警告)

福島ベンチも28分、重い腰を上げて清水・樋口→石井・上畑へと2枚替え。
シーズン最初の試合故、選択したメンバーで従来通りのサッカーを貫けるか、着目していた感がありましたがここに来て動き。
この交代で上畑が中盤に入ったため、城定が右WGに回りました。

33分、奈良は酒井のボール奪取からのショートカウンターで、國武のラストパスを左ポケットで受けた岡田優がシュート。
しかしGK吉丸が片手でセーブと、再三迎える決定機も決められずに終わり。
これが最後のボールゲインからの好機で、以降は時間経過による体力減少という定番の流れに沿ってしまったでしょうか。
冴えを取り戻す福島の繋ぎに対し、両WBも前に出ず、5バックで構える時間帯が長くなるに至りました。
36分、針谷のパスカットから敵陣で細かく繋ぐ流れを迎えた福島、エリア手前で幾度も短いパスでディフェンスをいなす本来の姿を現し。
そして右ポケットを突いた城定が裏へ短いスルーパス、森が抜け出して決定かと思われましたが、前に出たGK岡田慎がブロックで撃たせず防ぎます。

37分に最後の交代を敢行する奈良、都並・岡田優→神垣・田村翔へと2枚替え。
やはり序盤からハイプレスを貫いていた分、早めの交代は必須といったベンチワークになりました。

福島も41分に安在・城定→松長根・粟野へと2枚替え。
終盤の総力戦といった所で、直後の42分に奈良はゴールキックからのロングフィード、セカンドボールを確保しての攻め。
一旦は奪われるも、福島のパスミスを田村翔が拾い、中央に出来たスペースを突くという願っても無い好機。
そして放たれた田村翔のミドルシュートは、ゴールバーを掠めて枠外と惜しくも決められません。
すると福島も直後にゴールキックでロングフィードを選択と、繋ぐ事を放棄した終盤に相応しい絵図を描き。

前半とは一転してスコアが動かないまま、アディショナルタイムの攻防に。
運動量の低下か、奈良に反則が膨らむ流れとなり、福島も遠目からの放り込みを選択するなど攻めの緻密ぶりは失われたままであり。
中央からのFKを得たものの、その反則で頭部を痛めた針谷が治療を受けたためピッチ外に、おかげでキッカーを欠いてのキックとなるなど踏んだり蹴ったりな流れにも陥り。
結局泥仕合の様相と化した末に、最後まで3点目は生まれず試合終了と相成りました。

奈良の対策ぶりに四苦八苦する時間が続き、引き分けで良かった……と言わざるを得ない福島の開幕戦。
前年の飛躍で、もれなくこの日のような徹底研究に苛まれる事が予想される中、苦難の道を跳ね返せるかどうかというシーズンになるでしょうか。

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